第3話弟子になる私、師匠に認められる努力を積む決意は強い
目を覚ますと、横から男女の顔が覗き込んでいた。
「もうミニミアってば、心配かけさせてっ。無事でほっとしたわよ、私」
「可愛くて可愛くて可愛い、ミニミアちゃんが無事でなによりだよ。彼女が助けてくださらなかったら、ミニミアちゃんは......」
私は、ミニミアらしい。この二人が両親のようだ。
「ごめんなさい。泣かせてしまって、ごめんなさい」
謝る私を両親が抱き締めてくれる。
「よかったね。両親のもとに帰れて。それでなんですが、この辺りで狼を見かけませんでしたか?」
「狼ですか。知らないんです、ごめんなさい。お役にたてなくて」
母さんの方がこたえる。
「彼は役にたたない......ここを出よう」
助けてくれた女性は、小さく呟いて建物を出ていく。
私は、後を追いかけ小指に触れる前に男性の叫び声が響く。
「狼が入ってきたぞー。家にはいれー」
女性が駆け出す後を息を切らしながら、追いかける。
女性が脚をとめ、とまれない私は彼女にぶつかり後ろに倒れる。尻もちをついて、背中が地面につくことはなかった。
「いったぁ~」
差し出された手を握り、立ち上がり巨大な狼を見て、震えだし震えがとまらない。
「下がっててね。すぐに終わらすから」
女性は、向かってくる9匹を相手に目で追えないスピードで狼を仕留めていく。時々赤い光が少し揺らめいて見える。彼女は一度も攻撃を受けることなく、息は乱れていなかった。9匹の狼は地面に倒れ込んだ。
残っている狼は、2mははるかに越えていて、この小さな身体では見上げてもよくわからない。
狼は、私めがけて走り出す。脚がすくんで逃げられない。
「誰も傷つけさせない」
彼女は私の前に立ちはだかり、狼の攻撃を受け止める。片手で。2m以上ある狼は大きな炎に全身を包み込まれ、すぐに跡形もなく、灰となって風で吹き飛ばされる。
彼女は私の肩に手を置き、さきほどとは違い優しく可愛い声で言う。
「大丈夫?怖かったよね、早く家に帰って忘れた方がいいよ」
歩き出す彼女にへたりこんだまま、呼び止める。
「まっ。待ってください。あなたみたいに、師匠みたいに強くなりたいです。師匠みたいに人を救えるようになりたいですっ。弟子にしてください」
彼女は、脚をとめ私の方に向かってきて、しゃがみこみ頭を撫でて、鋭い目でいい放つ。
「一年。それまでに強くならないなら、面倒は見られない。それでもいいなら、明日から始めよう。ミニミア」
握手を交わし、両親、師匠と共に食事を摂り、翌日に備え睡眠をとるため、すぐに就寝した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます