第177話 今川軍迎撃3

「な、ななな、何なのじゃ、あの蟲達は!」

今川義元は大天狗の頭を噛み砕いた蜻蛉トンボ王を見て驚愕し恐れく慄くおののく


蜻蛉トンボ達は今川軍上空に近付くと散開し、小天狗と烏天狗達を後ろから捕らえて、首を後ろからまたは後頭部を噛み砕き殺していき、首の無い天狗達が地上に落下し潰れ血肉が飛び散る。


蹂躙される天狗達を見て、伊達稙宗軍は勢いを取り戻し今川軍を押し返した。


そこに横から俺が連れてきた清洲城の兵2000人と佐々政次の兵1000人、松平元康の兵1000人の合計4000人の兵が突撃した。


総崩れの様子を帯びてきた今川軍。松平元康が松平家守護獣のゴーレムまで召喚したものだから、今川軍の崩壊に拍車がかかる。


俺と妻達はスレイプニルに乗ったままの突撃。ニルも大暴れしているし、ゆずと吉乃はスレイプニルとユニコーンに乗ったまま、的確に狙撃している。両手離して大丈夫なの?


信長の兵が突撃したのを察知した今川軍の首脳3人は………。


「撤退しましょう」

朝比奈泰能が焦りを隠し冷静さを装い今川義元に向いた。


「くぅ、麿の天狗達がぁ………、おのれ尾張の田舎侍めぇ………」

義元がお歯黒の歯で人差し指に第二関節を噛む。


「義元様! 早く撤退しないと取り返しがつきません! ご決断を!」

岡部元信は叫んで義元の輿に手を掛けた。


「くぅぅぅぅ、た、退却…………」

義元は悔しさを隠せず鬼の形相で織田軍陣営睨み、言い難そうに退却する指示を出した。


「退却! 退却の合図を早くうううう!」

岡部信元は近臣に退却の合図の太鼓を打ち鳴らせる。


「義元様、私が殿を受け持ちます。早く退却してください! 泰能、後は任せた」

岡部信元はそう言うと近臣を集めて殿の準備を行う。


退却の合図を聞いて敗走し始める今川軍だが、蜻蛉トンボとグリフォンに襲われている箇所は阿鼻叫喚の巷と化す。


グリフォンは羽の音で、襲われる寸前に認識出来るので、避けたり刀で防御出来るのでまだ良い方だ。


蜻蛉トンボに襲われる兵達はいつの間にか空中から背後を掴まれて、空中に連れて行かれ、後頭部を噛み砕かれて地上に落とされる。


空中から落とされたその死体がぶつかり、地上にいた兵も倒れて潰されて血肉が飛び散る。


その恐怖から組織的な動きが出来ず、蜘蛛の子を散らす様に敗走し始めた。



「信長様~!」

鶴姫が信長を見つけ走り寄る。


行く手を遮る今川軍の兵士を、右手の大太刀で右へ左へ斬り殺しながら 左手を振る。


こえぇ~。まるで夜叉が襲ってくるみたいだけど、笑顔で駆けてくる鶴姫に手を振る。


「アネサーン、マッテー」

「アネサン、速スギー」

鶴姫に追い付けない倭寇達も今川軍を蹴散らして近づいて来た。


「チョットー、エッチー」

「弱イ男、嫌イヨー」

人魚二人もレベルが上がったので、迫り来る今川軍兵士の刃を躱し平手打ちで張り倒し、キックで蹴り飛ばして近付いて来る。人魚二人もそこそこ強くなった様だ。


今川軍は敗走し三河国は俺が完全に手中に納めた。遠江国まで手に入れようと言う声もあったが、今回の三河国攻略はここまでだ。


戦後、岡崎城代に伊達稙宗を任命し三河国の管理を任せて、今川軍の反撃や隣接する武田信玄に備えて貰う。


そして各郡ごとに管理者を置いて、下記の通り奪った城の城代にした。


八名郡やなぐん統括:月ヶ谷わちがやじょう城代・笠原清繁

碧海郡へきかいぐん統括:安祥城代・内藤昌豊

内藤昌豊に替わり鳴海城代は高坂昌信

高坂昌信に替わり桜中村城代は織田信実


額田郡ぬかたぐん統括:岡崎城城代・伊達稙宗、

       家老・小梁川宗朝こやながわむねとも

幡豆郡はずぐん統括:東条城代・根津政直

設楽郡したらぐん統括:川路城代・村上義清

宝飯郡ほいぐん統括:牛久保城代・小笠原長時

渥美郡あつみぐん統括:吉田城代・戸田康光

因みに原田城代は戸田尭光だ

加茂郡かもぐん統括:上野城代・小梁川宗秀


三河国の各城下も楽市楽座を行い関所を廃止し、街道整備や治水等も積極的に行う方針で一向衆は禁止とした。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る