第2話
「んん……んちゅ……」
真冬の唇はとても熱くて柔らかく、何度もキスをしたいと思えるほどだった。
だけどずっとしているわけにもいかず、涼太は真冬の唇から自分の唇を離す。
「ふあ……何で……」
何でいきなりキスしてきたのかと思っているのだろう。
抵抗してこなかったのはいきなりで驚いたからかのか、それとも幼馴染み相手だからなのか分からないが、今も逃げないとこを見ると嫌ではなかったらしい。
若干うっとりとした表情の真冬は、とてもじゃないが先ほどまでの毒舌少女とは思えないくらいだ。
出した声も甘く、まるで彼女が彼氏に甘えるかのようだった。
「真冬の毒舌を封印するためにキスしただけ」
「もう……私はそんな理由でファーストキスを奪われたんですか」
確かに女性にとってのファーストキスは特別なのだから、もっとシチュエーションを重視してほしいと思ったのだろう。
「中学の頃からずっと毒舌を耐えてきたんだ。ファーストキスを奪っても問題ないだろ」
「それとこれとは話は別……んん……」
再び毒舌を封じるためにキスをする。
プルンと潤いのある柔らかい唇を侵略し、絶対に辛辣な言葉を言わせない。
二回目で少し余裕があるので、唇を甘噛みしたりして真冬の毒舌を封じる。
唇が敏感なのか真冬は甘い声を出し、抵抗してこない。
「後どれくらいしたら毒舌じゃなくなるかな?」
「そんなの知り……んん」
どうやらまだ毒舌じゃなくならないらしいので、言えないように再び唇を封じる。
唇を甘噛みしたりして真冬を蕩けさせ、完全に毒舌を封印させなければならない。
「涼く、料理が……んん……」
涼太はコンロの火を止めてキスを続ける。
しっかりと頭を手で抑えて真冬を離さない。
今日だけでは無理かもしれないが、いっぱいキスして甘い砂糖菓子みたいなるくらいまで続けるつもりだ。
少しでも真冬が甘くなれば、これからのグータラライフが楽になるのだから。
ゆっくりと、かつ濃厚なキスをしていると、真冬は身体の力が抜けたようにこちらに体重を預けてきた。
もう大丈夫そうなのでキスを止め、涼太は潤いのある金色の瞳を見つめる。
「涼くん……」
蕩けきった瞳をしている真冬は、腕を涼太の背中に回して抱きついてきた。
濃厚なキスをした後にむにゅむにゅと柔らかい胸を押し付けられては、いくら気の知れた幼馴染み相手でも理性がゴリゴリと削られていく。
しかももの凄く甘い匂いがして本能が刺激されるし、蕩けた真冬は可愛い。
真冬がギューってして離れないので、涼太は彼女の頭を優しく撫でる。
「にゃあ」
撫でられて気持ちいいらしく、真冬は涼太に頭を撫でられるのを味わっているようだ。
今の真冬は毒舌を吐くのを忘れた甘えん坊みたいで、辛辣な態度を取る前に戻ってしまったかのよう。
小学生の頃の真冬は涼太から離れなかったし、将来は涼くんと結婚すると言っていた。
昔の微笑ましい真冬を思い出して、涼太は少し笑みを溢す。
「真冬、ご飯は?」
あまりくっつかれると理性がなくなってしまうので、そろそろ離れてほしい。
襲ってもいいなら寝室に連れて行って押し倒すが、今は空腹だからご飯を食べるのが最優先だ。
「これは激辛なんで愛しい涼くんに食べさせるわけにはいきません。後で作り治します」
「勿体なくない?」
「大丈夫です。お母さんに食べて貰うので」
ああ、御愁傷様、と思いつつも、涼太はあることに気づいた。
真冬はさらっと愛しいという言葉を使ったのだ。
毒舌の女王と言われてもおかしくもないくらいに辛辣な真冬が愛しいと言ったので、涼太は驚かずにはいられない。
いや、真冬の好意には以前から気づいていた。
恐らく長年一緒いる内に自然と好きになったのだろう。
でも、普段がクールすぎるために驚いてしまったのだ。
「今は一秒たりとも涼くんから離れたくないです」
ギューと真冬の腕に入る力が強くなった。
ひたすら離れようとしない真冬は、何かを期待するかのように瞼を閉じる。
してほしいことは分かっており、涼太は真冬の想いに答えるようにキスをした。
「んん……」
先ほどから何度も感じる真冬の唇は、涼太自身も蕩けてしまいそうになるくらいだ。
ゆっくりと唇を離すと、真冬は嬉しそうに笑みを浮かべた。
「えへへ。涼くん、涼くん」
何度も愛しい人の名前を呼ぶ真冬に、もう涼太以外のことは頭にないだろう。
「涼くんが他の人の元にいかないように徹底的にダメダメにしなければいけませんね。浮気したら……許しませんよ?」
「お、おう……」
瞳から光を失った真冬に言われ、涼太は頷くことしか出来なかった。
どうやらキスされて今まで抑えていたブレーキが外れてヤンデレになってしまったようだ。
「私も涼くんだけを考えて、涼くんを幸せにするために生きますから」
真冬は尽くし系のヤンデレらしく、もう今までのような毒舌な彼女の面影がない。
キスでブレーキが外れた真冬は可愛いが、一生束縛されることになりそうだ。
だけど可愛い可愛い真冬に尽くされるという役得があるし、彼女は涼太の欲求を全て満たしてくれるだろう。
元々仲のいい異性はいないため、拒絶するよりヤンデレな真冬に尽くされたようがよほどいい。
「じゃあ早速幸せにしてもらおうかな。ベッドに行こうか」
そう言いながら涼太は真冬の腰に手をやる。
「はい。私の初めてを貰ってください」
寝室に入って真冬をベッドに押し倒し、涼太は彼女と何度も身体を重ねた。
毒舌な幼馴染みでもキスをすれば俺のことだけを考えるヤンデレになるようです しゆの @shiyuno
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