第25話 なりきり師、秘密を明かす。
「その前にギルマスこの部屋が盗聴されている可能性はありますか?」
「ここはギルドの責任者であるおれの部屋だ。当然防音の魔道具を使っている。盗聴などできない。」
ま、それはそっか。ギルマスの部屋なら他の部屋より防犯意識は高いよな。
「わかりました信じましょう…。おれは別にコントラクトだけが使える訳ではないんですよ…。例えばこんな風に…鑑定!」
シルバ
28歳
アサシン
レベル43
HP???/???
MP???/???
攻撃???
防御???
魔攻???
魔防???
俊敏???
幸運???
なんだこのステータス…見れない?まさかシルバさんも鑑定阻害持ち?いや、でもあれはEXスキルだしな…
シルバさんは転生人じゃ無いと思うから多分実力差的な問題なんだろうな…。
それに職業がアサシン?あんなに優しそうな顔のシルバさんが暗殺者なのか…人はみかけによらないな…。
それなら鑑定を覚えてたのはスキルの書で覚えたのかな?
「……ユウキ君…君は僕のステータスを見たのかい?」
「え、えぇ…さっきの仕返しですよ。」
怖ぇ〜…鑑定って思ったより地雷じゃねぇかよ!もしかして怒ってる?おれ暗殺されちゃうの?
「僕は言ったよね?さっき失敗したって…なのに君は見たんだね僕のステータスを…
君、夜道には気を付けた方がいいよ……。」
顔が全然笑ってないんですけど…えっ?この人今暗殺するって予告した?ゴロズ所長とはまた違う恐怖がおれを襲う。
「も、勿論この後おれのステータスもお見せしますよ。それにシルバさんのステータスは職業や年齢、レベル以外は全部?で見えてませんよ。」
ここで嘘をついても仕方ない。見えた結果は偽りなくちゃんと伝えよう。
「アハハ…冗談だよ!そんなに焦らなくてもいい。でもまさか鑑定まで使えるなんて本当に君は何者なんだい?」
「そうですかよかったです。その説明の前にまずはおれのステータスを明かします。オープンステータス。」
ユウキ
15歳
戦士
レベル2 熟練度10
HP730/730
MP490/490
攻撃103
防御92
魔攻81
魔防80
俊敏77
幸運95
スキル
なりきり師▶
戦士▶
魔法使い▶
ヒーラー▶
アーチャー▶
マッパー▶
鍛冶士▶
鑑定士▶
契約士▶
空間支配者▶
EXスキル
創造神の加護 無詠唱 鑑定阻害 熟練度10倍 ドロップアップ 生産率上昇
称号
転生人 なりきり初心者 異常に抗いし者 嗜むなりきり
マスター称号
戦士
◆ステータス整理
「これが今のおれのステータスです。」
皆に見えるようにステータス画面を見せる。
「ユウキなんだこれは?」
「ユウキちゃん、あたしこんなステータス画面知らないわぁ〜!」
「ユウキさん?どう言う事ですか…?」
「ユウキ君、君は一体…」
それぞれがぞれぞれの反応をしている…まぁ転生人のステータス画面なんて普通見れないだろうからな…。
「称号にもある通りおれは転生人です。創造神プライに頼まれてこの世界に来ました。」
「「「「………」」」」
あれ?誰も何の反応もしないぞ!?説明続けてもいいかな?
「おれの本当の職業は戦士じゃなくなりきり師。条件さえ満たせばどんな職業にもいつでも、どこでも、何度でも転職出来る職業です。」
「ま、待てユウキ!頭が追い付かない…」
「わかりました。では質問形式にしましょう。何か聞きたい事はありますか?」
「そ、それじゃああたしから!もしかしてユウキちゃんはこのスキル欄にある職業のスキルを使えるのか?」
あれ?マーガレット所長とゴロズ所長が混じってる?いつもと口調が違うぞ…
「そうですね。職業のスキル全部ではないですがそれなりになら使えます。
それこそモンスターを倒したりしてその職業の熟練度を上げていかないとスキルは覚えません。
まだ転職していないだけで今現在おれの転職できる職業は18種類です。まだまだスキルは増え続けますよ。」
もうこの人達に隠す必要はない。ステータスの事なら答えよう。
「じゃあ次に僕が聞いてもいいかい?」
「どうぞ。」
次はシルバさんだ。
「君のステータスは見た事が無い物ばかりだ。一つ一つ説明してくれないかな?」
「わかりました。ではまず熟練度。これは皆さんで言うレベルだと思います。おれもまだ詳しくはわかっていません。まだステータスが出て五日目ですから…
そして次にEXスキル。読み方はイーエックス。エクストラスキルとか言ったりしますね。転生人の称号を持つ者にだけ現れる特殊なスキルです。
シルバさんが鑑定に失敗したのはおれの持つEXスキルの鑑定阻害が発動したからです。
そしてマスター称号は戦士の熟練度が限界に達した時に出現しました。
おれはもう戦士を育て終わったみたいですね。今日の決闘では見せませんでしたがスラッシュバスターと言う戦士専用の技も覚えています。」
「驚いた…スラッシュバスターと言えば戦士を極めた者だけが使えると言われている数人しか使えないスキルじゃないか!君は使えるのか?」
「使えますよ。まだ使った事はないですけどね…。」
「ユ、ユウキさん!称号の説明を飛ばしたのには何か理由があるのですか?」
と、サナさんが聞いてきた。
「えっ?称号って皆さんも持ってるんじゃないんですか?」
全員が首を横に振る。
「あれ?そうなの?ホークも持ってるからこの世界の人でも出るはずなんですけどね…」
「ホークさん、あなたも称号を持っているのですか?」
「えっ、あっ、はい!二つ持ってます!ユウキが取らせてくれました!オープンステータス」
ホークもステータス画面を4人に見せた。
「本当にありますね…」
「ユウキ、お前が時間さえあれば強くなれるって言ってたのはこう言う事だったんだな…。」
「そうですね。あの時は職業を貰った初日だったので今よりもずっと弱かったです。正直時間を貰えて助かりました。」
「お前は時間さえあればおれたちより強くなれるのか?」
「はい。間違いなくなれます。と言うよりならなきゃいけないんです。内容は明かせませんがプライとの約束事があるんで。」
「プハッ!そうか…全く、末恐ろしい新人だよ!プライ様を呼び捨てにしてるしよ。お前に怖い物は無いのか?」
「そりゃたくさんありますよ。ステータス見たでしょ!おれはまだまだ弱いんです。あなたたちが襲ってきたらそれでおしまいです。」
シルバさんのステータスでもおれより相当強いのに多分この二人はそれ以上に強いんだろう…今のおれたちだと何度やっても勝てる気がしない。
「そうか…でもこれで納得がいった。お前らが仲間を増やさない理由も、異常なスピードでダンジョン攻略する理由も、さっきホークがあんなに怒った理由も。全部お前がやってたんだなユウキ!」
「そうですね…今のおれの役割は近距離兼、遠距離兼、魔法兼、回復兼、鑑定兼、マッパー兼、収納兼、情報収集役ですね。」
改めて口に出すとおれって結構色んな役割やってんな…
「そりゃホークも怒るわな…二人共舐めてるなんて言って済まなかったな。」
「いえ、さっきまで戦士と双剣士の二人パーティーとしか言ってませんでしたし舐めてると思われても仕方ない状態だったとギルマスに言われて気付きました。こちらこそすいませんでした。」
「すいませんでした。」
「ねぇ〜え、ユウキちゃん!グリードに謝ってないで転職するところ見せてぇ〜!」
「そうですね…僕も気になります。」
「わ、私も、見てみたいです!」
「お前らなぁ…まぁおれも気になるけどよぉ…」
「わ、わかりました…なりきりチェンジ…」
さっきまでの雰囲気とうって変わりおれの転職ショーになってしまった…
おれはなりきりチェンジをした事のある職業に転職をしまくった。
「あたし、鍛冶士の格好が一番好き!」
「僕は契約士の格好が気に入りましたね。」
「私は、魔法使いです。帽子が可愛かったです!」
「おれは戦士だな見慣れてる方がユウキらしい。」
それぞれの好みがあったようだ。
転職すると衣装が変わるって説明はしていなかったが最初に魔法使いに転職した時にめゃくちゃ盛り上がった。
話が脱線しまくっているのでおれが元に戻さなければならなかった。
「あの…皆さん!楽しんでもらえたならいいんですがそれよりダンジョンの事について教えてくれませんか?」
「あぁ、そうだったな悪い。ユウキとホークが相手にしたアイアンスコーピオンだが本来五階層に出るはずがないんだ。
そんな事今まで長年ギルドに報告が上がった事はない。」
「それだけじゃありません。ブーンビーが巣を作る事もホーンゴートが分身のスキルを使ってくる事も初めて聞きました。」
やっぱりギルドも知らなかったのか…あのダンジョンで何が起こってるんだ?最下層の悪魔の仕業か?
「そうですか…手がかりは無しか…。」
「ユウキ!プライ様に聞くってのはどう?」
「あっ!その手があったな!」
「「「「プライ様に聞くぅ!!??」」」」
ビックリした…どうしたんだ急に…まぁプライに聞けるってのはこの世界の人間では普通できないことだもんな。
「ユウキお前神託スキルまであるのか?」
「ユウキちゃんどう言う事!?」
「ユウキさん、あなたどれだけ秘密があるの?」
「ユウキ君、君、狙われるよ!」
皆が一斉に話しかけてくるのであんまり聞き取れなかった。
「皆さん落ち着いてください!一斉に話されても何言ってんのかわかりません!
とにかくおれはプライに聞いてきます!一時間後にまたギルドに来ますから皆さんは仕事に戻ってください。
おれの事は秘密にしてくださいね!契約通り死んじゃいますからね!行こうホーク!」
「わかった!皆さんまた後で!」
何かわーわー言っていたがなんか面倒そうだしおれとホークは部屋を飛び出して教会へと向かった。
〜残された4人〜
「アイツら最後にとんでもない爆弾置いて行きやがった!」
「まさかユウキちゃんがプライ様と会話ができるなんてねぇ〜!」
「ユウキさんとホークさんあの二人大丈夫でしょうか?こんな事知られれば色んな人から狙われますよ。」
「そうですね…王族、貴族、教会関係者、裏組織、上げればキリが無い程狙われますね。
無理矢理聞き出した我々が言うのはおかしいかもしれませんが彼が契約に拘わったのも頷けますね。」
「いいかあの二人に関する事はこのギルドでも最重要機密だ。絶対に他人に漏らすな!
命がけの契約をしたがそんなのは関係ない絶対だ!わかったな!?」
「わかってるわぁ〜!」
「はい!」
「勿論です。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます