第169話 三河国攻略5

内藤興盛が率いる『東三河攻略軍』は、勘合貿易船も使用し大船団で海から東三河に侵攻した。


陣容は、大将の内藤興盛に冷泉隆豊と4人の元信濃の豪族達(根津政直、笠原清繁、小笠原長時、村上義清)。


そして、鶴姫と9人の倭寇達(李光頭、許一、許二、許三、許四、陳思盻、方武、徐銓、徐海)とおまけの2人(王緑妹、王翠翹)。


同行するのは下記の3000人。


志賀城の平手政秀 1000人

大野城の佐治為景  500人

寺本城の戸田康光  500人

他佐治為景の臣下  500人

元倭寇の手下達   500人


元倭寇の手下達と佐治為景・戸田康光の配下の水軍が船を操作している大船団。


「チッチャイ船、イッパイ、クルヨー」


許二の言葉に鶴姫が応える。

「あれゆーて今川の水軍やわ」


「ヤッチャオー」

と徐海。


「大砲ブッパヨー」

「そうやのぉ。大砲を撃とうちゅうわけや」


「うむ。ガンガンいこう」

戸田康光がいう。


勘合貿易船から大砲が発射されて今川水軍の船が破壊されて沈没していく。


今川水軍の船の中には大砲を掻い潜り、勘合貿易船に近づき火矢を放つ者もいたが、鉄板でコーティングした勘合貿易船には通じない。


勘合貿易船とその周りを進む織田水軍の船は全て竜骨を使った船で、今川水軍船は箱を繋ぎ合わせた形状の旧型の安宅船だ。


竜骨を使って作った船が先端から体当たりすると簡単に壊れ沈没していく。


中には沈没前に織田水軍の船に乗り移り船を奪おうとするが、織田水軍の船乗りや倭寇達に斬りころされていった。


「倭寇、舐メンナヨー」

「ウリャー」


「さすが、アジアで暴れた倭寇や。今川水軍は敵にもなれへんな」

佐治為景は感心して見ている。


三河湾に侵入し今川水軍を打ち破り少し進むと田原城見えてきた。

「そろそろ見えて来たぞ。俺の田原城が」

と戸田康光。


「父上、いよいよ田原城に帰る時が来ましたね」

息子の尭光も田原城を見ていた。


戸田康光の居城であった田原城は、現在は今川義元の家臣である朝比奈元智が城代として入っていた。


当初からの計画通り戸田康光・尭光親子は、500の兵を連れて田原城攻略に向かい、残り2500の兵は内藤興盛の指揮で宝飯郡に向かった。


戸田康光・尭光親子が三河国に上陸し、田原城前に兵を進めると、城内の内応者が城代朝比奈元智を討ち取り田原城を開城した。


戸田康光・尭光親子は田原城で落ち着く間もなく、田原城の兵300人を連れて北の吉田城に進んだ。


吉田城の隣には仁連木城があり、現在の仁連木城主は康光の次男宣光である。


宣光は予てからの計略に従い康光達の軍勢を確認すると、仁連木城から300の兵を出し康光と合流。1100の兵に増えた康光は吉田城の前に到着した。


戸田氏にとって吉田城は因縁の城である。


田原城と仁連木城により三河国の渥美郡を支配していた戸田氏だったが、宝飯郡の牧野氏が渥美郡の仁連木城のすぐ近くに吉田城を築いた事で、牧野氏と戸田氏が争い、そこに松平氏も加えて三つ巴の争いとなり、吉田城の城主はいくさ毎に変わった。


その後、吉田城は今川氏が奪い東三河の重要拠点としており、城代として今川氏家臣である小原鎮実が入っていた。


戸田康光は吉田城の前に陣どると大砲を撃った。吉田城の城門が弾け飛ぶ。


「総員突撃!!!」

戸田康光が叫び、太鼓の音が鳴り響く。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る