第150話 癬丸
今川軍の投降兵の行き先を決めた俺達は、戦場の後始末を水野信元に任せて、居城に帰ろうとしたら………。
そこに遅れて到着した守山城主織田信次。
200人の兵を連れて来た。
「え! もう
「はぁ、遅いって。でも守山城はちょっと遠いし、兵農分離が進んでないから仕方ないか」
「おい、信次。100人でもいいから直ぐに出陣出来る兵を揃えておけよ。出陣が遅いと使い物にならんぞ」
と注意する信光叔父。
「はい。すいません………」
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「おう守就、早かったな。信長の戦いはどうだった」
清洲城に戻った安藤守就に斎藤利政が尋ねると、安藤守就は斎藤利政に見た事聞いた事の詳細を報告した。
「信長は恐ろしい男だな。隣の国にいて欲しくない武将だ。戦わない様にした方が良さそうだな」
「はい。移動力、攻撃力、兵の増強の早さ。あっという間に巨大な戦力になるでしょう。ところで、興盛殿が来ている鎧を一つ、信長様から貰っていただけませんか?」
「おう、言ってみよう」
鎧の譲渡及び売る事をも丁寧にお断りしました。史実では斎藤利政の死後、美濃と敵対するからね。
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清洲城に戻った俺達は暫く、いつもの生活に戻ってレベ上げを続けていた。
今日のメンバーは俺と鶴姫、新免無二、許松、池田恒興、小天狗10人だ。
こいつらはレベ上げ大好きなメンバーだ。
ある日、何時もの様に近隣のダンジョンでレベ上げをしていると宝箱を見つけた。
小天狗の天三に宝箱の中身を透視して貰ったら。「刀が入ってますね」と言うんだけど、どう見ても刀の長さより短い宝箱だ。
「はぁ、おかしいっすよ。刀が入る大きさじゃないっす。もう1回見てみろよ」
何度見て貰っても刀が入ってるって言う小天狗達。
「もう良いから開けようぜ。早く狩りの続きをしたいからよ。がはは」
無二は面倒臭くなってきたらしい。
「開ケロー、ケロケロー」
許松も刀には興味がないので急かす。
「な~んか、いや~な予感がするよね~」
「するする~」
小天狗達はそわそわしている。
「怖いやわぁ」
鶴姫がどさくさに紛れて演技しながら、俺に抱き付き、みんなに分から無い様に微妙なタッチで股間を触ってくるし………。
はぅ………。
「いいから、いいから。がはは。ん?」
無二が宝箱を開けると、刀が宝箱の底を貫き地面に突き刺さって縦に入っていた。
見えるのは柄の部分だけ、それなのに何だか禍々しい雰囲気が漂っていた。
ん~。これは先生を呼ぶしかないね。
「果心居士!」
「ほっほっほ、その刀について聞きたいのかね」
「そそ」
「ほっほっほ、……ふむ、『
「あざまる?」
「ほっほっほ、触るでない!」
無二がそ~っと癬丸を手に取ろうとして、果心居士に怒られた。
鶴姫もビクッとして俺の股間から手を離した。こっちの事じゃないけどね。
ちょっとホッとしたら。
「もう、終わりにしてもええのな」
って、耳元で囁く。
くっ、みんなにバレたくないし。しかし続きをして欲しいし。その葛藤が………。
って、こんな事してる場合じゃないよ。
果心居士が言うには、癬丸は鈴鹿山の悪神、女盗賊
「がはは、悪神とは言っても神には変わらねえ。神の刀なら悪魔も斬れるだろうよ。刀は斬る物だ、妖刀だろうと刀は刀。斬る事が出来ずにこんなところで朽ち果てるのは忍びねえ、俺が使ってやる」
無二が癬丸を引き抜いた。
みんなギョッとして新免無二を見る。
「何でもねえぜ。がはは」
「ふむ。………癬丸に認められた様だな。ほっほっほ」
無二は癬丸を手に入れた。
「がはは、悪魔を斬る時は呼んでくれ」
………大丈夫かね。
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後で熱田神宮を調べさせたら、父信秀が美濃国に侵攻した際、参戦していた熱田神宮の宮司家である千秋季光が癬丸を持ち出し戦死したらしい。
その後、行方不明との事。
推測だけど、その時癬丸を拾った誰かがダンジョンで亡くなり、癬丸も誰かに使って欲しくて出現したんじゃないかと思う。
剣豪の新免無二に拾われて癬丸も本望だろう。
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