対海王竜
大浮遊島のセーフ・エリアで一夜を明かした俺達は、朝飯を食い、しっかりと準備を整えてから、
当然ウイング・バーストや熾炎の翼も纏い、クラウ・ソラスとアガート・ラムも生成済みだ。
リヴァイアサンは終焉種だが、元となったプリオサウルスはSランクモンスターだから、終焉種内ランクっていうのがあるとしたら実は真ん中より下になる。
以前俺が倒したウロボロスや、父さんと母さんが倒したケートスと同ランクだな。
まあ、どっちも神話級術式で倒してるから、実際の強さがどんなもんかは未知数に近いんだが。
「それじゃあやるか!」
「「「ええっ!」」」
「「うん!」」
「「「「はいっ!」」」」
それに合わせて、リディアもグランダスト・ブリザードを使ってくれた。
だがリヴァイアサンは、グランダスト・ブリザードを水と雷の竜巻で相殺し、アイスエッジ・ジャベリンは巨体に似合わない動きで避けやがった。
いや、1本は完全には避けきれず、胴体右側部を掠めたか。
とはいえたった1本、しかも掠めた程度じゃ全長300メートル近くあるリヴァイアサンに効果があるはずもなく、掠り傷にすらなっていない。
「グレイシャス・バンカーにしとくべきだったか」
「あっちはあっちで、数を作れないでしょ。それに今更言っても仕方ないわ」
ごもっともです、はい。
手数のアイスエッジ・ジャベリンと一撃のグレイシャス・バンカーって感じになってるし、実際そんな使い方してるからな。
もうちょいアイスエッジ・ジャベリンはデカくした方がいい気がするから、改良に取り組んでみるか。
まあそれも、この場を乗り切ってからだけどな!
俺は再度アイスエッジ・ジャベリンを、今度は30程作り出し、20本は無照準で、10本はしっかりと狙いを定めてから撃ち出した。
さらにリディアももう一度グランダスト・ブリザードを使い、フラムもアローレイン・テンペストを使う。
リヴァイアサンも
それでもリヴァイアサンの巨体からすれば掠り傷にもならない程度の攻撃だから、足止め程度にしかなっていない。
まあ、想定内だけどな!
「大和にばっかり気を取られてばかりいると、懐がお留守になるわよ!」
「そうそう!」
その隙を付いて、プリムとルディアがフィジカリング、マナリング、アクセリングという三大強化魔法と
これにはさすがにリヴァイアサンもヤバいと感じたのか、体を捻って回避行動に入るが、俺、フラム、リディアの
だがそれはリヴァイアサンも分かっているようで、魔力強化によって鱗の防御力を上げて2人のグランド・ソードのダメージを最小限に抑えやがった。
鱗には大きな傷が出来ているが、致命傷には程遠い。
しかも再生力も高いようで、鱗の傷もすぐに塞がっていく。
「ちっ!防御力もだけど再生力まで高いとはね!」
「これは長期戦は不利になるわね……。真子、どうしたらいいと思う?」
「どうも何も、面攻撃で動きを封じてから、再生力を超える一撃を叩き込むのが最短でしょう。というか、それ以外で倒すのは無理じゃないですか?」
だなぁ。
鱗の傷は、一瞬とは言わないがかなりの速度で再生しやがった。
再生力というか自己回復力は、異常種や災害種は結構高く、当然のように終焉種だって高い。
だが今までの終焉種は、再生力を超える攻撃を叩き込む事で倒している。
今回のリヴァイアサンもそうするつもりだったんだが、こいつの再生力は今まで倒した終焉種を超えているから、少々の攻撃じゃ足止め程度にしかならない。
多分ニーズヘッグは超えていたと思うが、あれは父さんが秒殺してるから、実際にどうなのかは全く不明だ。
「お、重いっ!きゃあっ!」
「ミーナ!なろっ!」
リヴァイアサンの尻尾の一撃を何とか受け流したミーナだが、軽く吹き飛ばされた上に左手が折れてしまったようだ。
ミーナはオーダーで盾も持っているから、ある意味じゃエレメントクラスより防御力は高い。
そのミーナが骨折する程の攻撃をまともに食らったりしたら、普通に命に関わるな。
リヴァイアサンはミーナに追撃の
すぐに俺はコールド・プリズンを発動させ、リヴァイアサンの
そして間髪入れずにアルフヘイムを発動させ、風の渦を作り出してリヴァイアサンを拘束する。
「合わせるわ!」
「お願いします!」
さらに真子さんが、火性A級広域対象系術式ムスペルヘイムを重ねることで、リヴァイアサンの体は業火に焼かれていく。
プリオサウルスは海棲種ってこともあって、
だけど進化して適性を得た場合は別で、実際リヴァイアサンは
それでも
実際俺のアルフヘイムと真子さんのムスペルヘイムの積層術は、予想通りリヴァイアサンに継続的なダメージを与え続けているし、どうやら再生力に拮抗できているようだが、それでも決定打には遠い。
だがそれでもリヴァイアサンの動きは封じられているし、苦し紛れの
「チャンスだ!一気に行くぞ!」
「もちろん!」
言うが早いかプリムはセラフィム・ペネトレイターを纏い、リヴァイアサンに突っ込んだ。
マナも完全竜化したエオスとの
「大和、ボク達も!」
「分かった!」
セラフィム・ペネトレイターがリヴァイアサンの鱗を抉り、スターバースト・ブレスが全身を貫き、エクストリーム・ディザスターが傷口をさらに広げる。
そこに一足遅れてフラムとの
それに合わせて、俺もアテナとの新
アテナのマグマライト・ブレスを俺の
構想は以前から纏まっていたし、何度か試してもいるんだが、実戦で使うのは初めてになる。
今まで使わなかった理由は、アテナのマグマライト・ブレスそのものを巨大な刃にするため、加減が難しいからだ。
クリスタル・ドラゴニアンの姿になったアテナは、尻尾まで含めると全長50メートル近い大きさになる。
そこまでのデカさになると、当然口から吐くブレスも相応の大きさになるから、大型の魔物相手ならともかく小型中型の魔物が相手になると薙ぎ払うと同時に全身を焼き尽くしてしまうことになるため、そこをどうするかで悩んでいる最中だった。
だけどリヴァイアサン程の巨体なら、全身を焼き尽くしてしまうような心配はない。
しかもリヴァイアサンは再生力も高いから、まだ未完成と言えるブレスエッジ・ブラスターを使っても大丈夫だろうと判断出来た。
実際ブレスエッジ・ブラスターはリヴァイアサンの顔に直撃し、体の3分の1辺りまでを斬り裂く。
当然上半身?を真っ二つにされたリヴァイアサンが生きていられるはずもなく、地面に落ちると同時に永遠に動かなくなった。
「さすがに頭から真っ二つにされたら、再生も何もないか」
「むしろそれで再生なんかされたら、アンデッドでしかないでしょう」
「まあね」
そんな状態で動かれたりなんかしたら、アンデッドだとしても怖いけどな。
でも予想通りデカい魔物が相手なら、ブレスエッジ・ブラスターを使っても大きな問題は無かった。
少し切断面が焦げてるのが気になるが、傷口から20センチぐらいだから素材としても大きな問題は無いだろう。
俺の
矛盾してるが、氷の刃は絶対零度に近い冷気で構成されてるから、命中したらとんでもない凍傷を負うことになるし、絶対零度に近いからこそ氷は解けず、そのままマグマライト・ブレスの熱を伝えているから、結果として切り口は焼け焦げる形になってしまっていたりする。
「なんて考えてるんだろうけど、リヴァイアサンだからこそ言えるんであって、普通の魔物なら完全に燃え尽きてるわよ?」
だから真子さん、俺の心を読むのは止めて。
だけどご指摘はごもっともだから、アテナと一緒にしっかりと対策というか性能向上を考えないとな。
「それじゃあ収納するぞ」
「ええ、お願い」
リヴァイアサンをインベントリに収納すると、今までの
もしかしたら他の
「へえ、
「そういや真子って、これが初めての
「ソルプレッサ迷宮もイスタント迷宮も、真子さんが来られる前に攻略していましたからね」
「ええ、一度は攻略してみたいって思ってたんですよ」
真子さんがヘリオスオーブに来てからというもの、
それに叙爵やらなんやらでみんな忙しくなってしまったこともあって、真子さんは
だけど思ってたより早く攻略できたから、真子さんも嬉しそうだな。
「それじゃあ少し休憩してから、外に出るとするか」
「ええ。リヴァイアサンもだけど、ここ数日はMランク以上の魔物ばかり相手してたから、本当に疲れたわ」
「無事に攻略できたってことで、気も抜けちゃったしね」
プリムとアテナの言う通り、無事に攻略出来たから思いっきり気が抜けたのは事実だ。
第11階層までも相当気を張っていたが、第12階層と第13階層は危険度のレベルが違ったからな。
全方位を警戒するのはもちろん環境も環境だったから、セーフ・エリアが無かったら俺達も攻略を断念してたか、しないまでももっと戦力を集めていただろう。
だからクラテルのハンターズギルドで報告をした後は、ベスティアへも報告して
何にしても、今日はゆっくりと休みたいな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます