第61話 養徳院
ダンジョンの階数を増やした後、地下23階には、コカトリスと猪、野牛のモンスターをテイムし連れて来て配置した。鶏肉、鶏卵、豚肉、牛肉も食べられる。乳製品の製造や食肉加工もしたいな。
世話はいつもの蟻さんだ。蟻は働くねぇ。
ダンジョン機能で田んぼと酒造所、酒蔵はあっという間に完成し、酒造りは直ぐに始まった。
そして蒸留の仕組みを根来衆に教えて、最適な蒸留温度などを試行錯誤して貰う事にした。
蒸留の装置も根来衆達があっと言う間に作った。酒に関する事はやけに積極的な根来衆達だった。
50人の鉄砲隊&技術者を派遣してくれた津田監物に感謝だ。
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時は遡り、俺と帰蝶、恒興、ゆず、果心居士、直子の6人はダンジョンから志賀城に戻って来た時。
志賀城にに入ると迎えたのは養徳院。
久し振りの登場だが、俺の乳母から父信秀の側室になった恒興の母だ。
俺を産んだ土田御前は弟信行と一緒に住んでおり、殆ど会った事が無いので、俺は育ての母である養徳院を母と思っている。義母なので、母ではあるけどね。
「もう、吉法師様。那古野城に殆ど居なくて会えないから、会いに来ちゃったよぉ」
養徳院は俺を抱き締めた。豊満な胸に顔が埋まる俺。嬉しいけどちょっと苦しい。
「恒興も元気みたいだねぇ。吉法師様の言う事をちゃんと聞いて、武芸を磨くんですよぉ」
と言って養徳院は恒興も抱き締めた。
「ちょっとぉ、母さん恥ずかしいって」
と恒興は養徳院から逃れようとしている。
「誰?」
とゆずが養徳院の事を帰蝶に聞いている。
「養徳院様よ。吉法師様の乳母で育ての母で、信秀様の側室なったので義母でもある、ツネちゃんの母よ」
「ん? 何だか複雑ね。要は吉法師様の育ての母と思えばいいか」
養徳院が恒興の抱擁を終えると、ゆずが養徳院に挨拶する。
「養徳院様、初めてお目にかかります。僕は北伊勢の坂氏のゆずと申します。宜しくお願い致します」
「あらぁ、吉法師様、また可愛い子を連れて来たわねぇ。ゆずちゃん、宜しくね」
「ゆずは優秀な錬金術師なんだよ。鉄砲の改良と大砲の開発に伴う火薬の調合をして貰うんだ」
と俺が言うと。
「僕は吉法師様の側室になります」
とゆずが宣言した。
「あらぁ、まぁまぁ。それはそれは。吉法師様は相変わらず隅に置けないわぁ。元服前にオイタはいけませんよぉ」
「ははは、重々承知していますので、自重してます」
「養徳院様! お久しぶりです」
帰蝶は養徳院に抱き付いた。
帰蝶はツボを心得ているからなぁ。母性本能の固まり養徳院も、嬉しそうに帰蝶を抱き締める。
「帰蝶ちゃんも元気そうで良かったわぁ。そして直子ちゃんも相変わらずねぇ」
養徳院は帰蝶を抱き締めながら直子を見る。
「お久しぶりです」
直子は無表情で養徳院に挨拶する。
「さあさあ、美味しいお茶とお菓子を持って来たのよぉ、みんなでお茶しましょう。積もる話も聞きたいし、そろそろ吉法師様の元服の儀もあるから話をしたいわ」
養徳院と帰蝶が手を繋いで志賀城の応接室に向かって行き、俺達はその後をついていく。
「母ちゃん! 俺は鍛練に行ってくるよ!」
と言って、恒興は逃げ出した。
恥ずかしいんだろうね。
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明日から1日3話投稿します。
6:00、12:00、18:00です。
朝の通勤通学時とお昼休みと帰宅後にお楽しみください。
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