第12話 雷撃大剣
「ほう、これがこちらの武器か」
「両方に刃があるから剣だな。ううむ、使い慣れない武器だぞ」
ベリアルから属性に合わせた剣、
「そこにお前たちの雷を乗せることが出来れば、広範囲の攻撃も可能だ」
サリエルの補足に、二人はどういうことと首を捻る。というわけで、サリエルは利家から剣を借りると
「サンダーフレア」
剣をひょいっと振った。するとバチバチっと電撃が周囲に飛び散る。自分の属性に合っていないので技としては小さかったが、デモンストレーションなのでいいだろう。
「おおっ」
「雷が操れるのか」
実際、属性というものがよく解っていなかった二人が、ようやく納得している。
「技の名前は言いやすい形で大丈夫ですよ。自分のイメージ、思念を言葉にすると技が発動しやすくなるというだけです」
利家に剣を返してそう説明した。
「へえ、じゃあ、特大雷、みたいなのでも」
で、利家。何の考えもなしにそう言いながら剣を振った。直後どごーんという音とともに床に大穴が空いた。
「・・・・・・そういうことです」
自分でやっておいて唖然とする利家に、後先考えろよとサリエルは頭が痛くなる。
(ああ、補修するのも俺の仕事か)
そして仕事が増えたことにげんなりとしてしまう。
「へえ。面白え。じゃあ、雷鳴とかでもいいのかな」
が、さらに後先考えない奴がいた。慶次がそう言ってぶんぶん剣を振るものだから
「~~~~~~~~」
しばらく城にいた全員の耳が使えなくなる爆音が鳴り響いたのだった。
「俺にはないのか?」
馬鹿二人は耳が復活したら早々に出掛けていった。それを見送って元親が訊ねる。
「ありますよ。あなたは風属性ですから、
サリエルは後ほど用意しますと、補修部隊を編成しながら言う。これ以上の余計な被害は御免被りたい。
ちなみに大穴に関しても爆音に関しても苦情は来なかった。信長の部下がやったと知った途端、大人しくなったのだ。
すでに城にいる者たちは信長に反旗を翻す気力すらなくなっている。信長は一撃必殺でガープを倒し、部下はとんでもない力を使える。
それだけで、上に立つ者と認めたわけだ。
悪魔は実力主義なので仕方がないのだが、サリエルは喜んでいいのか悲しんでいいのか解らない。
「俺はどうなんだ?」
その信長は何か特殊な武器を使えるのかと訊いてくる。
「あなたの場合は何でもありなので、どれを使って頂いても問題ありません。ああ、それとタカカゲ殿は黒魔術ですので、戦い方は異なります。武器を使わずに魔法を使うことになりますが、これも後で説明します」
きょとんとしている隆景の顔で、よく解っていないことを理解したサリエルは、これも後回しとすぐに決めた。
「この世界は、何だか凄いんですねえ」
その隆景は、これは戦略を練るのが難しそうだなと、自分の属性は気にせずに言う。
「みたいだな。鉄砲と槍で戦っている俺たちの戦い方は通用しないぞ」
そしてそれに同意するのは元親だ。
意外にもこの二人は思考が似ているらしい。ついでに無茶苦茶はしないようだ。
そう言えば、二人は信長の部下じゃないんだっけ。
サリエルもまた、まだまだ異世界人が解らずに困惑中なのだった。
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