第132話 なりきり師、空を行く。

 〜クルーシェ 公園広場〜


 ベットも買って、昼飯も食った。ギルドへの挨拶も一応は行った。優先度の高い物事は一通り終わらせたしダンジョンに行こう!



「ホーク、この後ガッツリじゃ無く軽くだけダンジョンに行ってみないか?なんの下調べもしてないけどちょっと身体を動かしたい気分なんだ。」


「ダンジョン!?うん!行こう!おれも行きたい!」


「リッシュはどう?ダンジョンデビューしちゃうか?」



〈キュー♪〉



 リッシュもノリノリだ。ダンジョンがどんな所か知らないのに行く気満々だ。



「そっかそれなら決まりだな!ダンジョンへ行こーう!」


「おー!」



〈キュー!〉



「でもユウキ?この辺のダンジョンって何処にあるの?」


「う〜ん…知らない…。でも今更ギルドに戻るのもなぁ……」


「ギルマス怒ってそうだもんね?」


「面倒事押し付けちゃったもんな…怒ってるどころかまた殺されかねないスキル使われそうだよな…

んー!うだうだ考えてても仕方ない!ダンジョンの場所位この街の人なら多分知ってるだろ!とりあえず門番さん辺りに聞いてみようか!」


「そうだね。門番さんならダンジョンに向かう人達を見送ってるはずだから場所も知ってそうだね!」


「よ〜し!そうと決まれば早速行こうぜ!こうやってる時間が勿体無いよ!」


「うん!」


 おれたちはダンジョンの場所を聞くべく一番近い門を目指す事にした。








 〜クルーシェ 東門〜



「ダンジョンの場所?ゼーベルダンジョンはこっちじゃないよ。ちょっと待ってね地図で説明してあげるよ。」


「ありがとうございます。お願いします。」


「お願いします!」


 まだクルーシェのマッピングも全然できてないから街の構造もよくわからないし地図で説明してくれるのはありがたい。


 ダンジョンはゼーベルダンジョンって言うのか。どんなダンジョンなんだろ?ワクワクするなぁ!



「ここが今いる東門だ。で、冒険者ギルドがあるのがここね。それでダンジョンはギルドから一番近いこの北門側にあるんだよ。」


「ねぇ門番さん!この真ん中の○って何があるの?」


「これはこの街の貴族街だよ。用事がないなら近寄らない事をオススメするよ。」


「貴族街ですか…わかりました。ありがとうございます。」


 クルーシェの地図は円形状に書かれている。基本的にこの世界の街は囲いの中にあるようだ。その方が街を守りやすいんだろうな。

 改めて自分のマップと照らし合わせて見るとまだ全然回って無いな…

 ゲームだとすんなり街全部の行き来ができるんだけど実際の街ってかなり大きいんだよね……

 メルメルでもマッピングにめちゃくちゃ時間かかったもんな……。

 

 おれたちがクルーシェに入ったのが西門、ギルドが北門側で、一番商店が北東側の貴族街よりにあって今いるのが東門だ。


「そしてこっちが街の外の周辺の地図だ。この門からもダンジョンに行けなくは無いんだけどその為にはこの森の部分を突っ切らなきゃいけないんだ。

だけどダンジョンに行くのに余計な体力を使いたくないから皆北門から向かうんだよ。

北門からだとダンジョンまでの道がちゃんと整備されてるからね。」


「へぇ〜そうなんですね…ダンジョンってこれですか?」


「そうだよ。ここに入り口があるんだ。」


「うん。覚えました!ありがとうございます。じゃあおれたち森を突っ切るルートで行きます!」


「えっ!?話聞いてたのか?北門からだと道が整備されてるんだよ。この森にはモンスターもいるし、道も険しい。説明しといてなんだけどこっちはオススメできないよ。」


「大丈夫です。ダンジョン前にレベル上げもしたいし軽いウォーミングアップのつもりで行きます。おれたちそこそこ戦える冒険者なんで。」


 そう言って赤の冒険者プレートを見せた。



「赤の冒険者プレート…君Dランク冒険者なのか?」


「おれたちですよ。2人共Dランクです。」


「ヘヘッ。」


「驚いた!まだ若いしダンジョンの場所を聞く位だから新人かと思ってたよ…。

Dランクが2人ならあの森のモンスターは大丈夫かな?だけど険しい道なのは違いないからちゃんと気を付けるんだよ?」


「「はーい!」」


「じゃあ行ってきます!帰りは北門から帰ると思うのでここは通らないと思います。ありがとうございました!」


「ありがとうございました!」


「気を付けてね。ダンジョン攻略頑張れよ!」









 〜東門側 フィールド〜



 門番さんに手を振りその場を離れた。ダンジョンの場所も聞けたし、準備も万端。これで心置きなくダンジョン行けるぞ!



「さて、こんな森歩く必要無いな。ホーク空飛んで行こうぜ!」


「えっ?森の中を進むんじゃないの?」


「門番さんも言ってただろ?余計な体力は使わない方がいいよ。目的地の場所がわかれば別に正規ルートで行かなくてもいいんだよ。

おれたちにとって空を移動するのは貴族が馬車を使って移動するのと変わんないんだよ。」


「ふ〜ん…そうなんだ。」


「まぁこの移動方法は結構集中力とMPがいるから元気な時でMPに余裕があってもそんなに長い時間は続けられないけどな。

ホークは森の中を進みたかったか?」


「ううん。早くダンジョンに行きたいから森の中でユウキを引っ張って走ろうと思ってたんだ。」


「お、おぅ…サラッととんでもない事を言うなぁ…。まぁそれでもいいんだけど今回は空飛んで移動でいいか?」


「うん!」


「わかった。じゃあ、ミラージュバリア なりきりチェンジ 空間支配者。」


 ミラージュバリアで周りに見付からないように隠れてから空間支配者に転職して星型のファンネルを丁度いい高さに調節する。その上に座り感覚を掴む。



「うん。バランスを取るのがちょっと難しいけど慣れれば平気そうだ。ホークは大丈夫か?」


「大丈夫!凄いねこれ!足がプラプラだよ!」


「そう言えばホークは一人で飛ぶのは初めてだもんな。軽く動かすから体重移動の感覚を掴んでくれ。」


「わかった!」


 ゆっくり上下左右前後にファンネルを動かしてみたがホークは2、3度落ちただけで感覚を掴みいとも簡単に乗りこなした。

 勿論おれが下で待ち構えて受け止めたので怪我はしていない。



「じゃあ今度こそ出発だ。ホーク準備はいいか?」


「うん!よろしくねユウキ!」


「任せとけ!じゃあ上がるぞ!」


 まだ最初なのでゆっくり上がり木の高さより10メートル程高くまで上がった。



「ホークちょっとマッピングだけやらせてくれ。」


「うんいいよ。」


「ありがと。遠目………ん?」


 遠目を使いファンネルをゆっくり回転させてマッピングを埋めていく。その途中で少し気になる反応が起きた。



「どうしたの?」


「いや、マップ上でモンスターに追いかけられてる白い点があるんだよ。パーティーマップで見えるようになったと思うぞ?」


 ここからだと逃げてるのか罠に誘い込んでるのかわからない…。



「あっ、ほんとだね…でも何で森の中なのに一人でいるんだろうね?」


「さぁ?ちょっと見に行って見ようか?」


「うん!」


 と言う事でダンジョン前にちょっと寄り道する事が決定した。

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