第144話 村木砦の戦い2
大砲の轟音が鳴り響き立ち込めた黒煙が、突風で一掃されて視界が広がると、寺本城の正面の門や城壁は粉塵が舞い、粉々に砕け散っていた。
唖然とする寺本城の兵士達。城壁に登り弓矢を構えていた兵士達は、城壁が崩れ瓦礫の上で死に絶えていた。
「さあ為景、順盛! 訓練した成果を見せてみろ! 敵は怯んでるぞ、今が好機だ。突撃だあああああああ!!!」
「うおおおおおおおお!!!」
佐治為景と加藤順盛の兵士達が喚声を上げて寺本城に突撃した。
「さて、お前らも黙って見てるなんて出来ないよな? ぶちかまして来い! 行けええええええええええ!!!」
近臣達にも進撃を促す。
「やったるっす!」池田恒興が、
「がはは、俺の糧になれ!」新免無二が、
「経験チー、美味シイヨー」許松が、
「過激に進撃、敵は惨劇、俺の斬撃、敵は辟易、俺の親父はもう時期還暦、俺の姉貴は適齢期」塙直政………、が?
親父と姉貴は関係ねえだろ!
他のみんなもスレイプニルから降りて、寺本城に駆け出した。
「僕達も行くのー?」
小天狗の天二が聞いてきた。
「ややこしくなりそうだからここで待機だな」
「やっぱりねー」
「アタイ達も行こうか?」と帰蝶。
「血が滾るで、はよう行こうっちゅうわけや」と鶴姫。
「僕も行くよ」とゆず。
「私はここで馬達を見てますね」と吉乃。
小天狗達がいるし、ニルもユニコーンもいるから、吉乃を置いて行っても大丈夫だな。
因みに直子は育児休暇中でいない。
俺達もスレイプニルから降りて、城の中を進んだ。
「もう敵は全然いゃせんで」
と言いながら、すがり付き命乞いする敵の首を大太刀で刎ねる鶴姫。
こわっ………。
「がはは、信長、こいつどうする?」
襟首を掴んで敵の大将を引き摺って来た新免無二。
「ひぇええええ、助けてくれえええええ。に、二度と織田家を裏切らないからさぁ、頼むよぉ。今川義元から籠城して織田信長を足止めするだけで良いって言われただけなんだよぉ。こんなの聞いてないよぉおおおお。何でこんなに簡単に城壁壊されるんだよぉ、何でこんなに沢山の兵が俺の城に来るんだよぉ。ひぃいいいい」
早口で捲し立て命乞いする花井某。
「斬れ!」
なんか言い訳を聞いてたら胸糞悪くなってきた。もし俺の出陣出来る兵が少なくて、足止めされてたら、俺の家臣の兵士達が何人死ぬと思ってんだ。
父信秀の代までは裏切っても「なあなあ」で済んだかも知れんが、俺は厳しく処断を下す事で、以後俺の領地で寝返り、裏切りが簡単には出来ない様にするのだ。
寝返りする奴らは失敗すれば死ぬ覚悟が必要になるだろう。
「がはは、やっぱりな」
「ダカラ、言ッタヨー」
許松は迷わず敵の大将である花井某の首を大太刀で刎ねた。
「さて、村木に行くか。饗談!佐治為景と加藤順盛と戸田康光を呼んで来い」
「分かったのじゃ」
饗談が俺の前に現れて、直ぐに消えた。
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佐治為景と加藤順盛と戸田康光が駆け付けてきた。
「康光、この城はお前に任せる。城主になって、花井氏の領地を管理しろ。取り敢えず水軍300を残して行くから何とかしろ。まあ、この辺りで直ぐに攻めてくるヤツはいないから大丈夫だろう」
「おお!感謝致します。この地を治めて水軍に貢献出来る兵を育てます」
「うむ、良しなに頼むぞ。為景、順盛、俺達は先に村木に行く。この城の後片付けは康光に任せて後から付いて来い。順盛はこの
「承知しました」
「分かったんや」
加藤順盛と佐治為景が了解したので、俺と妻達は城の外に出て、スレイプニルに乗る。
「饗談、近臣達にも出発する事を伝えてくれ。俺は先に村木に行ってるからな」
俺達が空を駆け始めると、近臣達も城から駆け出て来て慌ててスレイプニルに乗って付いて来る。
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