第123話 なりきり師、クルーシェ到着。
〜翌朝〜
【テイマーの熟練度が2に上がりました】
【スキル グルーミングを覚えました】
「ん?くぅ……」
スキルを覚えた?頭の中に響いた声で目が覚めた。
「んーーー!つぁ。……そんなに遠くには行ってないな…。」
伸びをしてホーク達の居場所をマップで確認した。
熟練度が上がったし多分モンスターが近くに出たんだろう。夜は盗賊もモンスターも出なかったのにな…。
「ふぁ〜あぁ…眠ッ……パーティーリングのお陰であってパーティーリングせいだなこれは…。」
睡眠を邪魔された代わりに熟練度が上がったんだ。ここは素直に喜ぼう…。嫌なら外せばいいだけだ。
〈キュー!!!〉
「ブァ!リ、リッシュ!ちょま…臭っ!!!」
おれの寝起きにいつものように飛びついてきて顔を舐め回してきた。
でも今日はいつもと違う。途轍もなく生臭かった…。
〈キュ!……〉
「ってどうしたんだその血!?えっ!?大丈夫なのか?」
リッシュをよく見ると全身血塗れでおれの顔を舐めていた。
〈キュー……〉
目に見えて落ち込んでる。咄嗟の事でおれも臭いのを我慢できなくて声に出しちゃったんだ。
「ユウキ〜!おはよ〜!」
そこにホークが倒したクックマの足を引きずって持って帰ってきた。
「ホーク!リッシュが血塗れなんだけど何があったんだ!?」
「あちゃ〜!やっぱりやっちゃったかぁ〜。ごめんユウキ止める間もなく飛んで行っちゃったんだ。」
「えっ?どう言う事?」
「これだよこれ!おれとリッシュでクックマの退治に行ったんだけどリッシュが噛み付いて倒し終わったと思ったらそのまま食べ始めちゃったんだ。
で、クリーンをしようと思ったんだけどそのまま飛んで行っちゃって…。」
クックマの体には食い千切られた跡がある。
〈キュー…〉
「なんだそう言う事か…血塗れなのに元気だからおかしいと思ったよ…。腹減ってたのかリッシュ?臭いとか言ってごめんな?」
〈キュー〉
「でもリッシュもダメなんだぞ?今は鏡が無いから見れないけどリッシュには今おれがどうなってるのか見えるよな?」
〈キュー〉
「それにホークと一緒に倒したんだろ?なら食べるにしてもちゃんと相談して食べないとダメだろ?
それに食べるだけ食べて自分は勝手に帰ってホークだけにモンスターを持って帰らせるのはもっと良くないぞ!」
〈キュー…〉
「じゃあホークにごめんなさいしてクリーンで綺麗にしよっか?」
〈キュー。〉
おれの言ってる事を理解してくれる分普通の動物より躾は楽なんだろうけどやっぱり難しいな……
リッシュはドラゴンだから生食で肉を食うなんてのは自然な事なのにそんな考え全然頭に無かったもんな…。
良い悪いの分別なんて人によって違うしおれだって別に聖人君子のようなパーフェクトなできた人間じゃない。
でも育てる以上おれの勝手なエゴなのかもしれないけど良い悪いはおれなりでちゃんと教えていこう…。
その後リッシュはホークに謝って血塗れになったリッシュとおれの顔にクリーンの魔法を使って綺麗にして朝食にすることにした。
「でもリッシュがクックマを倒してくれたんだよな?おかけで熟練度が上がったよ。ありがとう!リッシュは凄いなぁ!」
〈キュー!!!〉
「凄かったんだよ!おれが注意を引いてたら横からガブーって一撃だったんだよ!」
「へぇ〜。じゃあおれも今度はリッシュに頼んじゃおうかなぁ〜。」
〈キュー!!!〉
任せてと言わんばかりにドヤってる。リッシュの場合素の能力がハンパないから張り切られても困るんだけどね…。
「でも基本的におれの許可なくスキルは使っちゃダメだぞ?街中でファイアブレスなんて使ったら大火事になっちゃうからな?」
〈キュー?〉
「場所によって使っていいスキルと使っちゃダメなスキルがあるんだよ。リッシュもチェスさんに貰ったリボン好きだろ?それが急に無くなったら嫌だろ?」
〈キュー!〉
「街に住んでる人も自分の家が燃えちゃったら嫌なんだよ。だからスキルを使うならちゃんと周りに被害が出ないか考えないといけないんだよ。」
〈キュー。〉
「被害出してでも使わなきゃいけない時もあるけど…ってそこまではまだ難しいよな?一気に言っても覚えらんないか?おれも説明が難しいし…。」
〈キュー?〉
「いいよいいよ。ゆっくり覚えていこう。さぁホーク、リッシュ、クルーシェまで今日も頑張って歩こーう!」
「おー!」
〈キュー!〉
おれたちは再びクルーシェを目指し歩き始め、盗賊に会うこともなく適度に出てくるモンスターを倒しながらこの日も野宿して更に翌日の夕方にようやくクルーシェへと辿り着いた。
その道中でおれのテイマーの熟練度も2上がり、【テイム確率アップ】と【モンスターケア】と言うスキルを覚えた。
最初に覚えた【グルーミング】はおれのブラッシング能力向上スキルで【モンスターケア】はモンスター自身への状態異常回復スキルだった。
〜クルーシェ〜
「ふぁ〜!やっと着いたね!門番さん達もすんなり通してくれてよかったね!」
「従魔登録の証があるだけでこんなに簡単になるもんなんだな?ギルマスには感謝だよ。それでもやっぱり貴族や盗賊には注意しないといけないんだけどな。」
「そう言えばあの貴族どうなったんだろうね?」
「死んだんじゃないか?因果応報。悪い事したんだから仕方ないよ。おれたちも気を付けような?」
「うん!そうだね。」
「それじゃあ今日は宿を探してギルドには明日行こうか!流石に3日も歩いたから疲れたよ。」
「うん!おれも疲れた!ガルーダの止まり木みたいにいい宿が見付かるといーね!」
「そうだな…。」
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