第9話進化
果物は美味しい。
けれど野菜は不味い。そんな野菜の気持ちを考えた事がある?彼らはきっと怒っている。人間を許さないだろう。その怨念がきっかけなのか。ある日野菜が進化した存在、野菜人が生まれると人間社会を侵略してきた。自分たちの同胞の無念を晴らすために。来る日も来る日も野菜と人間との抗争が火花を散らし何人もが死んでいく。きっとみんな分かっている。この戦争には意味がないって。誰も幸せになりはしないんだ。
「おい、野菜人。ただ飯が食えると思うなよ。働け。」
無精髭を生やしたいかついおじさんが怒鳴る。
来る日も来る日も家畜の世話ばかり。家畜の世話が嫌だと言っているんじゃない。なんの変化もない日々が嫌なのだ。
野菜人である僕が人間側にいる理由は簡単で、恩があったから。子供の頃に助けてくれて人間がいたけどその人は種で打たれて死んだ。彼への恩を少しでも返そうと人間側についたのだがこの有様だ。
はーあ。つまらない。
結局のところ戦争も続けばそれが日常になり皆逞しく生きていくのだ。非日常が日常になる。
檻の向こう側で餌にありつく豚にいう。
「君たちも立ち上がらないかい?」
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