第60話 酒造り2

俺と帰蝶、ゆず、池田恒興、果心居士の5人は、ダンジョン『蟲の洞窟』の最下層に転移した


そこはパラダイスだった。


「おおおおおおおおおお!」

目を見開き変な声をあげる恒興。


「ツネちゃん、うるさい!」

怒りながら俺の後ろに抱きつくと両手で両目を塞ぐ帰蝶。


「見ちゃだめえええええええ!」

そして叫ぶ。


「吉法師様、いったいここは何! 僕は信じられないよ」

頬を膨らませプンプンのゆず。


大勢の可愛い少女達が、全裸・・で機を織る光景はパラダイスだ! 間違いない!


ふっくらとした乳房が、機を織る度揺れて形を変える。すらりとした足。機織り機に見え隠れする薄い茂みの秘部。


両目を隠されない恒興は狡い。と思ってたら、ゆずが恒興の後頭部をぐーで殴っていた。

「いつまで見てんのよ!」


「いたっ!だって、こんなの見ちゃうっす」

踞る恒興。


「こんにちわ、ようこそ」

直子がやって来た。直子は服を来ている。


帰蝶が全裸の少女達が見えない様に、俺の向きを変えて直子に挨拶する。


「直子、こんにちわ、久し振り。この子達は何! 何で全裸なの?」


「アラクネよ」


「何で全裸なのよ!」


「変?」


「変に決まってるでしょ。生地を作ってるんだから、服ぐらい作ってあげなさい」


「そう? 分かった」


「あぁ、パラダイスがぁ」

嘆く恒興。


うん、分かるぞ。分かる。口に出さないけど俺も同意だ。


「ん? アラクネが増えたのか」


「私がアラクネクイーンになったら、ダンジョンの設定でアラクネを配置出来る様になった。機織りに便利。彼女達は機織りが好きなので、いつまでも機を織る。量産出来る」


「成る程、蜘蛛達がどうやって機織りしてるのかと思ったら、アラクネだったのか」


「そう」


「あのぉ、僕ゆず、初めまして、宜しく」

話がちょっと途切れたタイミングでゆずが直子に挨拶した。


「私直子宜しく」

素っ気ない挨拶の直子。


「直子、相談があるんだけど。ここではツネ・・の気が散るので、ダンジョンの管理ルームに行こう」


「はい」


俺は酒造りの事を直子相談した。


「可能。だが最下層を広げ過ぎた。だから、ダンジョンの階層を増やす」


「え、そんな事出来るの?」


「はい。家臣達が毎日ダンジョンに潜って、ダンジョンポイントが貯まった」


「みんな一人で何回迄行けるか競争してるみたいだよ」

帰蝶が教えてくれた。


「ほうほう、誰がトップだ?」


「新免無二と滝川慶次よ地下17階ね。そこに行くまで体力を使って蟻を突破出来ないみたい」


「へぇ、富田勢源と愛洲小七郎より進んでいるんだね、意外だな」


「あぁ、彼らは指導が忙しくて参加してないみたいだよ」


「成る程、納得だ」


「吉法師様、地下30階迄増やす」

と直子が俺と帰蝶の会話の途切れたタイミングで確認する。


「お、おう。それで良いよ」


「はい」


ダンジョンの階層別の利用方法は下記の様に変更した。


地下30階をダンジョン管理エリア兼機織りの工場。

地下29階を糸の生産。

地下28階を酒造所と酒蔵。

地下27階を田んぼ。

地下26階を花畑にして蜂蜜の製造。

地下25階はトレントの森。

地下24階は鉱石の採取場。

地下23階から地下21階は空き。

地下20階は蜘蛛のエリア。


空きの階は何にしようか……。

エルダートレントを連れてきたら、トレントを設置出来る様になっていたので、蟲以外のモンスター連れて来ようか。


「あぁ、地下21階は北伊勢に連れてって行って成長した蟲達に守らせよう。強力で連携もするから突破出来る奴はいないだろう」


「了解」


「直子も機織りはアラクネに任せて、志賀城に来てても良いぞ」


「承知」

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