擬似火電粒子個体

(注・後続作品のネタバレも含みます)


【擬似火電粒子個体】

 元々の火電粒子とは、炎のような熱量をまとった電磁場というよくわからないもの。電磁誘導と重力制御が使いこなせれば、真空から力を取り出す第零の火の前段階のものとして扱えるようになるらしい。

 ここで言う擬似火電粒子とは、機械神の近接防護兵装として装備されているものであり、本質的には本物の火電粒子とは似て非なるものだが、炎のような熱量をまとった電磁場というよくわからないものというのは共通しているので、この名称となっている。

 近接兵装的兵器となっておりそこから逸脱できないのはそのためらしい(射撃として使用するのも自らを光線状にしている状態なので体当たりに近い攻撃である)

 怪力線の制御実験で生まれた植物体(これも偶然の産物)が擬似火電粒子のエネルギーを吸収し、泡状というか霧状にまとめて個体のようにできるようにしたもの。

 中心核であるこの植物がエネルギー維持に耐えられなくなり消滅すると、火電粒子個体も消滅する。

 この植物は遠隔操作が可能なように改良されており、擬似火電粒子の力を利用して電磁場の制御まで行い浮遊が可能で、更に擬似火電粒子個体の後部を連続小爆発させることにより推進も可能である。その分寿命は縮む。

 制御母機後方で拡散爆発させることにより機速の増速に利用することも可能である。一応機体が受けるのは爆風と機体を前に押し出す電磁波のみであるが、場合によっては火電粒子そのもののダメージを受ける場合もある。もちろん爆砕中の機体の後ろにいる敵機は凄まじいダメージを受けることになる。

 相手の攻撃(射撃)などを受けてもそのエネルギーで弾が融解されダメージは受けない。しかしその分寿命は縮む。

 このエネルギー場を超える射撃を受けた場合は、突き抜けてしまう。

 剣などの斬敵兵装で切断された場合は、そのダメージ許容量が超えてしまうらしく、両断直後に殆ど霧散してしまう。

 大質量物で斬る殴るなどがもっとも効果的な撃退方法だが、高速で飛行する擬似火電粒子個体にいかにして近接兵装を当てるかが問題である。三日月状の刃を電磁軌道砲などで弾丸のように射出して切り裂くのが最も効果的な撃退方法であろう。事実機械神には迎撃の為に三日月刃を射出する対空砲台・月牙砲が装備されている。

 高初速砲弾や大口径砲による射撃で擬似火電粒子個体を突き抜けて、隠れている母機を破壊してしまえばいいので、完全に無敵の兵器ではない。ただ突き抜けた際に砲弾の威力は劣化しているので、向こうにいる目標が戦艦や機械神等の重装甲を持つ相手だった場合、直接の破壊はやはり難しい。

 中心核となる種子の育成にも手間と時間がかかる。

 人型の様な複雑な形を再現するのは限界があるらしく、単純な形の兵器である戦闘機の姿を模したものしか現在は存在しない。またこれは安定した制御を優先しているのもある。陸戦用に開発されていないのは、元々が高額な運用資金が必要な航空兵器だからこそ限定的な配備が可能だったためである。

 擬似火電粒子個体の最大の利点は、ある程度の電力と、核になる種子の生産(育成)が可能ならば、ほぼ無制限に擬似火電粒子個体と言う戦闘兵器を増やし続けることが可能という点である。

 この二点のバックアップ、そして制御装置と蓄電池が無傷のままならば、半永久的に戦闘が続行可能。しかしこれらを維持し続けるのはやはり難しいらしく、機械神などの超兵器と呼ばれるものにしか搭載されていない。

 機械神の体内にはこの元となる植物を育てるための施設があり、小型の砂漠といった冗談のような施設があるのもそのためである。機械神の中が小さな世界構造となっている元を作ったのがこれだと言われているが詳細は不明。


 ――◇ ◇ ◇――


【擬似火電粒子個体の使用方法】


 1、待機

 実体化させた状態で自機の周りを浮遊させておく。母機を守る盾であり、熱の塊でもあるのでぶつければ相手もダメージを受ける。しかし移動と浮遊のために自身のエネルギーを使っているので、ある程度時間が経つと消滅する。


 2、射撃

 実体化させた状態から、光線状に体を伸ばして相手を貫く。光線兵器のようなもの。

 機銃のように小出しに使うのは不可能なので、一撃必殺の兵装である。


 3、爆撃

 実体化させた状態から、そのまま自爆させる。爆弾である。

 もちろん母機の近くで爆破したら母機にも被害は受ける。


 4、加速

 実体化させた状態から、母機後方で爆砕させ、その衝撃波を母機の加速力に使うもの。

 爆撃とは違って、爆砕を持続させることが可能である(花火に近い)

 爆砕した際の熱エネルギーは母機をガードする対消滅にも使われるので、母機がダメージを受けることは普通はない。


 ――◇ ◇ ◇――


【擬似火電粒子個体の母機】


 レイシキ

 戦闘機。擬似火電粒子個体用蓄電池は一基。

 基本的には敵戦闘機駆逐が主任務の戦闘機という機種なので、擬似火電粒子個体は直接攻撃には普段は用いられず、自身のガードに使用される。


 スイセイ

 爆撃機。擬似火電粒子個体用蓄電池は二基。


 テンザン

 攻撃機。擬似火電粒子個体用蓄電池は四基。

 擬似火電粒子個体の一つは突入時の加速に使われるので、通常は破壊利用されるのは三発。


 サイウン

 情報収集を主任務とする偵察機。

 敵機と遭遇した時の自衛と緊急回避のため、六基もの擬似火電粒子個体用蓄電池を持つという、偵察用機種であるはずなのに最強の攻撃力を有することになってしまった機体。

 肥大した重量での高速を実現するため大出力のエンジンを積むが、運動性はやはり戦闘機には落ちる。

 母艦から大きく離れての行動を強いられるため、サポート電波を外れた場所では「回避」と「離脱」のみに特化させた行動を取るようになっている(そのための六基もの擬似火電粒子個体用蓄電池の搭載である)

 高価な機体であり基本的には非戦闘用なので通常空戦には参加しない。


 ――◇ ◇ ◇――


 殆どの機種で無人型と有人型の二機種が存在するが、無人型の方が運動性能は高く(人間が乗っていないので生物的限界を超えた機動が可能)その分行動範囲は狭い(母艦からのサポート通信を外れると途端に機動性などの戦闘性能が劣化する。その為母艦である空母は戦場域に接近しなければならないため総じて重武装である)

 この擬似火電粒子は武器でもあり盾でもある。

 航空機搭載の場合は母機と全く同じ形状であると負担が少ない(制御装置が小型の物しか積めない)ので全くの同型である。

 空母搭載の場合は、逆の理由でそんな巨大な擬似火電粒子個体は作れない(製造そのものは可能らしいが現実的ではないらしい)ので、戦闘機型のものを搭載している。

 待機状態を維持するにはまとまった電力も必要なので、種を増やせば無限に作れるわけでもないらしい。

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