重力の魔女の出現の可能性と重力制御

(注・後続作品のネタバレも含みます)


【重力の魔女の出現の可能性】

 下に記述される事柄から魔女の創造主クリストフは魔女という生身の肉体での重力制御の実現は早々に諦めたらしい。らしい、というのは研究事態は継続されていたのが論文に残されているからだ。

 重力制御の具現化に関しては魔女の一人の力とするのではなく、機械装置を用いての実現の方を重視していた様子である。しかしそれではあらゆる機械の頂点である機械神を簡易化するだけになるのだが、それも已む無しとしていた。

 だからこそ、生身の肉体で重力制御を扱う紅蓮の死神リュウガ・ムラサメとの邂逅は、魔女の創造主に新たな研究欲を見出ださせ、育親も御手上げとなっていた彼女の謎に僅かでも迫ったのである。


【重力制御】

 重力制御は物質・物体に加わる重力を無効にしたり、調節したりする術。

 一般相対性理論では重力は時空の幾何学的な歪みとして解釈される。歪みのない平坦な時空は重力が存在しない時空であり、そこを基準とすると重力は時空の収縮を示す。しかし、数学的には時空が膨張するような解を想定することも可能であり、物理学的にはそれを反重力(負の圧力)とみなすことが出来る。十分遠方から反重力場を観測すると重力場の時とは逆に、平坦な宇宙よりも空間が膨張し時間が加速しているように見える。

 このような作用を生み出す力は負の力(直感的には負の質量と思ってよい)であり、有名なものとしては時空の虫食い穴ワームホールの話題において登場するエキゾチック物質がある。そのようなSFに近いものではなく多少現実味のある例としては、宇宙の膨張に関わる宇宙定数や真空の力(零点放射)が挙げられる。

 いずれにせよこれらが示唆する「斥力として作用する重力場」は上手にとれば通常の重力場が作る時空の歪みを解除キャンセルすることが可能であり、事実上の反重力(厳密には「万有斥力」)として作用する。これが現代物理学がおぼろげに描く「反重力」である。

 また、現在も証拠の真贋を含めて議論が続いている現象として、ハチソン効果がある。

 力学の面から考えると、重力とは天体上の物体に働く様々な力の合力である。これを要素に分けると、物体と天体の間に働く万有引力が最も大きいことが多く、結果としてその合力は物体が天体に引きつけられる力と見なされる。

 万有引力は離れた二つの物質の間に働く力であるから、物体の間において何らかの方法を用いてその伝達をさえぎってやれば、その影響を脱することができる、という方法も考案された。重力遮断物質を考案し、これを地球側に敷けば、地球からの引力が働かなくなり、その代わりに宇宙からの引力が働くから、そのまま地球を離れ宇宙へ飛び立つことができるとした。

 万有引力は質量の存在によって生じるから、その物質の質量に何らかの形で介入することができれば、引力が調整できる、という方法も考案された。この場合、質量を増やすことによって重力を増やすこともできる。質量をゼロにすることで慣性の法則による制約を破るという余禄もある。無慣性航法がその考えに近いと思われる。

 質量点間の引力は相対速度が光速に近づくに従い小さくなり、超光速航法においては逆に斥力(反重力)として働くというアイデアが示されている。

 重力波そのものを作り出す、という方法も考案された。任意の方向に発生させた重力波で既存の重力の作用を打ち消す、というものである。

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龍焔の機械神99(仮)設定資料集 ヤマギシミキヤ @decisivearm

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