第170話 三河国攻略6

内藤興盛の大船団は三河湾を進み宝飯郡に上陸しようとしていた。そこに待ち構えていた宝飯郡に勢力を持つ豪族牧野氏の軍勢。


「シロートダナー」

「大砲知ラナイネー」

「アンナ近クニイルヨー」

倭寇達が笑い出した。


「その通りだな。全船大砲発射用意」

内藤興盛の号令で全ての船で大砲の準備を行う。


「発射!!!」

轟音が鳴り響き、船団から大砲の砲弾が雨の様に降り注ぐ。


「今のうちに上陸するぞ」

内藤興盛の号令で大船団は宝飯郡に上陸した。


「ヒャッホー」

「ヤッタルデー」

「皆殺シダー」


「倭寇達は変なあんじゃるい言葉を覚えたわなぁ」

鶴姫は大太刀を鞘から抜いて構えた。


「ぶちかますけんねぇ!」


「突撃ぃいいいいいい!」

内藤興盛の号令で大砲の轟音と砲弾で驚き戸惑う牧野軍に突撃した内藤興盛率いる『東三河攻略軍』。


先頭を切る9人の倭寇達とその手下の魚人達。続く鶴姫と冷泉隆豊、根津政直、笠原清繁、小笠原長時、村上義清と佐治為景率いる水軍海賊達。その後に平手政秀の兵士達が続いた。


「アネサン、ガンバッテー」

「オタカラ、オミヤゲ、マッテルヨー」

人魚二人のノンキな声が聞こえる。


先頭では倭寇達の殺戮が始まっていた。倭寇達が持つ剣は柳葉刀りゅうようとうと呼ばれる物で、日本刀より刃が幅広で重く叩き斬る硬剣だ。


敵が鎧を着ていようとお構い無く、叩き付けて鎧ごと破壊しながら叩き殺す。もはや鈍器に近い。


魚人特有の怪力で振り回す為に作られていて、通常の柳葉刀りゅうようとうは短いが、倭寇達の柳葉刀りゅうようとうは日本刀と同じ長さとなっていた。


日本刀で受けると叩きつける威力で体勢を崩されて、2撃目で叩き殺される。


その中でも9人の元倭寇の頭領達の戦いは際立ち、恐怖を巻き起こす。


「フットベー」

体当たりして毒の棘条しじょうを突き刺すオコゼの魚人李光頭りこうとう


新免無二に弟子入りして剣術に研きをかけて、更に尻尾の毒の刺で突き刺すアカエイの魚人許一。


大柄な身体だが高いジャンプ力と平たい菱形の胸ビレで短時間の飛行を行い。空中から攻撃するオニイトマキエイの魚人許二。


「ヒャッハー」

剣が当たる度に電気を流すシビレエイの魚人許三。


柳葉刀りゅうようとうと頭部にあるノコギリ状のふんで叩き殺すノコギリエイの許四。


小柄で素早く動き刀を躱し背びれと胸びれの毒棘で刺し殺すゴンズイの魚人陳思盻ちんしけい


大きな口の鋭い歯で鎧ごと噛み砕くウツボの魚人方武 ほうぶ


大きな身体の怪力と鋭い歯で噛みつき、柳葉刀りゅうようとうを振り回す、ヨゴレザメの魚人徐銓じょせんとシュモクザメの魚人徐海じょかい


そして、倭寇達以上の獰猛で強力な戦いを見せる大内氏の水軍の将であったタイガーシャークイタチザメの魚人である猛将冷泉隆豊と、大太刀を振り回し敵を寄せ付けない、レベルアップして怪力と素早い動きに益々研きがかかったシャチの魚人大祝鶴姫おおほうりつるひめ


牧野氏の軍隊は初撃の劣勢のまま蹴散らされて、大勢の犠牲者を出し撤退した。


「このまま北に進み設楽郡で挙兵した奥平氏・菅沼氏と合流し、設楽郡を席巻するぞ」

大柄なジンベイザメの魚人内藤興盛の声で進軍を続ける『東三河攻略軍』。


因みに吉田城を攻略した戸田康光達は、内応して挙兵した城主達を引き連れて、三河最東部の八名郡に侵攻していた。

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