魔法学校編

神器『シキザクラ』

入学式始まります!


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「おお…!」


私は先日買ったハカマを着てみていた。


「想像してたものとは少し違ったけどかっこいいなぁ」


これで刀なんかも手に入ったら本当に最高なんだけど。


「あら?アリス?それ買ったの?」


そんな声と共に扉を開けて入ってきたのは普段は家にいない母だった。


うちの母は腕っぷしの弱い父に代わって


各地を周って内乱を収めているので基本はうちにはいないんだけど


今日はちょうど帰ってきていたってわけ。


「母様。おはようございます。ええ。王都で見つけたもので


父様にお金をお借りして買ったんです。」


「はい。おはよう。その服…東の国のハカマよね?


黒が基調になっててかっこいいデザインね。」


「そうなんです。以前、似たような服を見かけたんですけど。


ずっとそれが気になっていたもので。」


「へぇ…似合ってるわ。」


「ありがとうございます。」


「じゃ。私は仕事に行ってくるから」


そう言って母は仕事へ向かっていった。


今度はいつ会えるのやら…。


「さて。私も出かけませんと…」


気持ちを切り替えて私は出かける準備をする。


ハカマは脱いで制服に着替えなおし、髪留めを付ける。


今日は魔法学校の入学式だ。


結局、私が新入生挨拶をしなければならなくなったため他の人より早く出ることになった。


あと入学式前にロン先生がなにか用事があるのだとか。


「…用事って何でしょうかね。」


そんなことを一人呟きつつも私は用意されていた馬車に乗った。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「おはようございます。ロン先生。」


「おお。アリスか。おはよーさん。」


「式の前に私に用事って何でしょうか。」


「おう。ちょっと待ってな。」


そう言ってロン先生は私と自分を対象に転移を使用して別の場所へ移動する。


ここは…。


「首席特典だ。好きな武器を選べ。」


そう言えば主席には神器が贈られるって試験の日にロン先生が言ってた。


神器って珍しいものなのかと思ったけど…


「神器って結構あるんですね?」


「ん?ああ…違うぞ。ここにあるのは普通の武器だ。武器を選んだ後で


教会に行って加護の付与を受けるんだ。」


「なるほど。では…」


私は武器を一つ一つ見る。


剣に…盾、杖など。


普通の武器とはいうものの女神の加護を付与しなくても強そうなものばかりだ。


そしてその中でもひときわ輝きを放つものがあった。


「…これは刀…ですか。」


「お、そいつに目を付けたか。そいつは竜刀『シキザクラ』


結構有名な東の国の鍛冶師が作った逸品でな。


ここにある刀はそれ一つだ。」


「…これにします。」


そう言って私は刀を手に取る。


その瞬間刀はシュンと音を立てて消えた。


「お、収納ボックスか」


「はい。便利かと思いまして。」


「いいじゃないか。次は教会に行くぞ。」


そう言ってロン先生は再び転移を使い、教会に移動する。


「シスターさん。こいつが今年の首席だ。


武器を神器に変えてやってくれ。」


「随分と可愛らしい首席さんですね。


こちらへどうぞ。武器はここに。」


そう言われて私は武器を教壇の前において私自身もその前に座る。


「では始めます。」


そう言ってシスターさんが目を瞑るので続けて瞑ってみる。


何かが流れてくるようだ。


武器に加護を掛けているだけのはずなのに…。


「はい。終わりましたよ。」


そう言われて目を上げると目に見えて神々しいオーラを放つシキザクラがあった。


これが神器のオーラか…。


などと感心しているとどこかに行っていたロン先生が慌てた様子で戻ってきた。


「やばっ!アリス!急いで転移するぞ!入学式に間に合わない!」


「はい。」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


入学式には何とか間に合った。


「ーーーーーーーーーーー以上。新入学生代表アリス。」


新入生代表のあいさつを終えると私は舞台袖に戻る。


途中で『なんであんなのが代表なんだ』とか『私の方が強そう』とか


『早く戦いたいですわ…』とか聞こえたけど気にしないようにしておこう。


私だって好きでこんなことしてるわけじゃないんだよ。


代わってくれるなら代わってほしかったよ。


というか最後のは明らかにシェリルだよね?


こういう時ぐらいは大人しくしてようね?


「よかったぞ。アリス」


心の中でシェリルに制止を入れているとスーツっぽい服に身を包んだロン先生が


そう言いながら近づいてくる


あの一瞬で着替えたらしい。


「ロン先生。ありがとうございます」


「ま、俺が見出したやつだ。それくらいは出来て当然だろうけどな」


「そうですか…」


なんでこの人、自分のことじゃないのに自信満々なんだ…。


まぁ確かにあの試験の後の日、偶然会ったロン先生に稽古を付けてもらったことはあったけど…


そのおかげで色々とスキルも増えた。


その点は感謝してるけどね。


「他の奴らはもう既に教室に行ってるからな。俺たちも行くぞ」


「はい。」


そう言って前を歩き始めたロン先生の後を付いていった。


「着いたぞ。先に入れ。」


そう言われたので教室に入ると、騒がしい声が聞こえてきた。


「あー!遅いですわよ!アリス!」


そう言ってシェリルがこっちに近づいてきた。


今回は突っ込んでこなくてよかった。


「すみません。あいさつが終わった後にロン先生と少し立ち話を…」


「アリス!このクラスには勇者様がいるそうですわ!」


「へぇ…。そうなんですね」


「おまえらー。席につけよー」


シェリルと話しているとロン先生が教室に入ってきてパンパンと手を叩く。


どうやらしゃべりすぎてしまっていたらしい。(そんなことはない)


とりあえず私は席に戻るのだった。


その後はちょっとした連絡のみで終わり、帰ろうとしたところだった。


「やい!お前!」


話しかけられて振り返るとそこには以前、パーティで会った男子がいたのだった












  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る