第26話 ダンジョン4

ダンジョンの中を歩いている。

洞窟型のダンジョンだ。


俺の右隣を木下藤吉郎が歩いて、左腕には帰蝶が手を絡めている。3人が横に並んで余裕で歩ける広さの洞窟だ。


俺の前には佐々木小次郎と滝沢慶次が並んで歩いていて、俺の後ろには池田恒興、その後ろに果心居士がいる。


佐助は小次郎達の前で急に消えたり現れたりしていて、新免無二は小次郎達の前をズンズン歩いて行く。


「このダンジョンは『蟲の洞窟』と呼ばれており、蟲のモンスターが多く出現します」

藤吉郎がガイドの様にダンジョンの説明を始めた。


「へぇ、ここは地下何回まであるんだ?」


「現在地下8階まで攻略されていますが、その先は未踏の地となっています」


「ほう」

俺は相槌を打っておく。


藤吉郎は10歳の俺より低い身長の猿の獣人だ。


「藤吉郎はダンジョンに詳しいな。冒険者なのか?」


「私の事は『サル』とお呼びください。私はCランクの冒険者です」


「へぇ、ベテランだなぁ。歳は何歳だ」


「7歳でございます」


「おお、その歳でCランクとは、……凄いんだろう。帰蝶」


「そうねぇ。7歳でCランクは聞いた事が無いわね」


「サル 、優秀なんだな。召し抱えて良かったよ」


「何を仰いますか。帰蝶様こそAランクは凄いです」


「帰蝶、凄いのか?」


「うふ、アタイは冒険者じゃないわよ。Aランクの実力は無いわ。期待しないでよ」


「ええええ! じゃあ偽物のAランクじゃないすか!」

後ろから恒興がツッコミを入れる。


「まあ、そんなところね。えへっ」

俺にウィンクをする帰蝶。


(親に言って領主権限で、Aランクを発行して貰ったなんて言え無いわ)


「ところで、こんなにのんびり話が出来る様な場所じゃないんですが……」

藤吉郎がキョロキョロ周りを見渡す。


前にいる慶次も小次郎も武器は構えているが暇そうだ。


「小次郎、モンスターは出たか?」


「殆ど無二殿と佐助が倒して、ここまで来ない」

小次郎物干し竿を手持ち無沙汰に持っている。


「暇だよ」

と言って慶次はキセルを吸い出した。


<レベルが上がりました>


「な、何ですかこれは!」

驚く藤吉郎。


「これが強くなったって事ね。吉法師様、ステキ! 有り難う」

チュッ

帰蝶は喜びキスしてきた。


「どうやら前方で佐助や無二がモンスターを倒している様だな」


「吉法師様のスキルですか! 凄い、凄過ぎます。確かに力がついたのが分かります!」

藤吉郎み喜び、嬉しそうに俺を見る。


「ま、まあ。スキル、なのかなぁ。果心居士、ところで、スキルって何!」


「ほっほっほ、知らなかったのか、人が生まれた時から持っている能力だ。今の時代は元服の儀の時に鑑定する」


「そうっすよ。武将は大抵戦闘スキルがあるっす。俺の父ちゃんも刀術のスキルがあるっす。他に槍術や射撃術、変わったところで身体強化があるっす。アニキもきっと強力なスキルがあるっす」

恒興はスキルに興味があるのか、やたら詳しく、早口で捲し立てた。


「ふうん。そうか」


『信長の野暮★な事は言わないで』にそんなのあったかなぁ?


ダンジョンも無かったよなぁ。

合戦を経験すると成長するシステムだったよなぁ。


どうなってんだろう?

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