第45話 なりきり師、気付く。
マッパーの能力が役立つだとか、どんな敵でも油断するなとか回りくどいんだよ!
完全に初見殺しの敵をぶつけてきてんじゃねーか!
木の裏に隠れてるなんてとんでもない勘違いだ。身体の線は細いが人間サイズ程でかいカメレオンが木に張り付いていた…。
「鑑定!」
ビュートレオン
レベル11
HP99/99
MP77/77
攻撃88
防御55
魔攻66
魔防44
俊敏22
幸運33
「なんだこのゾロ目だけのステータス…ってあれ?なんでHPがマックスなんだ?」
確かに掌打は当てたはずだ。苦し紛れに打ったスキルだったがダメージ0なんて事があり得るのか?
「うわっと!」
鑑定結果に疑問を抱いているとビュートレオンは舌を伸ばし攻撃してきた。
今は姿が見えているのでかわせたのだがかわしたことによって舌はおれの少し後ろにあった木に当たった…。
「うげぇ…マジかよ……」
その舌が当たった所はシューと音を立てジュクジュクと泡を出しながら煙を上げていた。
「毒持ちモンスターか…?異常に抗いし者の称号持っててよかったぁ。」
ただ見えないながらも2回攻撃されてるんだよな…顔や首があんな状態になってたと思うと笑えないぞ。
「ったくなんてモンスターと戦わせくれてるんだよ!」
ホークには危ないって言ってたけどこんなのおれだって危ねぇだろうが!
ステータス的には弱い部類のモンスターだけど透明化に毒持ちって確かにモンスターマップが無いとキツイ敵だな…。
「まっ、中級魔法を使わなくても初級魔法数発で倒せるか。MP節約にもなるしな。」
まだ使った事の無いあの魔法を試してみるか。
「ライトアロー!」
目の前に光を放つ矢が現れた。
いや、矢と言うより光の針みたいだ。先がかなり尖っている。
「いけ!」
ライトアローはビュートレオンの背中からぶっ刺さりその後消えていった。
〈シャーーー!〉
「おぉ!カメレオンの色変化って生で初めて見たな。」
ビュートレオンが威嚇の声を上げると同時に紫色だった身体がベージュを少し明るくしたような色に変化した。
変化したと思ったら今度はビュートレオンが光を放った。
「眩しっ!……ウッ…」
急に腹を殴られ少し後ずさりをする。
何が起こった?眩しすぎて目を手で覆ってしまったので何もわからなかった。
「攻撃された?ってやべぇ!毒…」
あれ?なんともないぞ。状態異常になりにくいだけなのに3回連続でセーフだったの?
服も溶けてないしアイツの毒って強くないのかな?
それになんだこの違和感?色が変わって明らかに攻撃パターンも変わったし威力も弱くなった?
最初透明化状態の時に殴られた時とさっきの攻撃は全然違った。
殴られた場所が違うが間違いなく弱くなったと思えた。
「アイツ攻撃力88あるんだよな?なのに数歩後ずさりしただけ?変だな…」
ビュートレオンはまた光を放ち眩く光った。
「物理結界!」
攻撃は弱いが何があるかわからないので物理結界を使い自分の周りに結界を張る。
今目は開けていないがパンッと何かを弾く音が聞こえた。
「う〜んやっぱりアイツだよな。他に敵の反応も無いし。」
他の奴がどっかから攻撃してきてるのかと思ったけどどうやら違うようだ。となると…
「鑑定!」
ビュートレオン
レベル11
HP77/77
MP66/66
攻撃22
防御55
魔攻33
魔防88
俊敏44
幸運99
「なるほど。そう言う事ね…」
ステータスが変わってる。一部同じステータスもあるが攻撃力が激下がりしてる…。
アイツの能力大体わかったぞ…。ほんとそう言う事は先に教えろよな……
「ウォーターショット!」
ウォーターショットがビュートレオンに当たるとまた色を変えた。今度は予想通り青色の姿に変わった。
「鑑定」
ビュートレオン
レベル11
HP88/88
MP99/99
攻撃22
防御77
魔攻55
魔防66
俊敏33
幸運44
「ステータスまでコロコロ変わるなんてモンスターじゃなかったらおれと似たような能力だったのかもな。
まぁおれの能力の方が使い勝手はよさそうだけどな…。」
そういや日本にいた時もカメレオン俳優とか憑依俳優なんて呼ばれてた先輩もいたなぁ…。
「ってそんな事考えてる場合じゃないか!」
おれの予想が完璧ならコイツが次に攻撃してくる時は水に関係ある攻撃をしてくるはずだ。
ビュートレオン…異世界カメレオンの特性なのかダメージを受けた属性に変化する能力を持っているようだな。
しかも変化する毎にステータス全回復するってオプション付きで……
「属性変化してワンパンしないと倒せないカメレオンってキャラ乗せしすぎじゃないか?
これで強かったら危険モンスターに指定されるだろうな…。」
ビュートレオンの攻撃はおれの予想通り舌での攻撃に水がまとわりついていた。
軽く攻撃をかわし一応他の行動をしないか確かめたかったがどうやら杞憂に終わったようだ。
「アイツ全然動かないな…」
今更HPが低いステータスを探すのは面倒だし一体だけでも倒してしまえばギルマスだってアイツの簡単な倒し方を教えてくれるだろう…。
って事で中級魔法でさっさと倒してしまおう。
「ライトニングボルト!」
属性変化するなら弱点だってあるだろう。この世界のモンスターの弱点がおれの知ってる知識と同じなら水属性のビュートレオンにライトニングボルトは効果抜群のはずだ。
ライトニングボルトを受けたビュートレオンは声を上げる事なくそのまま素材だけを残し消えていった。
「ふぅ〜。終わりっと!さて、ビュートレオンについて教えてもらいますよ!」
「まさかあんな力技で倒すとは……」
「って事は倒し方もあるんですよね?HPの少ない属性はなんですか?」
「まぁそんな急いで答えばかりを求めるな。まずはビュートレオンについて教えてやるよ!
倒し方はそれからだ…ホークもよく聞いとけよ。」
「わかったぁ!」
よかったどうやらちゃんと教えてもらえるみたいだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます