第161話 なりきり師、降臨する。

 おれが出したのはあの時ホークだけお預けをくらったプライからのプレゼントだ。



「あっ!ユウキこれって…」


「そ、プライからのアイズダンジョン鎮静のご褒美だよ。さっきやっとテイマーをマスターしたから渡せるようになったんだ。待たせてごめんな。」


「ううん。まさかこんなに早く貰えると思ってなかったからビックリしたよ!ねぇユウキ、開けていい?」


「いいよ。ホークが頑張ったから貰えたんだよ。何が入ってるのかおれも気になるし早く開けようぜ!」


「うん!」


 おれたちは全員ホークの後ろに回り宝箱を覗き込んだ。



「それじゃあ開けるよ!わっ!」


 ホークが宝箱をパカっと開くと中から光の玉が出てきて凄いスピードでおれの中に入ってきた。ってかなんでおれ?………



「ビックリしたぁ…。えっ?ユウキ?なんで光ってんの?」


「やぁ、ホーク=バロル君。はじめましてだね。」


「誰!?ユウキに何したの!?」


「僕は創造神プライ。このメッセージを聞いてるって事はちゃんと神との約束を守ってテイマーをマスターしてからプレゼントを開けたみたいだね。

うん、偉い偉い。流石は僕が呼んだ子とその仲間の子だよ。」


「プライ様?でもどうしてユウキに?」


「ホ、ホーク落ち着け…少し様子を見るんじゃ。」


「えっ、あっうん…」


「きっと戸惑ってるよね?ごめんね。僕の言葉で直接お礼が言いたくて、ユウキ君の身体を少し借りてるんだ。これは記録だからこっちからの一方通行なんだけどね。


ホーク君、アイズダンジョンを鎮静してくれてありがとう。力を持っていない君には大変だっただろうね。そんな君に僕からささやかなプレゼントを贈るよ。これからの旅に役立てておくれ。

そこに2つのご褒美を入れておくね。1つはさっき言ったアイズダンジョン鎮静のご褒美、もう1つは神との約束を守った追加のご褒美だよ。


ホーク君が約束を守れる子でよかったよ。もし破っていたらユウキ君を爆発源にして世界が木端微塵になる仕組みにしておいたからね。

ホーク君、これからも素直で真っ直ぐないい子になってね。それじゃあいつか直接会える日を楽しみにしているよ。またねホーク君。」


 ……まぁプライの宝箱からの光だから心配はないと思うけどな…



「なんだったんだろうなさっきの光?おれの中に入ってきて気持ち悪いな…あれ?皆いつの間に移動したんだ?」


 ホークの後ろからギルマスとリッシュと覗き込んでいたはずなのに、一瞬の間におれと皆が対峙してる。あれ?なんか変だな…



「ユウキちゃんと戻ったの?覚えてないの?」


「えっ?何を?」


「プライ様がユウキの身体を借りたって…記録だから一方通行だけど直接お礼を言いたかったって言ってたよ。」


「あ〜ね。そう言う事か…だからさっきと様子が違うんだな…。うん、理解したよ。」


 要はシスターのカイラさんにキュラリア様がやった事と同じだろ。

 ったくそう言う仕掛けがあるなら先に教えておいてくれればいいのに。



「ユウキや身体は大丈夫なのかの?」


「なんともないです。ってか乗り移られたのも気付きませんでした。これ長時間やられて悪い事されたらヤバいですね。ハハハ…。」


「はぁ…君には危機感って物がないのかの……」


「プライがそんな事するわけないでしょ。やろうと思えばおれなんか介さずに自分の力でプチっと世界を壊せますよ。」


「でも今回ユウキは爆発源だったって言ってたよ。」


「爆発源?なんだそれ?」


「テイマーをマスターしないで宝箱を開けてたらユウキが爆発源になって世界が木端微塵になってたって言ってたよ。」


「マジで?…あっぶねぇ!!!マスターしてから開けてよかったぁ…今度会ったら文句言ってやろ。」


 何考えてんだよあの神!おれの掌がドリルになるだろ!



「で、ホークどうだった?録音とは言えプライと初めて喋ったんだろ?きっと見てるだろうからホークからも返事してやれよ。」


「そうだね…プライ様!おれも会えるの楽しみにしてます!プレゼントもありがとう!大切に使います!ねぇユウキ?プライ様に聞こえたかな?」


「うん。きっと伝わったよ。向こうで喜んでると思うよ。さっ、じゃあプレゼントの確認をしよっか。」


「うん!」


 さっきと同じ布陣になって再び閉まってしまった宝箱の前に集まった。



「それじゃあ開けるね!」


 今度は何も起きる事なくちゃんと開いた。



「他の皆と同じでスキルの書だな。」


「そうだね。でもご褒美は2つだって言ってたよ。」


「2つ?まだなんかあんのか?とりあえず出してみろよ。」


「わかった。あっ!あったよ!鳥?ユウキなんだろこれ?」


「う〜ん…鳥のブローチかな?ホークだから鷲なのか?これは服に着けるアクセサリー。オシャレアイテムだよ。おれらにはまだ早い気もするけどな。」


 ホークが見せてきたのは鷲を型どったワンポイントブローチだった。

 プライがただのオシャレアイテムをホークに贈るなんてのは考え辛い。何か効果があるんだろうな。



「へぇ〜。カッコイイね!ありがとうプライ様!」


「よかったな。ホーク、スキルの書も使ってみろよ。」


「うん!」


 おれが急かすとホークはスキルの書を手に取った。



「じゃあいくね!」


 スキルの書を開くといつものように魔法陣が宙に浮かび上がりホークへと入っていった。

 何回見てもスキルの書を使うと幻想的だな。



「ユウキ!やったよ!おれもインベントリのスキル覚えたよ!」


「えっ?あのスキルの書はインベントリだったのか?よかったなホークずっと欲しがってたもんな。

プライもなかなかプレゼント上手だな。」


 結果的に皆良い物貰ってんじゃん。これはおれのレベル10も期待できるんじゃないか?



「やった!リッシュ、インベントリだよ!おれもインベントリが使えるようになったよ!」


「ホーク嬉しいー?」


「うん!めちゃくちゃ嬉しい!ヤッター!プライ様ありがとう!!!」


 ハハッ凄い喜びようだな。こっちまで嬉しくなるよ。いつかスキルの書で引き当てるつもりだったけどこんなに早く手に入るとは思ってなかったよ。

 今度プライに会ったらおれからもお礼を言わないとな。

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