第4話お祭りの夜
なつです。お母さんとお父さんといっしょにおばあちゃん家に帰省したら、たまたまおまつりの日だったので、いきました。ふえの音がすごくてなんだか楽しい。
「何を食べたい?」
「チイちゃんは綿菓子がいいなあ」
ポケットの中には六百円が入っていました。その中から二百円を取り出して屋台のおじさんに渡すと顔よりでかい綿菓子をくれた。
「チイちゃん美味しい?」
「美味しい」
太鼓と笛の音が奏でる祭囃子はどこまでも続いてそうで、この夜がずっと続くのだと漠然と考えていた。
「次はどこにいきたい?」
「次は何をしたい?」
「もっと遊ぼう」
遠くからお母さんの声が聞こえてくる気がする。
「どうしたの?」
「なんかお母さんに呼ばれた気がして」
「そろそろ時間かな」
そういうチイちゃんの顔はほんのちょっぴり寂しそうで夏の終わりを表している風だった。帰省中に知り合った限りある時間を共に過ごす希少な友達。
「そうだね。ごめん」
少し乱暴に言うと、僕はチイちゃんから手を離し一目散に神社の鳥居をくぐった。
目を開けるとそこは屋台が並ぶお祭りだった。
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