各国の騎士協会
Side・マナ
大和が提案した国名が各国の王達に選ばれた事で、お兄様の戴冠式以降はアミスター・フィリアス連邦天帝国へと国名を改めることに決まった。
だけどフィリアス大陸初の
「バリエンテの国境は、このようになる予定だ」
「リベルターはまだ仮ですが、こちらになります」
分割独立する事になるバリエンテとリベルターは、国境もある程度は決めてきたみたいね。
問題となるのはバリエンテのガグン大森林とリベルターのテメラリオ大空壁だけど、テメラリオ大空壁は橋上都市グランレーヴェが麓にあるから、ここは動かしようがない。
ガグン大森林は北と西の王爵領の境にあるんだけど、西の王爵領に組み込む事になったみたいだわ。
北の王爵領はソレムネの蒸気戦列艦の攻撃で、リベルターに勝るとも劣らない被害を被っているから、ガグン大森林まで手が回らないという事情もあるでしょうね。
「そちらについては、そのままお任せする。問題がないようにお願いしたい」
「心得ております」
国境については、バリエンテは貴族領を組み合わせれば何とかなりそうだけど、リベルターは放棄する橋上都市の問題があるから、少し時間が掛かるでしょうね。
「各国の騎士団だが、オーダーズギルドを頂点に、その下にセイバーズギルドと竜騎士団、公国騎士団、獣騎士団、ホーリナーズギルド、ソルジャーズギルドとなるが、これで構わないのか?」
「それも当然ですな。オーダーズギルドはアミスター王国の騎士団なのですから、天帝国としての宣言後も、陛下直属の騎士団として存続していきます」
「ですからオーダーズギルドが騎士団の頂点に位置するのは、至極当然のお話ですね」
「いっそのこと公国騎士団と竜騎士団も、ギルドとして名を変えても良いかもしれません」
「確かに統一感が出るな。だが竜騎士団はともかく、我が公国騎士団は人数も少ない。獣騎士団やリベルター軍も統合してしまうべきではないか?」
「軍という性質上、リベルター軍はソルジャーズギルドに編入させた方が良い気もしますな」
オーダーズギルドやセイバーズギルドのような騎士団は、当然各国にもある。
リベルターにはないけど、代わりに軍隊が組織されていて、一部とはいえ
その騎士団は、天帝直属組織になるオーダーズギルドが最上位となって、その下にギルドと名称を変更した騎士ギルドが名を連ねるようにするべきだという意見が場を締め始めた。
確かに名称に関しては変更しても良いと思うけど、オーダーズギルドも含めて横一列で考えた方が良い気がするわ。
「いえ、オーダーズギルドは天帝の、ホーリナーズギルドを除く騎士団は各国王や貴族の直属です。その点を踏まえても、オーダーズギルドが他の騎士団と同列なのはおかしいでしょう」
確かにカタリーナ議員の言う通りなんだけどね。
実際セイバーズギルドはトラレンシア女王の、竜騎士団の近衛はバレンティア竜王直属だけど、貴族も独立した竜騎士団を持ってるし、アレグリア公国騎士団だってアレグリア公王直属、獣騎士団はオーダーズギルドに近いけど、活動資金は貴族が出している。
それをオーダーズギルドと同じように、名称のみならず活動や経営方針も統一しようって事なら、確かに必要かもしれないわ。
「ギルドランクについては、オーダーズランクやセイバーズランクとほとんど変わらないでしょう。名称については、これから考える事にします」
なんていうフォリアス陛下だけど、その議題が出るかもしれないっていう予想はあったみたいだから、こっちもいくつかの名称候補があったりするのよね。
竜騎士団はドラグナーズギルド、公国騎士団は獣騎士団を含めてランサーズギルドが筆頭候補で、リベルター軍はソルジャーズギルドに編入っていうのが、アミスターからの案になるわ。
ドラグナーズギルドはともかく、ランサーズギルドは少し揉めたけどね。
剣を意味する名を冠したセイバーズギルドだって槍や弓、斧だって使ってるワケだから、槍を意味するランサーでも大きな問題にはならないだろうって事で、無理矢理押し切ったらしいけど。
「ドラグナーズギルドか。悪くないな」
「ランサーズギルドも同様だが、ギムノス獣王、獣騎士団も含めてしまって構わないのか?」
「我から申し出た事ゆえ、お気に召されるな。我がバリエンテは分割独立が確定している。そのような国に、ギルド本部を置くなど出来ぬ故に」
「確かにね」
ギルド名については、ドラグナーズギルドもランサーズギルドも受け入れてもらえた感じかしらね。
あとはギルドランクだけど、オーダーズランクには騎爵位があるから、セイバーズランクやソルジャーズランクの方が参考になるかもしれないわ。
「ギルドランクについては、このような形になる」
Tランク 入団から1年の研修期間。
Iランク レベル20以下。ギルドレジスターを名乗ることは出来ない。
Cランク レベル21以上、レベル30以下。
Bランク レベル31以上、レベル40以下。
Sランク レベル41以上、レベル50以下。
Gランク ハイクラスへの進化。
Pランク オーダーは騎爵位。他ギルドは近衛。
Mランク オーダーは近衛。他ギルドは部隊長。
Aランク 各ギルドが用意した称号。
Eランク ギルドマスター。
Dランク 各ギルドが用意した称号、及びグランド・マスター。
Oランク エンシェントクラスへの進化。
こんな感じになってるわ。
PランクとMランクがオーダーズギルドと他のギルドで少し違うけど、基本的には変わらない。
ドラグナーズギルドやランサーズギルドも、このランクと同じになるでしょうね。
考えないといけないのは、AランクとDランクで必要になる称号。
オーダーズギルドの称号は、Dランクは以前のAランクだった
そのAランクオーダーの称号は
セイバーズギルドにも
ちなみにソルジャーの称号は、Aランクソルジャーが
初代グランド・ソルジャーズマスターに就任したデルフィナには
「称号ですか。功に報いやすくなりますから、確かに必要ですね」
「考えるのは大変だが、必要な事と割り切ろう」
さすがに称号までは、こっちも考えてないのよね。
ソルジャーズギルドはソレムネの事があるから必須だったけど、ドラグナーズギルドとランサーズギルドは、申し訳ないけど各国でお願いしたいわ。
「総本部だが、全てのギルドをフロートに置くことになる。ドラグナーズギルドやランサーズギルドはお任せするが、セイバーズギルドとソルジャーズギルドはフロートに新たな総本部を作る事を、ヒルデガルド女王が認めている」
そしてギルドの総本部は、全てのギルドがフロートに集まる事になった。
既に総本部のあるクラフターズギルドとヒーラーズギルド、オーダーズギルド、今も建設途中のプリスターズギルドとホーリナーズギルド、ソレムネに破壊されてしまったトレーダーズギルドは問題無いんだけど、ハンターズギルドとバトラーズギルド、セイバーズギルド、ドラグナーズギルド、ランサーズギルドはちょっと問題。
バトラーズギルドとセイバーズギルドはヒルデ姉様も快く賛成してくれてるんだけど、ハンターズギルドは下手をしたらアレグリアとの国際問題に発展しかねないのよ。
「その話は、ギャザリング殿からも伺っている。エンシェントハンターが移動してしまう事になるが、アレグリアがギャザリング殿に国外での活動自粛をお願いしていた理由は、ソレムネという覇権国家が隣にあったためだ。そのソレムネが滅びた以上、ギャザリング殿が場を移られても大きな問題はない」
だけどグレイス陛下は、既にグランド・ハンターズマスターからその話を聞いていたし、ソレムネが滅びた今、エンシェントハンターが国内からいなくなっても問題少ないと考えているみたいだわ。
「いやいや、グレイス陛下。ワシは確かにフロートへの総本部移転を進言しましたが、ワシはアレグリアから動くつもりはありませんぞ?通勤に関しても、トラベリングを使えば解決しますからな」
さらにグランド・ハンターズマスターも、トラベリングを使って総本部まで通勤するとか言ってくる始末。
いっそのこと引退して、誰かを新しいグランド・ハンターズマスターに任命しても良い気がするんだけど?
「活動自粛をお願いしていても、トラベリングを使い度々他国に行かれていたようだから、今更ではあるか。だがその発言は、私としても嬉しく思う」
エンシェントハンターが国から離れないって口にしてくれたんだから、そりゃ嬉しいわよね。
「1つ質問がある。ギルド総本部をフロートに置くのは構わぬ。だがセイバーズギルドやソルジャーズギルドまでもとなると、有事の際に迅速な行動が不可能となる。それについては、如何様にお考えか?」
「その懸念は最もだ。故に騎士団母体ギルドのグランド・マスター、アソシエイト・マスターは、半年ごとに国の本部と総本部を移動してもらおうと思っている」
「なるほど、グランド・マスター、アソシエイト・マスターのいずれかは必ず国元に残っているために、有事の際でも指揮系統で混乱を来すような事態は防げますな」
「万全とは言えないが、獣騎士団やリベルター軍は吸収される事になるし、アミスターと本国のみならず、他国との繋がりも出来るだろう。さらにセイバーズギルド、ソルジャーズギルドの総本部は、オーダーズギルドと同様に天樹の一角に用意する予定だ」
「「「おお!」」」
会議場からどよめきが起こった。
天樹城は王家の住居のみならず、国政を担うアミスターの中枢でもある。
他国の要人が宿泊する事もあるけど、他国の騎士団に関係する施設は一切無かった。
他国の施設が近くにあったりすれば、国王暗殺なんかを企んだ場合でも実行に移しやすくなってしまうし、成功するにしても失敗するにしても、どこかの部署が麻痺してしまう可能性が高いから、これは当然の措置だし、どこの国だって王城付近に他国の施設建設なんて認めていないわ。
だけど今は、アミスターを中心としてフィリアス大陸が1つに纏まろうとしている。
だからお兄様は、あえて天樹の一角にセイバーズギルドとソルジャーズギルドの総本部を建設させようとしているし、可能ならドラグナーズギルドとランサーズギルド総本部も建てるでしょう。
「そこまでお考えであるならば、我から言う事はありません」
まあエンシェントエルフに進化したお兄様を暗殺なんて、同じエンシェントクラスでも使わない限り不可能だからね。
次代以降は分からないけど、オーダーズギルドだって近くにあるし、ロイヤル・オーダーの詰所は王連街だから、余程の事があっても国王、天帝の暗殺なんて出来っこないでしょう。
仮に反乱を起こしたとしても、デルフィナも含めてインサイド・エンシェントオーダーが5人もいるから、単独でも鎮圧可能だし、私達だっているもの。
「それでは陛下、わたくしは予定通り3日後に、デセオに向かいます」
「ああ、頼む。私も時折様子を見に行くが、無理はしないようにな?」
「無論です。ウイング・クレストの皆様も助けて下さいますし、わたくしもエンシェントヴァンパイアですから、少々の問題は切り抜けて御覧に入れます」
会議も終盤に差し掛かると、ソレムネの統治に関する話が多くなった。
最後にヒルデ姉様が、3日後にデセオに向かうと告げて、会議は終了となる。
その後は食事会になるけど、私達は不参加って伝えてるから、このままアルカに帰りましょうか。
今度の会議は2週間後だけど、私達は特に参加しなくてもいいそうだから、しばらくはヒルデ姉様の手伝いをしながら、のんびり過ごす事にしましょう。
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