第2章 「対機神部隊の少女」
第2章 第1話
今俺の目の前には、大量の書類が積まれている。それは構わん、いつものことだ。問題は目の前に積まれた書類の量ではなく、その内容。先日の蜘蛛型機神の一件。
「殺された部隊員は13名。ようやく見つけた蜘蛛型機神は既に残骸と成り果て、その
部隊のメンバーがビル跡に到着した時には、蜘蛛型機神の残骸と無数に張られた鉄線だけがしか残っていなかった。
「俺たち以外に機神を相手にすることができ、何らかの目的で機神の中枢を集めている連中がいる……? 或いは、機神同士での争いか……。可能性としては後者の方が高いが、前者も否定しきれんな」
仮に前者であれば、何の目的で機神の中枢を集めているかだ。俺が局長を務めている対機神部隊でも、奴らに対する知識は乏しい。少なくとも、対人兵器の類はまるで通用しないという事は確定しているのだが。
思考を巡らせていると、扉をノックする音が部屋に響く。
「入って構わん」
「失礼します、
扉を開けて入って来た女は手に持った封筒を、こちらに差し出してきた。
「研究所の城嶋所長から、先日の蜘蛛型機神に関する報告書です」
意思疎通が可能で了承を得た、或いは敵対し撃破した個体を研究してはいるのが研究所だ。対機神部隊への知識や武装は、彼らによって齎されている。
中身の書類に目を通し、深い溜め息をつく。新たに得た情報は確かにあったが、果たしてそれをどうすればいいかなど分からない。
「2体の機神、か」
「久城局長、どうしますか?」
休めの姿勢で待機する彼女へと視線を向ければ、こちらの指示を待っているようだ。まるで、私に行かせろとでもいうように。そしてそれは、他の隊員たちも同様であろうことは察せられる。何せ、10年以上の付き合いがあった仲間を殺されているのだから。
「この書類にある2体の機神と、蜘蛛型機神となった榎園藍を捜索しろ」
「了解しました」
礼をした後、彼女は私の部屋を後にする。再び、深い溜め息を吐いた。
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