第27話 百足

「これ、いる?」

大きい百足を山ほど大量に抱えた佐助が現れた。


「うは、気持ち悪いっすね」

恒興は見るのもイヤそうだ。


「すいません、2匹ほど貰っても良いですか? 百足退治のクエストを受けてまして」

と藤吉郎が言うので。


「ああ、2匹ぐらい良いよ」

と分けてやる事にした。


「あら、毒百足ね。アタイは毒袋が欲しいわ。良いでしょ」

帰蝶が上目遣いで見る。


「勿論、好きな部位をあげるよ」


「やったぁ 、有り難う」

チュッ、ペロッ。


「ひゃぁ」

頬が赤くなる俺。


「吉法師様、可愛い」

俺に更にすり寄る帰蝶。


「Bランクの冒険者だって、数が多いと手子摺るポイズンセンチピードをこんなに倒すなんて……」

絶句の藤吉郎。


「ポイズンセンチピード?」


「はっ! ポイズンセンチピードはこの百足のモンスターです。毒袋以外も素材を買い取りして貰えるので、持ち帰れるなら持ち帰った方が良いのですが……」

藤吉郎は俺達を見渡す。


「誰もバッグとか持って無いですね。解体して高価な部位だけ、私のリュックに入るだけ入れましょう」

藤吉郎は背負っていたリュックを降ろす。


「いや、リュックに入れなくて良いよ。果心居士頼むよ」


そう言えば俺達って、ダンジョン攻略の準備って全くしてないな。


「ほっほっほ、承知した」

果心居士手を上から下ろすとポイズンセンチピードが影に消えた。


「え? ええええええ! 何処に消えたんですかぁあああああ」

驚く藤吉郎。


「ははは、果心居士の収納魔法だ」


「す、凄い魔法だ。常識が崩れます。その魔法があれば幾らでも稼げるし、重い荷物を持た無くて良い……。ど、どのくらい収納出来るんですか?」

藤吉郎が果心居士に尋ねる。


「ほっほっほ、幾らでも収納出来るぞ」


「おらも、幾らでも、収納出来る」

お、佐助も収納出来るらしい。


「佐助、じゃあ、倒したモンスターは全て収納してくれ。最後に売れる物と売れない物を判断しよう」


「承知、じゃあ無二の分、収納してくる」

と言って佐助が消えた。


「吉法師様、皆さん凄すぎます」

藤吉郎が泣きそうな顔で俺を見る。


「まだまだ序の口よ。ね。」

と言って俺を見る帰蝶。


「そ、そうだな」

何が序の口か分からんが、藤吉郎の反応を見て俺達が常識外である事は理解した。


「サル、ところで普通ダンジョンを攻略する時になんか持ってくるのか?」


「え! あれ? 何も用意して無いんですか?」

手ぶらの俺達を見て「信じられない」って顔をして、尋ねる藤吉郎。


「あ、ああ。剣術の修行の一環で来てるからね」


「ええええ! 普通は食料や回復薬、野営の準備、素材持ち帰り用の袋、武器の予備、マップ等を持って来ます」


「ふうん。果心居士、なんか持ってる?」


「ほっほっほ、儂は以前に狩ったモンスターの肉くらいだな。儂は持って無いが佐助なら持ってるだろう」


「おら、持ってる」

急に現れた佐助。


「サル、持ってるらしいぞ」


「はぁ、私も1人分は持ってます。食料は迷子になった時の為、各自持ってた方が良いですよ」


「ほっほっほ、儂と佐助がいれば迷子になら無いぞ」

と言って果心居士が佐助を見る。


佐助は頷いている。


そこに新免無二が駆け寄って来た。

「果心居士、魔眼は何処にあるんだ? それらしい物はねえぞ。がはは」


「ほっほっほ、ダンジョンの宝箱に入っている可能性があるぞ」


「はいぃ? 魔眼なんて滅多にで無いですよ。今まで見た事もないです。」

藤吉郎が話に割り込むが、無二は聞いていない。


「がはは、佐助、この階に宝箱はあるか?」


「無い」


「がはは、良し、じゃあ下の階に行こう。佐助案内してくれ」


「承知」


佐助と無二は前に駆けて行く。

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