第52話 北伊勢3

俺達はトレントを倒しながら森を進む。


「ん? テイムしたトレントが強くなっている気がするな」

と俺が言うと。


「レベルアップしたんじゃないすか?」

と恒興がこたえる。


「ふむ、そうかもな。ツネも良い事言うね。アラクネの直子もいつの間にかアラクネクイーンになってたしな。ダンジョンマスターにしたからと思ってたが、レベルアップしてたのかもね。直子は無口だからなぁ」


「直子は嬉しそうに、レベルアップしたって言ってたわよ」

と帰蝶が教えてくれた。


「やっぱりそうか」


初めのうちは帰蝶を襲うトレントを、テイムしたトレントが押さえて、俺が斬り倒していたが、いつの間にかテイムしたトレントの一撃で、襲ってくるトレントを倒す様になっていたので、もしやと思った。


「ふむ、じゃあコイツらもレベルアップさせるか」

俺は蟲の洞窟でテイムしたモンスターを召喚した。


「うお、ビックリしたぜ」

善住坊が驚きの声をあげる。


「気持ち悪いっす」

ツネは蟲が苦手そうだ。


蜚蠊ゴキブリだけは生理的イヤよ」

と帰蝶が俺の手に抱き付き、俺の手を帰蝶の股間に挟んだ。


そ、それはイケナイ事では……。

帰蝶は驚き赤くなる俺を見て、ほくそ笑む。

コイツ確信犯だな。


目の前に蟲の洞窟で初めにテイムした奴らと合わせて百足ムカデ蠼螋ハサミムシ蟷螂カマキリ芋虫イモムシチョウ蜜蜂ミツバチ毛虫ケムシアリ地獄アリジゴク薄翅蜉蝣ウスバカゲロウ田鼈タガメ斑猫ハンミョウ蜚蠊ゴキブリ飛蝗バッタ髪切虫カミキリムシ兜虫カブトムシ鍬形虫クワガタムシアブサソリ雀蜂スズメバチ蜻蛉トンボ女郎蜘蛛ジョウロウグモ戸閉蜘蛛トタテグモ大土蜘蛛タランチュラを1匹づつ召喚したのだ。


流石に水蠆ヤゴは水生昆虫なので召喚しないでおいた。田鼈タガメも水生昆虫だが、飛行するし陸でも大丈夫なはず……。元気に動く田鼈タガメを見る。うん大丈夫みたい。


蟲達が嬉しそうに俺の周りを飛び回り。足元で蠢いた後、芋虫と毛虫はテイムしたトレントによじ登り、空を飛ぶ蟲達もトレントの上で羽を休めていた。


「さあ、行くか」


俺達は更に前に進む。


帰蝶の護衛はトレントと蟲達で、俺の出る幕はなくなり、進む速度が上がった。


トレント達は至るところに出現し、良い木材を大量にGETした。


テイムしたトレントはエルダートレントに種族が成長し、蟲達もレベルアップしそれぞれ上位種に成長した。


暫く進むと目に前に霧が出てきた。霧は人の形になって消えると霧隠才蔵が現れた。


「ここから先は結界でござる」


「ほっほっほ、どうやら強力な迷いの結界だな。進んで行くといつの間にか元の道に戻るタイプの結界だ」

果心居士は手のひらを結界に向け、何やら調べていたらしい。


「通れるっすか?」

恒興が果心居士に尋た。


「ほっほっほ、儂なら一発で壊せるぞ」

果心居士は平然といつもの笑みを浮かべる。


「戦いに来たんじゃないから、壊しちゃ駄目だよ。何か方法はないのか?」

俺が果心居士に尋ねる。


「ほっほっほ、まあ、やってみよう」

果心居士は左手の杖を前に構えた。


果心居士が杖を使うのを初めて見たぞ。いつも右手を上から下ろしたり、振ったりしてるだけだからな。よっぽど強力な結界なんだろう。


帰蝶が俺にすり寄り心配そうに見ている。


果心居士の杖から魔力が伸びた。細いが濃厚で強力な線だ。黒いレーザービームの様だ。


魔力の線は次第に大きくなる。そして最後にはトンネルなった。巨人の杉谷善住坊も通れる大きさだ。


「ほっほっほ、この中を進むが良い」


俺達は魔力のトンネルを進む。最後に果心居士が杖を前に構えながら歩いて来る。果心居士の後ろは元の結界に戻っている様だ。


蟲達もトレントも一緒にトンネルを潜った。

トンネルを抜けると里村に出た。


先頭を歩いてた俺が、里村に足を踏み入れたとたんに弓矢が飛んできた、俺は抜刀し矢を斬り飛ばした。

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