第149話 村木砦の戦い7
黒煙を潜り抜け織田家兵達が村木砦に突撃した。先頭は新免無二と許松、そして鶴姫だ。
「がはは、一番槍は貰ったああああああ!」
「経験値イッパイ、最高ヨー」
「オタイのこの疼きを鎮めとっていたぁ」
大砲で砦の前方の門と柵は跡形もなくぶち壊されていた。唖然として動きが固まっている今川軍の兵を斬り放題の俺達。
スレイプニルに乗り空中から状況を確認中の俺と帰蝶と10人の小天狗達。
「訓練の成果を見ようと思ったが、ダメだなぁ。案山子を斬ってるのと変わらん」
「そうね。あっと言う間に皆殺しにしちゃうわね」
「皆殺しは勿体無いな。俺に忠誠を誓うならうちの兵にしたいな。兵はまだまだ欲しい」
「じゃあ、止めるなら今のうちかもよ」
そのうち許松の大声が聞こえて来た。
「タイショー、討チ取ッタヨー、金クレー」
俺は戦場のど真ん中に降り立った。
ニルが魔力を解放し俺の周りに居た者は、恐怖で身がすくみ硬直する。
「大将は討ち取ったぞおおおおお! 投降して織田信長に忠誠を誓う者は、武器を捨てて手を上げろおおおおおおお!」
ニルが魔力を鎮めると、今川軍の殆どの兵が武器を捨てて手を上げる。
中に武器を捨てないで構える者がいると、容赦なく織田家の兵が切り捨てていった。
俺は周りの兵達に俺と同じ事を砦中に言って回る様に指示した。
「さて、合戦も一段落ついたわね」
帰蝶が俺を見て、スプリットタンで自分の唇をペロリと舐めた。
「え、どうした?」
「この前、ツルちゃんと戦場で良い事したんでしょ」
帰蝶はスレイプニルを降りて、俺もニルから降りる様に指示した。
俺は素直にニルから降りた。
「いや、ここは城じゃないから、壁が少なくて丸見えだぞ」
「あそこに陣幕があるじゃないのぉ」
「あ、あぁ。あるね………」
冷や汗を流す俺。大丈夫か?
「後はニル達に隠して貰えば充分よ」
「え、大丈夫かな………」
「大丈夫よ、今日はアタイの番だから夜伽の前菜程度で良いわ」
そっちの「大丈夫か」じゃなくてさ、誰か見られないか心配なんだよぉ。
帰蝶が俺を陣幕の陰に連れて行く。スレイプニルとニルも一緒だ。
「元気になってるじゃない」
と言って帰蝶の舌が■■■■■■■……。
はううううううう。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
何故かスッキリした俺は、唇をペロペロ舐めてる帰蝶と一緒に内藤興盛達と戦後の話をしている。
各城主達も一緒だ。
「みんなご苦労だった。褒美は追って渡すとして………。投降した兵は約1000か」
「投降した今川の兵はどうしますか?」
内藤興盛が俺に尋ねる。
「今川が統治している三河と接する知多郡の城主を除いて、兵を増やしたい者は好きなだけ連れていって良いぞ。残ったら清洲城に連れていく」
織田信光が手を上げた。
「儂は200人貰う。那古野城近辺は信長達が根こそぎ募兵したから、兵が集まらんのだ。ここで増兵出来るなら都合が良い。どうせ今川兵も農家の次男三男中心だろう。地元に帰っても行くところなかろう。尾張に住ませても問題ない」
次は加藤順盛だ。
「私は300人連れていこう。これで生駒家と兵数で並べる」
青山信昌は100人。
すると、佐々成次、前田利久、平手政秀、生駒家長が100人を求めた。
これで1000になったか。
加藤順盛は「ぐぬぬ」と歯ぎしりをした。
生駒家に100人また離された。
「順盛、一度にそんなに増やさない方が良いぞ。いきなり2倍近い数の増員は訓練が行き届かんだろう」
「そ、そうですな」
加藤順盛は内藤興盛を見ると、内藤興盛が頷く。
ん? ………あ、そうか。内藤興盛は水軍の大将だ。熱田港に良く行ってるから訓練を見て貰ってるのか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます