第30話 蜜蜂、田鼈

果心居士にテイムした芋虫を収納して貰った。

ん? これって使えんじゃね。


テイムしたモンスターを合戦で使うのも有りだな。あまり多いと魔王になっちゃうから、取り敢えずこれから出て来るモンスターを、1匹づつテイムしておくか。


と思ったけど地下5階は蜜蜂だから、こいつらは捕獲して、女王蜂をテイムすれば、蜂蜜を定期的手に入れられるんだよね。


ドラモンでは、蝶を倒すと鱗粉を取得して、鱗粉を使って働き蜂達を眠らせる手順だったんだけど……。


蝶の死骸からどうやって鱗粉を採取するんだ? 仮に鱗粉を取り出したとしても、使い方が分からん。


ゲームならアイテムボックスの鱗粉を選択して『使う』を選択するだけなんだけどなぁ。


困った時の果心居士先生だ。


「果心居士、蜂達を動け無くして、捕獲したいんだけど出来るかな?」


「ほっほっほ、出来るぞ」


「おお! 流石果心居士。頼むよ。ああ、女王蜂だけ俺がテイムするからね」


「ほっほっほ、承知したぞ」


そうしたら、地下5階は果心居士の一人舞台になった。正直このダンジョン自体、果心居士一人で攻略出来たであろう事を、目の前で目撃し、皆あんぐりと口を開けて見とれる事しか出来なかった。


果心居士は浮遊し空中をスイーっと進むと、出てきた働き蜂に向かって手を下ろすだけで、雷が働き蜂に落ちた。手加減した雷は働き蜂を麻痺させて、そのまま影に消えていく。


「マジかよ……」

恒興は目を見開き開いた口塞がらない。


「流石にここまで凄いとは思わないかったぜ。がはは」

新免無二も驚く。


「か、果心居士様って何者ですか? こんなにあっさり地下5階をクリア出来るとは……」

木下藤吉郎もかつて見たこともない光景に、驚きを隠せない。


俺達は果心居士の後をついていくだけで、地下5階の最後の部屋にたどり着いた。


最後の部屋で待ち構えていた女王蜂を、あっさり俺がテイムして地下5階をクリアした。


「流石、吉法師様♪ 格好いい♥」

帰蝶が後ろから抱き付いてきた。


帰蝶の胸が背中に当たってるし、俺の胸をさわさわしている。

「乳首は感じるから止めてくれぇ」


「駄目ですか?」

耳元で囁く帰蝶。


「駄目だよ」


「ふふふ、どうして駄目なんですか?」

耳に息を吹き掛けながら耳元で囁く帰蝶。


「か、感じるからだよ」


「うふ、気持ち良いでしょ。止めますか?」

耳に舌を入れて、耳元で囁く帰蝶。


気持ち良いに決まってるだろぉ。

帰蝶は絶対俺で遊んでやがる。

皆の前では止めて欲しい。


因みに藤吉郎曰く、働き蜂はビッグハニービー、女王蜂はビッグハニービークイーンと言うらしい。


通常の蜂と同じ形だが、大きさが1mくらいあるのだ。


「サル、地下6階は毛虫と蛾だよな」


「はい。毛虫のモンスターはビッグキャタピラー、蛾のモンスターはビッグモスと言います」


ここからは、初めの1匹だけテイムしその後は問題無く倒していった。


地下7階は蟻地獄と薄翅蜉蝣ウスバカゲロウ。地下8階は田鼈タガメだった。


冒険者達が攻略出来ずにいた地下8階は、一面に水があり橋のように道があった。水の中から不意に現れる田鼈タガメを倒すのが難しかったのだろう。


最初の1匹はテイムしたので後は倒すのだ。


「小次郎、右から」

「慶次、右前」

「無二、左後ろ」

と猿飛佐助の指示がとぶ。


「分かってるって。がはは」


佐助の索敵は完璧で、俺達に不意討ちは出来ず簡単に斬られていった。


後衛を襲う田鼈タガメは果心居士が雷で撃ち落としていく。


そして、前人未到の地下9階へ降りていく。

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