第138話 なりきり師、締め出される。


「ユウキ!あったよ階段だ!」


「ホントだ凄いよホーク!ちゃんと辿り着いたじゃん!」


「ヘヘッ!途中から慣れてきたんだぁ」


 最初の方は一本早く曲がったり地図を逆向きに持ってたりと驚くようなミスもしてたけど、ホークの案内でおれたちは一階層を攻略した。 


 マッパーやって、戦ってとホークにとっては今までより厳しいダンジョン攻略だけどどうやら苦にしてないようだな。



「そっか。それは頼もしいな。この調子で二階層も頼むな?」


「うん!!!」


 子供の勉強のやる気を引き出す為に頑張ってる親みたいな褒め方してんなおれ……


 一応おれとホークは同い年なんだけどな…まっいっか。



「それじゃあ二階層も攻略開始だー!」


「おーー!!!」


 おれたちは階段を降りて二階層へと向かった。









 〜ゼーベルダンジョン 二階層〜


 二階層に降りて推奨ルートの道から少しそれた所で少しの休憩をはさみおれたちは再び攻略を再開したが、リッシュはおれの頭でお昼寝タイムだ。



「ユウキ、次はこっちだよ!」


「わかった。」


 地図があればもう大丈夫だな。前にやったマップの検証でおれとホークがいる階層が違ってもホークの方にもパーティーマップは使用されていた。

 もし離れてしまってもおれがパーティーマップさえ使ってれば危険はぐっと減るだろう。

 後はホークにマッピング能力が適用されるのかも確かめないといけないな……



「二階層でもモンスターは変わらないんだね…ユウキどうする?」


 考え事をしながら歩いてるとホークが呟いた。前の方を見るとスケルトンが2体カタカタしてた。



「このダンジョンはそう言うダンジョンなんじゃないか?

でも階層違いでレベルアップとかスキルが増えてたりとかするかもだから油断せずに倒そう。

今回はおれがやるからホークは休んでていいよ。って言ってもすぐ終わるけどね…」


「うん!ユウキ頑張ってね!」


「おう」


 こんな相手にスキルを使う必要もない。ファンネルブーメランを適当に投げ、後は操作して骨を粉々になるまで待ってればそれで終わりだ。


 今のステータスとこの能力があればおれ自らが戦わずしても勝てる。

 着実にチートへの階段を登ってる気がする。まぁ今現在は敵わない敵はたくさんいるけどね…


 縦横無尽に動き回るファンネルにスケルトンは為す術もなく終わりを迎えた。



「まさにファンネル無双だな…。」


 ドロップアイテムとして落ちたスケルトンの骨を回収してまた階段を目指す。


 倒して進んでを繰り返し危険な目に遭うことも無くおれたちは二階層も攻略した。



「着いた〜〜!」


「お疲れ様ホーク。頑張ったね」


「うん!あのさ、ユウキ…意地悪とか言ってごめんね…」


「いいよ。確かに意地悪だったからな…でもこうやってホークが自分の力でダンジョン攻略して成長できるなら嫌われ役やるのもたまにはいいかもな。」


「えぇ〜やだよ!昔っからユウキは言い出したら聞かないもん!」


「それはホークだって同じだろ。おれより意地っ張りなんだから…」


「「プッ!アハハハハ……」」



〈キュキュー♪〉



「あっ、リッシュおはよう!」


「うるさかったか?ごめんな。」



〈キュキュー!〉



 ブンブンと首を振りリッシュも喜んでいるようだった。あれ?今まで寝てたよね?まぁいいや。



「リッシュ、ホークが自力でダンジョン攻略したぞ!褒めてあげて!」



〈キュー♪〉



 リッシュがホークの顔を舐めまくる…



「アハハ…くすぐったいよぉ〜。」



〈キュー♪〉



「ブハッ!おれも?ハハハハハ…」


 リッシュのおかげでよりいっそう和やかな雰囲気になりながらおれたちのゼーベルダンジョン初攻略は終了した。



「よし、帰るか!」


「うん!」



〈キュー!〉











 〜ゼーベルダンジョン 入り口〜



「帰ってきたー!」


「うわぁもう真っ暗だよ!」


「そうだな急いで街に帰ろう。」


 ココラさんはもういなくて他の職員さんが2人いた。時間も時間なので救助アイテムを返すだけにして足早に街へと戻る事にした。


 ライトボールにより明るさは十分に確保している。マップがあるのでモンスターの接近もちゃんとわかるし夜のフィールドも問題無い。



「ホーク北門が見えたぞ!」


「ホントだ近かったね」


「んまーこっちがゼーベルダンジョンへの正規ルートだからな。明日からはこっちのルートから来ような。」


「うん!」





 〜クルーシェの街 北門〜



「どうする?ユウキ…」


「どうしよっか?」


 考えればわかる事だったんだけど夜になって門は閉まっていた。あれ?こう言う時ってどうすればいいんだ?



「おーい!君達〜!」


 門の前でうだうだしていると上から声を掛けられた。目をこらしてよく見ると東門で会った門番さんだった。



「待ってたよ〜!迎えに行くからちょっと待っててねぇ〜!」


 待ってた?なんで?なんか用事でもあるのかな?でも迎えに来てくれるって事は街には入れそうだな…。

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