第97話 大垣城の戦い
スレイプニルに乗って空を掛けて、大垣城に向かう俺達。先行していた父信秀の軍を発見した。
「オヤジの軍を発見したので、一先ず合流して、
空から降りて父信秀軍と合流し、古渡城の顛末を報告すると同時に拘束した敵将を父信秀に渡す。
ついでに
「成る程、それで坂井甚介だけ連れて来たのか」
父信秀は泡を吹いて気絶している敵将坂井甚介を見た。
父信秀は一気に頬が痩けて、病状が進んでいる様に見えた。しかし目だけ異様に輝き迫力が増した様に見える。
敵将は坂井甚介、清洲織田家の実権を握る家老である坂井大膳の弟だった。
「ば、馬鹿な清洲織田家の兵を皆殺しするなんて、正気の沙汰とは思えん………。大うつけが………。」
林秀貞が独り言を言う。
聞こえるんですけど! 態と聞こえる様に言ってんのかぁ。喧嘩売ってんの?
俺が林秀貞を殺気を込めて睨むと、林秀貞は怯えて柴田勝家の後ろに隠れた。
隠れるぐらいなら言うなっちゅうに。
父信秀軍本陣では柴田勝家、織田信光、佐久間信盛、林秀貞、平手政秀が古渡城の戦いの顛末を聞いていた。
平手政秀はその結果に驚いていた。何か驚く要素があるか?
「これは、清洲織田家黙っていないぞ!」
佐久間信盛が叫ぶ。
佐久間信盛は19歳で、父信秀が育成した血気溢れる武将だ。
「黙っていないも何も、向こうから攻めて来たんだ、倒すのは道理。黙ってないなら、今から俺が清洲織田家の居城、清洲城を落として来ようか?」
俺は佐久間信盛を睨む。
佐久間信綱はちょっと怯んだ後、何もなかった様に平然とした態度を取る。
「信長、それは言い過ぎだ」
と信光叔父が俺に言うので俺は黙る事にした。
『何だったら、岩倉織田家も守護の斯波氏も尾張国から追い払ってやるか!』と言う言葉をのみ込む。
下剋上の世の中だ。主家を倒してのし上がるのが戦国武将だ。何も悪くない。
清洲織田家も岩倉織田家もみんな仲間で戦力と言うが、
だから、駿河国の今川戦でも今回の美濃国の斎藤戦でも迎撃する時は間に合わない。その上、隙を見せると牙をむく。その為、常に国内にも抑えの戦力を置いておく必要がある。
そんな戦力はいらない。早々に駆逐した方が百害あって一利なしだ。奴らを倒して自前の戦力を増やした方がよっぽど良いだろうに。
「信長は清洲織田家も倒した方が良いと思ってるのか………」
父信秀が独り言を言い、何か考えてる様子だ。
「主家に楯突くなんて100年早い。やっぱり信長は大うつけ者か………」
柴田勝家が呟く。
100年も立ったら死んでるし……。
俺は勝家を睨み、勝家も俺を注視する。
ちょっと一触即発の雰囲気。
「その話は後だ! 先ずは大垣城に急ごう」
信光叔父の言葉に父信秀軍は先を急ぐ事にした。
「信秀様、先に行ってます」
と俺はオヤジに言う。
「良し、信長。先鋒を任すぞ」
とオヤジの許可を得たので、ニルに乗って空を駆ける。すると何も言わずとも俺の家臣達がついて来る。流石だね。
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大垣城に到着する前に、大垣城から逃げて来た武将達に出会った。大垣城は落城した後だったのだ。
くそっ、清洲織田家が古渡城に攻めて来なければ間に合ったかも知れないのに………。
このまま、大垣城に攻め込もうと思ったが、饗談と猿飛佐助が止める。
「斎藤利政は対空の準備として、鉄砲を大垣城に配置したのじゃ。その数では危ういのじゃ」
と饗談。
「今川軍、
と佐助。
はぁ、今川軍が!?
俺は急いで、父信秀のところに報告に戻る事にした。
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