第96話 古渡城の戦い
古渡城を襲う清洲織田家の兵を討伐しに来た俺達は、散開して城下に火を放つ清洲織田軍を見つけた。
明らかに俺達への対応策なのだろう。人数が少ない俺達は軍として纏まって居れば、空から敵将の陣を空から襲撃して制圧出来るが、散開されると流石に時間が掛かる。
饗談を呼び出し敵将の位置は確認したが、敵将を倒しても敵軍が退却してくれるか分からない。
俺は後ろを振り向くと直ぐ後ろに新免無二が居て目を合わせた。早く降りて戦いたくてたまらない目をしていた。
「俺と新免無二は敵将に向かう!みんなは散開して、清洲織田の兵を倒せ!」
声を張り上げてみんなに伝えると。
「無二!行くぞ!」
「おうよ!」
「アタイも一緒に行くわ」
帰蝶は俺について来るらしい。と言うか、何でついて来てんの? 戦闘要員じゃないんだけど。
俺と新免無二、帰蝶は敵将の場所に飛び降りた。
ニルが敵兵を踏み潰し。無二が敵将を守る兵達を斬り殺し、帰蝶が空中から毒のナイフを投げた。毒のナイフは敵の首や目に突き刺さる。
「おいおい!ちょっと待てぇ!」
敵将が大声で俺に声を掛けて来た。
「どうした?命乞いか?」
俺がニルの上から苦笑いで敵将に尋ねる。
「そうだ、降参だ。もう良いだろう。何故殺す必要がある」
敵将と敵将を守る兵達は両手を上げて泣き顔で俺達を見ていた。
「俺達の城を襲い城下を荒らす敵は殺すだろう」
「同じ清洲織田家の者だぞ」
「馬鹿を言うな!同じ清洲織田家で仲間なら城下に火を放ち領民殺すな!」
俺が叫ぶと。
「そうそう、殺されたくなければ、死に物狂いで掛かって来い!命が途切れる1分1秒迄俺を殺す気で来るんだぞ。そして俺の糧になれ。がはは」
そう言って、無二が両手をあげてる兵の一人を斬り殺した。
「ほら、掛かって来ないとただ死んでいくだけだぞ。がはは」
「く、狂ってる………。チキショー!!!」
両手をあげていた兵達が刀を抜いて、泣きながら無二に掛かって行く。
「そう来なくっちゃ! 城下を荒らして、すんなり帰れると思うな! 死に物狂いで戦うか、逃げるか、二択しかねえ。がはは」
無二は喋りながら斬り伏せた。
「お、お前ら狂ってる。俺達は同じ清洲織田家で一緒に外敵と戦う者なのに、戦力を減らす事になるんだぞ」
俺には訳の分からない事を言う敵将。
「その外敵と通じて、尾張を窮地に陥れてる病原菌どもが勝手な事を言うな!」
俺はアラクネクイーンの直子を召喚して、敵将を蜘蛛の糸がんじがらめにした。
「病原菌」ってこの世界の人達は知ってんのかなぁ? ってちょっと思ったけど、まあ良いか。
「くっ、お前らぁ、見てろよぉ」
悔しがる敵将。
知らんがな。お前らが悪いんだろうに。
「アニキ、制圧したっす。大垣城に急がねえといけねえっす」
スレイプニルに乗り、刀を振り血糊を飛ばして、池田恒興が駆けつけた。返り血であちこち赤くなっている。
「お、お前らもしかしたら、俺の兵達を皆殺しにしたんじゃないよなぁ?」
蜘蛛の糸で拘束された敵将が恐る恐る聞く。
「殺したに決まってるっす」
恒興が平然と答える。
「お前らぁああああ、正気かあああああ」
何だこいつ、遊びじゃないんだから、襲って来たら殺すだろうに。
恒興以外の家臣もあちこちから駆けつける。
「全員いるか?」
「多分いるっす」
多分じゃダメなんだよぉ。
「全員います」
木下藤吉郎が答えた。
よし、流石秀吉。
「行くぞ! 敵将は直子が吊って来い!」
直子は帰蝶のスレイプニルの後ろに乗り、一緒に大垣城に向かった。
「ひゃあああああああ! 死ぬううううう! 助けてえええええ!!」
蜘蛛の糸で逆さに吊るされて、大泣きで喚く敵将を無視して、大垣城へ向かって空を駆ける。
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