第108話 なりきり師、予定を立てる。

「はぁ…転生人ってのは非常識じゃなきゃいけねぇ決まりでもあんのか?

お前にしても勇者パーティーにしても種類は違えどやってる事はめちゃくちゃだぞ…

ここまでめちゃくちゃな能力を持ってたらそりゃ王族も囲い込みたいと思うわな…」


「何サラッと酷い事言っちゃってくれてるんですか!あんなのと一緒にしないでくださいよ!」


「そうだな。悪かった…。総合的に考えればお前の方が上だよな…

エンシェントドラゴンを従魔にするなんてのは夢物語でしか聞いたことがねぇもんな…。」


「そうでしょうとも!あんな隷属アイテムに頼るような勇者パーティーと同じにされちゃ困ります………っておい!」


 素でノリツッコミしちゃったよ!なんでおれの方が勇者パーティーより非常識なんだよ!



〈キュー?〉



「んー?どうしたリッシュ?ブラッシングかぁ?ほ〜らほら!」



〈キュー♪〉



 おれ日本にいる時ペットって飼った事なかったんだよな…。

 こんなに可愛くて癒やされるなら飼えばよかったな……


 まぁでも忙しかったし他にやる事も一杯あって世話も出来なかっただろうしどっちにしても無理だったか…。


 今回の命はテイマーを頑張ってモフモフをモフモフするのも悪くないかもな…。


 はぁ〜なってみたらなってみたでテイマーってのは夢が広がるな……。



「はぁ…ユウキ、そう言う所だぞ……」


「え?」



〈キュ?〉









 〜ギルド 解体場〜



「じゃあここに出してもらえるかな?報酬は明日渡すって事でいいんだよね?」


「はい!お願いします。」


 何故かおれが非常識って感じで場がまとまり、そのまま報告が終わってしまった…

 今は盗賊を引き取ってもらうためにギルドの解体場へとやってきた。



「そうそう明日の昼にスキルの書も現金と交換するんだ。その報酬も一緒に渡すね。」


「あっ、スキルの書売れたんですね!?ありがとうございます。」


「僕ももうちょっと頑張れればよかったんだけど1500万プライにしかならなかったよ…。」


「「1500万プライ!??」」


 いやいや十分過ぎるだろ…土壌改良のスキルが1500万プライって…

 まぁ内容を知ってるのは鑑定した時にいた5人だけだから土壌改良ってのは使うまでわからないんだけど…

 そんな大博打に1500万も出せるって凄いな…


 使った後ガッカリするだろうな…



「そうなんだ…下手に内容を知ってしまったせいでいつもみたいに優良貴族には情報が流せなくてね…

悪徳貴族の前で口を滑らせるのに少し苦労してしまったんだ。ユウキ君、ホーク君ごめんね…。」


「いえいえとんでもないです!めちゃくちゃ凄いです!ありがとうございました!」


「ありがとうございました!」



〈キュキュー!〉



 あの期間でこれだけの結果を出せるなんてやっぱりシルバさんって凄いな…

 その内の8割がおれたちの手元にくるんだから暫くは働かなくてもいいな…



「本当は倍位を狙ってたんだけどね…君達ももうすぐ旅立つ予定だから少し焦ってしまったようだ。反省しないとね。」


「本当におれたちは満足してますから大丈夫ですよ。だから気にしないでください。あっ、盗賊ここに置いていきますね。」


「そう言って貰えると助かるよ。よろしく頼むね。」


 おれに武具の費用は必要無い事がわかったから使うってなったらホークの武具とその他諸々だけだもんな…。

 持ってて困る事はないけど持ってても使う事がないんだよな…。何かバーンと必要な物できないかな?


 なんて考えながら盗賊を解体台に乗せていく。



「ユウキ君、前もあったけどこの穴が空いてる死体は君がやったのかい?」


「えっ?あっはいそうです!弓矢で仕留めたんですよ。」


「今回は弓矢にしては大きい穴なんだけど…」


「あっ、今回はスキル使ってます。使ってみないといざ必要な時に使いこなせないですから。動く的として丁度いいので練習台にしました。」


「そうだったんだね…因みに矢の補給はどうしてるんだい?よかったらギルドでも売る事ができるんだけど…」


「矢は別に今の所困ってませんよ?使っても勝手に増えるんで………ん?」


「あっ、そう言えばユウキが矢を買ってる所って見たことないよね?」


 あれ?考えてみたら矢って普通消耗品だよな…?補充した事も無ければ買った事も無い。インベントリに入れた事も無いしなんであるんだ?



「ユ、ユウキ君?前にクイーンブーンビーと戦った時に矢を使ってたけどインベントリから矢筒に補充してたんじゃなかったのかい?」


「えっ?やってませんよ?おれ矢なんて買った事無いですから。う〜ん…多分ですけどさっき話した装備が治るってのと同じで自動的に補充されるんでしょうね。ラッキーです!」


 無制限に使えるゲームの設定みたいだ。これなら一つの強い矢を準備すれば全部が強い矢に変わるんじゃないか?

 アーチャーだけじゃなくて他の職業でも適応されるのかな?



「ァハハ…君の事でのギルマスの頭痛の種がまた増えたね…。」


「頭痛の種?そんなの無いですよ。やだなぁシルバさん。あっ、これで全部です。あと鉱石が埋まってる岩が十数個とダーゴバットってコウモリが大量にいますけどどうしますか?」


「うっ、僕も頭痛がしてきたよ…。いいよ全部買い取るよ。出していってくれ。」


 シルバさん働き過ぎじゃないか?決しておれのせいでは無い!うん。









 〜ガルーダの止まり木〜



〈キュー♪〉



「リッシュちゃんあーん!」


 素材を全て放出し、おれたちは宿に帰って来た。


 ミミちゃんがリッシュを見付けドラゴンだって事に警戒する事も無く喜んで寄ってきたのでご飯を与えてもらっている。


 でもリッシュ?さっき食べたばっかりだよね?その小さな身体の何処に入ってるんだ?



「すいませんネネさん。今度からは自分達で用意しますので…」


「構いやしないよ。ミミも喜んでるんだ気にしなくていいよ。それよりあんた達ドラゴンを従魔にするなんてビックリだよ!」


「ァハハ…成り行きで…。」


 本当はドラゴンじゃなくてエンシェントドラゴンなんだけどね…

 従魔登録の際にリッシュの身体が小さいので新種のプチドラゴンって事になったんだよね…。


 本物のプチドラゴンを見たことが無いだけにこの嘘がどの位の信憑性があるのかわからないんだよな……



「まぁとにかくあたし達は正規の値段を払ってもらえれば文句はないよ。

だけど部屋を汚したらちゃんと綺麗にしておくれよ?あんた達クリーンを覚えてるんだろ?」


「あっ、はい。もちろんです。賢い子なのでうるさくもしないです。できるだけ迷惑はかからないようにしますので…」


「なら大丈夫さ。今日ももう遅いしっかり食べてしっかり寝な!」


「「はい!」」


 マジで肝っ玉母ちゃんだな…。お世話になりっぱなしだ。







 〜宿の部屋〜



「ねぇユウキ?明日はどうするの?」


「う〜ん…武器もギルドも午後なんだよな…なぁホーク明日は朝から協会に行ってもいいか?」


「いいよ。本当は今日行くはずだったのにごめんね。」


「いやそれは全然いいんだよ。そのおかげでリッシュも仲間になったし、悪い事ばっかりじゃなかったからな。

じゃあ明日は教会に行って、アイテム買って、武器と防具を買ってからギルドに行こう。」


「うん!わかった!」


「じゃあ明日に備えて今日は寝るか!おやすみホーク」


「おやすみぃ。」


 リッシュはお腹が一杯になったのかもう寝てる。明日の予定も立てたしおれももう寝ることにする。


 にしても今日は色々あったな…死にかけるなんてもう2度とごめんだ。強くならないとな…











 〜翌日 教会〜



(プライ…こないだあったばかりだけど色々報告があるんだ。プライの世界に連れて行ってくれ。)


 意識がボヤけおれはいつものようにプライの世界へ招待された。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る