竜の里編
到着・竜の里
王都から移動してきて二日が経った。
竜の里へ近づいてくると周りにドラゴンが増え始めた。
でもなんかドラゴンにしては小さいような…
「リトア。周りのドラゴン、小さくないですか?」
『ここの周りに飛んでるドラゴンは偵察用だから小回りが利くように品種改良されてるらしいわ』
「なるほど」
改良種か…
ドラゴンがみんな、リトアみたいなサイズだったらどうしようとか
思ってたけどそんなことなくてよかった。
『そろそろ竜の里に着くわ。準備はいい?』
「準備?」
準備って里に降りる準備?
なんか複雑な申請がいるとかだろうか?
それとも特殊な結界を突破しないといけないとか?
『竜の里の周辺には好戦的なドラゴンが多いのよ。だから……
戦う準備よ。』
「…はい?」
戦う…準備?
『右からくる!』
リトアにそう言われ、右の方を見るとこちらへドラゴンが迫ってきていた。
危なっ!
リトアの声があったから避けれたけど一人だったら危なかったな…。
「助かりました。リトア」
『ボーっとしてちゃ死ぬからね?気を付けてよ?』
「ええ。本気で行きますね。」
そう言って私はとりあえず体勢を立て直す。
油断している暇はなさそうだ。
「来なさい。シキザクラ」
突っ込んできたドラゴンを躱しながらシキザクラを呼びだす。
『お前ら…竜の里になんの用だ。賊か?賊だな!?』
「いや…私達は…」
『お前らを排除する!』
そう言ってドラゴンはもう一度突っ込んできた。
話は聞いてくれなさそうだ…。
「対話は無理そうですね。」
『倒して先に進むしかないわね。』
「そうですね。」
話し合いが出来ない以上強行突破で進むしかない。
「恨まないでくださいね?」
『何を言っている!侵入者は排除するのみ!』
そう言ってドラゴンは炎を吐いてくる。
「桜之二撃」
衝撃波でドラゴンの炎を掻き消し、
そしてそのまま両翼を切る。
翼が取れたドラゴンは他のドラゴンを巻き込んで落ちていった。
少し、心は痛むがやむなしだ。
「二撃は結構体力を使いますね…」
今の私では一撃よりもエネルギーを使う二撃を撃てるのは大体一日三発…。
連発は出来ない。
現に半分くらい体力が持っていかれた。
シキザクラはしまう…?
だけどここから先もっと強いドラゴンが出ないとも限らない。
どうするか…?
『周りから一気に来るわ!』
考え事をしていると無数のドラゴンに囲まれていた。
さっきの突っ込んできたドラゴンは囮だったらしい。
あいつに私の目が向いている隙に一斉攻撃…という作戦か…。
確かに悪くない作戦だ。
現に私もリトアもあいつに気が行って囲まれているのに気付くのが遅くなってしまった。
油断してしまった。
「囲まれてしまいましたね…」
『ええ。だけど私達なら突破できる…
でしょ?』
「…ええ。たとえシキザクラが使える体力が残ってなくとも突破してみせます。」
そう言って私達は背中合わせで戦闘態勢に入る。
「水刀」
『氷剣』
リトアと私はそれぞれ水と氷の剣と刀を出す。
シキザクラは流石に消費が激しすぎる。
「これでどうです?」
しかしまだドラゴンたちは余裕な表情をしている。
まだ勝てると思っているらしい。
『…まだ若いドラゴンなのかも。
年老いた熟年のドラゴンだったらオーラだけで強さを見抜いてるわ。』
「さて…どうしましょうか……ん?なんでしょう?」
ものすごいスピードで何かがこっちに突っ込んでくるんだが…。
なんか額に角が見えるんだが…
ユニコーンとか?
いや…確かユニコーンは飛べなかったはず…。
『副隊長!こいつらが…ガイを…!』
突っ込んできたユニコーン(仮)に私達を囲んでいたドラゴンの内の一体が
仲間がやられたことを報告する。
…あの囮はガイって名前だったのか。
『ゴルァァァァァァァァァァ!!!!!!!うちの兵士を落としてくれたのはぁ!』
そう言って服隊長とやらは角をぶんぶん振り回してくる。
しかしこちらには全然当たっていない。
「なんですか…?あなた…」
「なぜ私の部下を撃ち殺した!」
さっき最初に突っ込んできた部下の敵討ちってか…?
さっきのは襲ってきたからやり返しただけなんだけど?
そもそも死んだかどうかなんてわからないじゃん。
奇跡的に助かってるかもしれないし。
まぁ両翼を失ってる時点で絶望的だろうけど。
そもそも戦場に出た時点でやられたら死ぬというのは分かってるはず…。
「あなたの部下さんが先に襲ってきたのですが…
襲ってきたということは死ぬ覚悟があったということですよね?
これは仕方がないのでは?」
そう言うと他の部下に事実確認をする。
『ぐぬぬ…しかし…さっき貴様が落とした部下が若い者の中で一番強かったのだ…。
次の魔攻大戦でドラゴン族は不利になってしまう…』
魔攻大戦…というのは魔物内の争いのことかな?
そもそもそんな大事な戦の前に部下を突撃させるのが悪いと思う。
「ではなぜあんな命令を?」
『私が命令したわけではないのだ。
あいつが勝手に突撃しに行って…』
『話はあとでいいわ。とにかく私達を国に入れてくれる?
竜皇に用があるんだけど。』
『分かった。改めてさっきはすまなかった。
君たちを客人として竜皇の元へ案内しよう。付いてきてくれ』
そう言って一角は部下を連れて国の方へ戻っていく。
「その前に…あなたの名前を教えていただけますか?私はアリスです。」
『私はリトアよ。』
『ああ、自己紹介がまだだったな。私はイッカ。
竜の国の軍の副隊長だ。』
「よろしくお願いします。イッカさん。」
『ああ。よろしく頼む。』
『私は前回泊った場所がそのまま使えか確認してくるわ。』
『その必要はない。宿泊場所はこちらで用意しよう。』
「いいんですか?私たちは別に野宿でも構いませんよ?」
スキルで食事と寝床くらいは出せるし、収納ボックスに服は入ってるし。
『いいんだ。すべて竜皇の指示だからな』
「竜皇の?」
『ああ。今さっき指示が来てな。
部下の非礼を詫びたいから神殿まで案内してくれって。
食事も用意するそうだ。』
「まぁそういうことなら」
向こうのトップが用意してくれるっていうならありがたくその誘いは受けるとしよう。
仲良くすれば竜魔法の巻物を見せてくれるかもしれないし。
あとドラゴンのご飯って気になるし。
『それともう一つ…《二人には次の魔攻大戦に参加してもらう》だそうだ。』
…え?
「魔攻大戦って言うのはあれですよね?
魔物同士の戦…ってことですよね?」
『概ねその通りで合っている。』
「それがどうして私達が参加することに?
というか参加していいんですか?
リトアはともかく私はドラゴンじゃないんですけど…。」
魔攻大戦は種族間の争いだろうし元々ドラゴンのリトアはともかく
私は.
『俺にもよく分からないが竜皇の指示だ。っと着いた。』
そう言われ前を見るとそこには巨大な宮殿が佇んでいた。
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