第136話 織田信長20歳

俺は20歳になった。


尾張守護である斯波義統の仇討ちを行い、尾張下四郡の守護代である清洲織田家の織田信友を倒した事で、織田信友に臣従していた豪族たちや日和見だった豪族達はもとより、弟信行に臣従していた者さえ、俺に恭順の意を表明した。


織田信光叔父も敏秀大叔父も清洲城攻略の際、俺と家臣達の実力を知り、全面的に俺に恭順の意を示した。


そして、那古野城から清洲城に居城を移し、俺は名実共に尾張下四郡の守護代の地位についた。


それに伴い生駒家、加藤家、伊藤屋に尾張下四郡の街道整備を命じた。


新絹で大儲けしてるし、勘合貿易でも儲けるはずなので良いだろう。特に文句も言わず、寧ろ嬉々として実施していた。


街道が整備されれば、益々儲かるだろうから、先行投資なのだろう。


そして、守護代の織田信友が生存中には出来なかった尾張下四郡内の関所の廃止を行い、俺の直轄領は全て楽市楽座を実施する事で、尾張下四郡の経済は右肩上がりに上昇する。………はずだ。


以上の政策は地方の豪族や与力達の領地までは干渉出来ないので、「そちらは勝手にやってくれ」と思ってる。


当然、弟織田信行の末森城下の事は知らん。末森城に続く街道も整備しないので、物流も迂回する事だろう。経済も下降気味になるわな。


いひひ、良い気味だ。ちょっと溜飲が下がる思いだ。


そんな中で、一つ悲しい事がある。那古野城の家老として政務を担って貰っていた海野棟綱が床に伏せている。医療に明るいゆずの話では病気ではないらしい。棟綱も81歳なので高齢による老衰との事だ。


と言うわけで、棟綱に替わり現在清洲城と尾張下四郡の政務は相良武任56歳・真田幸隆41歳・村井貞勝35歳に任せた。いつも丸投げの俺だ。


それから俺の与力である生駒家宗79歳、前田利春74歳、佐々成宗75歳も高齢である事から、隠居して嫡男に家督を譲る事になったので、清洲城から嫡男の生駒家長28歳、前田利久26歳、佐々政次32歳がそれぞれ居城に帰った。


そして前田利久には子供がいないので、滝川慶次を養子にさせた。前田慶次の誕生だ! 利久の弟である利玄または安勝の娘が大きくなったら結婚させれば、前田家の血筋は絶えないだろう。


そして、前田慶次と奥村永福は前田利久の荒子城に行く事になった。


それから、勘合貿易船が出発した。今までは往復で3年かかったらしいが、新型の船は性能が良いので、2年程度で戻ってくるらしい。


勘合貿易船に乗せた倭寇達は、何をするか心配なので監視と、もしもの為に鐘捲自斎を同行させた。無二と同じく剣豪達には頭が上がらない倭寇達なので、大丈夫だろう。


本当は倭寇達と仲が良い新免無二が良いかと思い、同行を打診したら即座に断られた。


「信長と一緒に戦わねえとレベルアップしねえだろう。これからいくさも増えそうなのに2年も海外に行くなんて真っ平だ。がはは」だそうだ。


そんな中で倭寇の一人である許松きょしょうが、新免無二に弟子入りして、尾張に残る事になった。こちらで暴れるのも楽しいらしい。


そして、水軍も発足。内藤興盛を大将に冷泉隆豊、戸田康光・尭光親子、佐治為景、鶴姫の魚人達が中核を担う。鶴姫はシャチの獣人で魚人じゃないけどね。


水軍は、まだ海戦はないのでもっぱら訓練と海賊退治、たまに生駒家・加藤家・伊藤屋の商人達に頼まれては海運をしている。


それから、また一人家臣が増えた。信濃の豪族で武田信玄と最後まで信濃の覇権を争った村上義清54歳、アナグマの獣人だ。武田信玄の大軍に攻められて、居城の葛尾城を捨てて逃げ出したところでスカウトした。

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