第29話 芋虫と蝶

俺達はダンジョン『蟲の洞窟』の地下4階に降りようとしている。


「宝箱の中身はカスばっかりだった。地下4階には魔眼が有ります様に。がはは」

新免無二が独り言を言っている。


「こんな浅い階に、そんな宝物が有るわけ無いでしょ。暴走オヤジは全く物を知らないんだから。ね、吉法師様」


帰蝶が顔を斜めにして、「ね」って言う時の仕草は可愛い。


ううう、計算した仕草で小聡明あざといのは、分かってるんだけどね。


「そうなのか? ならばどんどん進むまでよ。がはは」


「ちょっと待って、この階には芋虫のモンスターと蝶のモンスターがでるんだけど、芋虫は俺に任せてくれ」


「お、おう」


「それと蝶のモンスターは飛んできて、空中から鱗粉を撒き散らすので……、果心居士、佐助、風を起こして鱗粉を飛ばせ無いか?」


「ほっほっほ、問題無いぞ」

「出来る」

果心居士と佐助は二人とも出来る様だ。


「そして空中の敵を攻撃出来る人?」

と聞いたら、池田恒興以外は皆手をあげた。


恒興は周りをキョロキョロ見ている。


問題無いな。木下藤吉郎も攻撃出来るんだ。Cランク冒険者って言ってたし、大丈夫だろう。


「あ、後で鱗粉を取るので、翅には傷つけ無いでね」


と言う訳で地下4階へ。


芋虫のモンスター、藤吉郎曰くこの世界の名前は、ビッググリーンキャタピラーらしい。


芋虫が出現したので、片っ端からテイムした。糸を吐く前にテイムしちゃうのだ。


芋虫が吐く糸は通常攻撃されると粘着性が強く、くっつくと絡まり動けなくなるのだが、テイムすると粘着性が無い糸も吐く事が出来る。


この糸は絹に勝るとも劣らない滑らかさを持つと同時に、伸縮性が有り切れにくい強い糸、しかもこの糸で作った服は肌触りが良く、軽くて着心地が良い。


RPG『ドラゴン&モンスター』の中で、この糸で作った服が高い値段で売れたのだ。


そうこうしていると、蝶のモンスターが現れた。睡眠効果のある鱗粉を撒き散らしながら飛んできた。


果心居士と猿飛佐助がまえに立ち、風の魔法で追い風にする事で鱗粉はこちら側に飛んで来ない。


帰蝶が毒を塗ったナイフを投げる。


慶次は朱槍を振るうと蝶モンスターを両断する。


新免無二と佐々木小次郎はジャンプして斬っていた。


木下藤吉郎は苦内くないの様な武器を投げていた。


猿飛佐助は手裏剣だ。


俺が芋虫のモンスターをテイムし、それぞれの武器で蝶のモンスターを倒しながら地下4階攻略した。


俺の後ろから6匹の芋虫がズルズルついてくる。うーんこの先に進むのに邪魔だな。困った時の果心居士だ


「果心居士、この芋虫達も収納出来ないかな?」


「ほっほっほ、収納出来きるぞ」


「おお! 良かった。収納してくれ」


「ほっほっほ、承知した」


果心居士が手を下げると、6匹の芋虫達が影に吸い込まれていった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る