第53話 坂氏の村1
坂氏の村に足を踏み入れたとたんに矢が飛んできたので、俺は矢を斬り飛ばす。
「殺すなよ!」
俺は蟲達に叫んだ。
木の上に二人いた様で
二人は女の子だ。12歳の俺よりは歳が上だろう。耳が尖っていて、色黒のところを見るとダークエルフだな。
蟲達が二人に群がり威嚇する。
「ひぇ~、気持ち悪いよ~、助けて~」
震えておしっこをチビる少女。
「ちょっとぉ! 何すんのよぉ! あんた達何者よぉ! 何の用なのよぉ」
じたばた暴れる少女。
「そのくらいにしなさい!」
俺が叫ぶと蟲達はエルダートレントの枝に戻って行った。
蟲達は、二人が俺に矢を射った事で怒っていたらしい。
俺は抜刀しぐるぐる巻きなった蜘蛛の糸を、少女達を傷付けないように斬った。
そして、枝から落ちた少女の1人を受け止める。
じたばたしてた少女をお姫様抱っこして声をかけた
「怖い思いをさせてすまなかったね。争いに来たんじゃないんだ」
「ちょっとぉ………」
俺の顔を見て何故か頬を赤らめる少女。
もう1人は杉谷善住坊が受け止めて、下におろしたが……。
「キャァ、サイクロプス! 怖いよぉ……」
怖くてお尻をつき後退る。
俺は目の前の女の子に話し掛けた。
「俺達は怪しい者じゃない。坂氏の人にお願いしたい事があって来たんだ。村の責任者の人と話したい」
「責任者って、村長ね」
と女の子が言うと──。
「儂が村長じゃ」
村の奥からダークエルフの老婆が来た。
「あ、村長!」
女の子達が村長に抱き付く。
「私は尾張の織田信秀の嫡男、吉法師と申します。坂氏にお願いがあってきました」
と俺が老婆に言うと
「尾張の吉法師殿か。ん? 後ろにおるのは果心居士殿じゃないかえ」
「ほっほっほ、如何にも儂が果心居士だ。はてお主は誰だったかな。すまんが思い出せんぞ。何処かで見た事がありそうなんだがな」
「儂じゃ、儂じゃ、
「ほっほっほ、成る程、坂九仏の面影があるな。子供の頃会った事があるのだな」
「果心居士殿は変わらぬのう」
「ほっほっほ、儂は不老不死だからな」
「流石、果心居士殿じゃ。儂の渾身の結界を壊さずすり抜けたのも、果心居士殿なら納得じゃ」
「ほっほっほ、お主の結界もなかなかの物だったぞ」
「まあ、こんなところで話すのは、果心居士殿にも吉法師様にも失礼じゃな。こちらにどうぞ。そうそう蟲は遠慮して貰えんかのう、村のみんなが驚くからのう」
「そうですね。送還します」
俺は蟲達とエルダートレントを送還した。
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