第31話 なりきり師、休憩する。
クイーンブーンビーと戦い終わったおれたちはその場で昼休憩を取ることになった。
こんな所でじっとしていて大丈夫かと思ったがギルマスの部屋で渡されたアイテムの中にモンスターが入ってこれない結界を張るアイテムがあったそうだ。
そのアイテムを使ったので今現在この場は安全地帯になっているらしい。
「ボスモンスターはリポップまで一日かかるんですか?」
「大体そう言われてるよ。雑魚モンスターなら大抵2、3時間って話だよ。
どう言う原理なのかはわからないけどね…。」
ボスが一日で復活するとなると明日またクイーンブーンビーとあの蜂の大群が出現しちゃうのか…
まぁ帰りには新しい魔法やスキルも何個かは覚えるだろうしさっきよりおれも強くなってるはずだ。
試験は十階層までたがら帰りはもう戦うつもりはないけどな…
「ユウキぃ〜!これパンに付けて食べてみてよ!めちゃくちゃうまいよ!マーガレット姐さんがくれたんだ!」
「これは…ブーンビーの蜂蜜?」
ホークがパンとブーンビーの蜂蜜をセットで持ってきた。
そういえばブーンビーの蜂蜜っていつも換金しちゃってそのまま食べた事ってなかったな…
ってかマーガレット姐さんって…いつの間に姐さん呼びするまで仲良くなったんだ?相変わらずホークのコミュ力は凄いな…
ホークが差し出しているパンと蜂蜜を受け取り食べてみる。
「うん、癖もなくて旨いな!疲れてたからありがたいよ。」
「でしょ!?冒険者はドロップアイテムを換金するだけじゃなくて自分達に還元してもいいんだって!」
多分ギルマスやマーガレット所長に教えてもらったんだろうな。
日本での漫画やゲームの知識があるおれは別に売らなくてもいいって事は知っているが金が必要だったし今までの素材は全部売ってきたからな…
おれが知らないと思って教えてくれたんだろうホークなりの親切心なんだろうな。
「へぇ、そうなんだ?ありがとう覚えておくよ。」
「ヘヘッ、あっ、そうだユウキ!おれの新しいスキルなんだけどギルマスが言うには遠距離技らしいんだ!
これからはおれも空の敵に攻撃できるから一緒に戦おうね!」
「あぁ!頼りにしてるよ!」
ホークの新しく覚えたスキルは斬撃連波。おれの斬撃波の上位スキルだった。
簡単に言うと斬撃波を2発連続で飛ばす事のできるスキルだ。さっき見せてもらったホークのステータスはこうだ。
ホーク
15歳
双剣士
レベル6
HP783/783
MP49/95
攻撃152
防御110
魔攻49
魔防44
俊敏185
幸運80
スキル
ダブルスラッシュ 双刀斬 プチファイア ウォータークリエイト ドライ クリーン ライトボール 斬撃連波
称号
なりきり師の仲間 異常に抗いし者 創造神の待ち人
相変わらず攻撃と俊敏の伸びが凄い。双剣士のスキルの他に生活魔法のスキルも増え最初に比べるとステータスに表示されるものが多くなったな…。
それに加え創造神の待ち人と言う称号が増えていた。
さっきこれを知った時のホークは、はしゃぎ周り喜びまくって皆にステータスを見せびらかしていた…。
創造神の待ち人…創造神プライに会える可能性を持つ者の証
効果:なし
今この場にいる人達はおれらの事情を知ってるからいいけど他の冒険者に同じ事をしないように注意しておかないとな…
「ユウキ、お前らの異常に抗いし者って称号はこのフロアで取ったんだって?それっておれらでも取れるのか?」
あらら…ホークそんな事まで話しちゃったのか…まぁ別に隠すような事でもないけどな。
「う〜ん…どうなんですかね?おれらは元々称号が出てたんで称号欄がない人達が取れるのかわかりません。
それとやるにしてもとっても辛いですよ?」
「そうか…やり方だけでも聞いていいか?もちろん話したくなければそれで構わない。」
「別にいいですよ。辛いんで多分誰もやらないと思いますけど…
まず毒状態になります。おれたちの場合ブーンビーに毒攻撃をされました。
それから10分間解毒しないでヒールやポーションで耐え抜いて10分たってから解毒すると称号ゲットです。」
「ユウキ君、それで称号が取れるってのは知ってたのかい?」
「いえ、偶然ですよ。あの時は初めて三階層に降りてきてちょっと油断して毒をくらってしまったんです。
解毒薬も持ってなかったんで帰ろうとも思ったんですけど、熟練度を上げた方が早そうだったんで帰るよりヒーラーの熟練度を上げようってなったんです。
それでブーンビーを探し回って毒で死にかけたんですけどなんとか解毒魔法を覚えて治したら称号をゲットしてたんです。」
「ホークちゃんも同じやり方で取ったのぉ〜?」
「おれは毒が辛くてあの時の事はあんまり覚えてない!ユウキが励ましてくれてそれで終わったよって言ってくれたら称号取れてたもん。」
ホークあの時の事覚えてないの?おれめっちゃヒール連発したんだけどな…
「ここまで凄い効果があるのに通りで今まで発見されない訳だね。」
「なるほどなこれは他の奴らは取れねぇな…。」
「そうねぇ〜無理ねぇ〜。」
「毒って辛いですもんね。わざわざ自分からかかるのはそりゃ嫌ですよね。」
「ユウキ、そうじゃないぞ。」
「えっ?」
「全状態異常耐性50%なんて効果なら例え辛くても冒険者なら必ず手を出す。これは間違いない!
だが問題は回復だ。ポーションなんてそんな大量に飲めないし普通の人間はお前みたいに回復魔法を連発できない。」
「あっ!」
そうか他の人は詠唱時間があるんだった…。ポーションも怪我だったらかければいいけど毒は体内だから飲まないといけないもんな…
「気付いたか?同じ事をしようとした場合少なくとも3人の回復職は必要になるだろう。
MP切れも考慮して控えにも数人の回復職がほしいな。
そして上位の冒険者になるほどHPも高くなり高ランクの回復魔法が必要になるがそれにより詠唱も長くなる。」
「そうですね…」
「つまり普通はヒールの様な初級魔法で補えるHPかつたくさんの回復役が協力してやっと取れる称号って事だな。
だが初心者冒険者に協力する奴なんていねぇだろうな。」
偶然手に入った称号なのに実際は取得不可能レベルのものだったのか…
まぁたくさんの人に協力してもらえれば手に入れる事はできそうだけど…。
試してみた事はないけど他の状態異常ならどうなんだろう?
「他の状態異常ならどうですか?眠り10分なら安全そうじゃないですか?」
「スキルで眠らされて10分も起きなかったらそれはもう状態異常永眠になってしまうよ。」
「永眠?」
「寝たまま死ぬって事。永遠の眠りに落ちてしまうんだよ。」
「へ、へぇ〜そうなんですね…」
危ねぇぇぇぇ!ホークに試さなくてよかったぁ!
あの時眠らせるスキルを持ってたら安全そうだからって絶対眠りを選んでたはずだ。スキル覚えてなくて本当によかった。
「他の状態異常も後遺症が残ったりするしこれはやっぱり毒で死と隣合わせでしか取れない称号なんじゃないかな?」
死と隣合わせの毒が一番安全ってのもおかしい話だな…
「ギルドで誰かに試すんですか?」
「いや、あまりにリスクが高すぎる。不必要に死ぬかもしれない事をギルドが提案する事はないな。これは緊急依頼とは違うからな。」
緊急依頼なら死ぬかもしれない事を頼むんだ…おれには声をかけないでほしいな。
「そうなんですね試す時がきたとしてもくれぐれも出出所がおれたちだって事はバラさないでくださいね。」
「あぁそれだけは間違いなく約束する。」
これは別にコントラクトで契約してる訳じゃないけど変に目立つのは嫌だからな。
バラさないって言ってくれてるし信用しようと思う。
休憩もそろそろ終わりにして次の階層に向かう事になった。
四階層のバイホーンゴートはおれたちもどこにいるのかわからない。クイーンブーンビーの様に戦わずに進めたらいいな。
そう思って進んだ四階層…階段を最短距離で進んでいたおれたちはホーンゴートに囲まれていた。
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