第15話 富田勢源?
諸岡一羽と林崎甚助が俺の配下に加わり、那古野城での剣術の鍛練は厳しさを増し、技術が向上している事を実感している。
そこで俺は果心居士に次の剣豪の面会を相談した。
「次は富田勢源のところに行こう」
「ほっほっほ、行くのは良いのだが。せめて尾張を統一してからの方が実現性はあるぞ」
「尾張統一の為にも人材が必要なんだよ」
「ほっほっほ、まあ行くだけ行ってみるか」
「饗談! 富田勢源は越前の朝倉氏のところにいるのかね」
俺の後ろからスイーっと現れる饗談。
「目を患って今は美濃の朝倉氏のところに身を寄せている様じゃ」
「ほう、それはまた近場にいるな。美濃なら今回はお忍びで俺と果心居士だけで行くか」
「アニキ、また剣豪勧誘に行くんすか? まさか、俺を置いていかないっすよね」
恒興が聞き耳を立てていたのか、俺の袖を引っ張る。
諸岡一羽と林崎甚助が来て池田恒興も腕を上げているが、まだまだ剣豪の門人には敵わないので、護衛にはならないんだよね。
「ん? ツネは足手纏いだから留守番だ」
「え~、そんな殺生すよぉおおお」
「おいおい、静かにしろ! 皆に聞こえちゃうだろ」
「どうしました」
「何か有り申したか」
「また、どこかに行くのか?」
諸岡一羽と林崎甚助、慶次も集まって来た。この3人は俺の小姓として仕える事にしたので、いつも近くに居るんだよなぁ。
忍者の皆はそれぞれ任務を与えているからここにいないので良いけど。
でも、猿飛佐助と石川五右衛門は仙術を使って、遠くからでも俺を見ていて、危なくなると来るんだよね。
あと饗談も呼べばすぐ出て来るから、いつも動向を見張られてるのかな。
ちょっと恐いぞ。エッチが出来ないじゃん。
(エッチなら我がお相手するのじゃ)
ひぇ! 饗談は眷族にしたから心を読まれるんだった。
良いから良いから。今直ぐエッチしたいんじゃねーよ。10歳の子供に何言ってんだ。
もう! 念話って切れないのか!
心の声がダダ漏れじゃん。
(切らなくていいのじゃ)
駄目駄目! プライバシーの侵害だー。
「皆、ちょっと待ってね」
集まった皆にちょっと待って貰ってっと。
「果心居士、念話の切り方教えて」
「ほっほっほ、なんじゃそんな事も知らんかったのか。念話を切る事を念じれば良いだけだ」
「マジ? 簡単じゃん、どれどれ……」
念話を切る! むむむ……。
(ああああ、切らな──)
「本当だ。簡単だった」
「ほっほっほ」
「あ、皆ごめん。富田勢源のところ──」
「恒興と果心居士から聞いたよ。面白そうだから俺も行くぞ」
慶次が乗り気になっちゃったよ。
「私も……」
「拙者も……」
諸岡一羽と林崎甚助も行く気になってる。
「敵の領地行くからお忍びなんだよ。大勢は困るなぁ」
「アニキについて行くっすぅ!」
「ツネは駄目! 足手まとい、留守番だ」
「ええええええええ」
「そして慶次はお忍びにならないから駄目!」
傾奇者は派手なんだよねぇ。
「俺と果心居士と諸岡一羽と林崎甚助の4人で行く」
「なんだい、駄目かぁ。まあ、ありふれた服を着る気はないので、今回は諦めるか。ツネ、一緒に留守番だ」
慶次が恒興を羽交い締めにした。
「ひぇえええええ、連れて行ってよぉ」
「じゃあ、慶次、ツネ行ってくるよ」
「ほっほっほ、決まった様だな。それでは儂の近くに来い。転移するぞ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます