竜響契約
嫁さんが1人増えることになりました。
しかも
全く想定外の事態です。
さっき派手に椅子からひっくり返ったから、まだ頭が痛え。
とはいえ、既に嫁さん4人、婚約者4人だし、俺の嫁は全部で12人って話だから、アテナもその中に含まれてるってことなんだろうな。
そう考えて、無理やり自分を納得させることにしている。
打算もないわけじゃないが、それはそれだ。
「それでは後程、竜響契約を結んで頂きます」
「竜響契約、ですか?」
それはなんでっしゃろか?
「一言で言えば、ドラゴニアンと結ぶ従魔契約のようなものです。お互いに魔力が強化されることになりますから、竜化魔法を使っても簡単には魔力切れにはならないでしょう」
ドラゴニアンの奥の手の完全竜化をしても、魔力切れにはならないのか。
俺の魔力も強化されるってことだが、これ以上強化されてもどうかと思わなくもない。
とはいえ、魔族との戦いが控えてるわけだから、少しでも強くなれるんなら望むところだ。
「それと、エオスもアテナの世話役として同行させたく思います。Gランクバトラーですしハイドラゴニアンでもありますから、皆様の足を引っ張るようなことはないでしょう」
さらにエオスまでですかい。
確かにエオスはGランクバトラーだし、ハイドラゴニアンなんだから普通に強いのは分かる。
さすがに完全竜化することは滅多にないだろうが、それでもアテナより完全竜化しやすいのは間違いないから、いざって時は心強い。
「そうすると、エオスも大和と竜響契約を結ぶということになるのですか?」
「いえ、申し訳ありませんが、竜響契約は余程相性が良くない限り、1人としか結べません。ライバート様に嫁いだカリスとクレタは双子の姉妹ですから問題ありませんでしたが、フレイアス様に嫁いだタレイアとグレイスは運が良かったと言っても過言ではないのです」
ってことは、俺とエオスは竜響契約ってのを結べないってことか。
結婚前提に近い契約なんだからラウスはまだ無理だし、そうなるとエドしか残ってないぞ?
「女性でも契約は可能ですよ。竜響契約は結婚とは別ですから」
俺の考えを読んだのか、ガイア様が先に教えてくれた。
それはそれで、また面倒な話になるな。
「それならマナは?」
「はい?なんで私?プリムの方が良くない?」
「いえ、多分マナの方が、恩恵は大きいと思うのよ。だってマナの
プリムがマナを推薦してきてるが、マナも即座にプリムを推薦し返す。
なのにプリムは、マナの
「竜響契約っていうのがどんなものかは分からないけど、お互いの魔力が強化される以外にも、多分魔力の波長が似通るんじゃないかと思うの。そうじゃなかったら、竜騎士はただ竜化したドラゴニアンに乗ってるだけなんだから、契約する意味が薄いでしょう?」
「プリムローズ様の仰る通りです。ドラゴニアンは騎獣ではありませんから、竜騎士が操っているわけではありません。互いの魔力を共鳴させることで、強力な魔法を放つことが出来るようになるのです。ですから竜騎士は、人竜一体となるために、竜響契約を結ぶことになっているのですよ」
つまりアテナと契約するってことは、俺も竜騎士になるってことかよ。
アミスターで
「なるほど、召喚魔法士と召喚獣は、魔力を共鳴させることができますから、そこにエオスも加えることで、さらに強くなれるかもしれないということですね?」
「正解。従魔魔法はそんなことできないから、召喚魔法士と竜響契約って、かなり相性が良いと思うのよ」
なるほどな。
召喚獣の世話とかがあるから召喚魔法は使いにくいって言われてるが、そこをしっかりとしていればかなり強い魔法ってことになるのか。
そういやマナも、ルナ、スピカ、シリウスとの連携になる
そこにエオスが加われば、さらにとんでもないことになるぞ。
とはいえ、エオスはドラゴニアンだから召喚獣みたいな扱いはできないし、Gランクバトラーでもあるんだから、マリサさん達と同じことをしてもらう可能性もあるんだが。
「それも仰る通りです。とはいえ、普通の召喚魔法士は1匹の魔物としか契約をしませんし、ハイドラゴニアンと竜響契約を結ぶこともありませんが」
そりゃハイクラスの竜騎士がいるとはいえ、ハイドラゴニアンはエオス達4人しかいないみたいだしな。
アトロポス、クロート、ラケシスはソウヤさんと結婚してすぐに進化したが、ソウヤさんの
「そういうことでしたら、エオスさんとはお姉様が契約されるべきですね」
「ハイドラゴニアンなら、短時間なら完全竜化もできるみたいだし、マナ様の
ユーリとルディアも、マナとの契約を推してるな。
確かにマナの
そもそもエオスがそれを良しとするかが分からんのだから、まずはそこからだと思うぞ。
「ユーリ様、ルディアも。それだとエオスを、召喚獣みたいな扱いをしてることになります。もちろん切り札として、そういった
「あ!ご、ごめんなさい!」
「ごめん、エオス!そんなつもりじゃ……」
リカさんに諭されて、すぐにエオスに謝罪するユーリとルディア。
「エオス、あなたはどう思いますか?」
「光栄です。召喚魔法士との竜響契約は、ドラゴニアンにとって憧れですから」
肩がこけてしまった。
てっきり怒る、とはいかなくても、気分を害するぐらいはすると思ってたんだが、まさかの憧れかよ。
しかもドラゴニアンにとってって、マジなのか?
「えーっと……ドラゴニアンにとって、召喚魔法士との竜響契約って、そこまでのものなの?」
「勿論です」
フィジカリングやマナリングが強化されることで身体能力や魔力が上がり、ブレスなんかも何倍もの威力になるから、自身の生存率も大きく上がることも理由になってるらしい。
竜化しなければ他の種族と大差ないが、竜化魔法っていう切り札とエンシェントクラスより長い寿命があるため、ドラゴニアンは人間でありながら竜であるって意識があるらしく、伴侶やパートナーと共に戦うことは本望だとまで言い切られた。
そう言われてしまうと、こっちは何も言い返せないんだが。
「諦めなさい、マナ。マナだってハイドラゴニアンと竜響契約を結べるんだから、悪い話じゃないでしょ?」
「それはそうだけど……。わかったわよ。じゃあエオスは、私と竜響契約を結ぶってことで良い?」
「ありがとうございます」
満面の笑みですな、エオスさん。
「では大和様、マナリース殿下。こちらへお願い致します」
「わかりました」
竜響契約はドラゴニアンにとって神聖な儀式ってことになるから、当事者以外は見ることはできないそうだ。
だからプリム達は、最初に通された応接室で待つことになった。
「こちらです」
ガイア様に案内された場所は、クリスタル・パレスの一室だった。
一室って言っても坪庭みたいな感じで、泉まであるんだが。
「竜響契約の進め方は、アテナもエオスも知っています。私も儀式を見ることはできませんから退室させていただきますが、終わりましたら最初にお通しした応接室までお戻りください」
そう言ってガイア様は退室していった。
「それでは大和様、マナリース様、儀式を始めたいと思います」
「ああ、わかった」
「よろしくね」
「はい。それではお召し物をお取りください」
……はい?
「え?お召し物をって……もしかして、裸になれってこと!?」
「はい。儀式はあの泉の中で行います。そして互いの魔力を共鳴させることになりますから、服は邪魔になってしまうのです」
そう言って服を脱ぐエオス。
プリムに匹敵する巨大な物がたゆんたゆんって揺れてるから、目のやり場に困る……。
「そ、そうだよね。そ、それじゃ、ボクも……」
アテナも続くが、この子もマジで大きいんですけど。
エオス程じゃないが、それでもフラムよりデカいぞ。
「し、仕方ないわね。大和」
「え?あ、ああ、わかった」
マナの視線が冷たかった気もするが、俺も覚悟を決めて服を脱ぐ。
「……後で鎮めてあげるから、我慢してなさい」
「……ごめんなさい」
俺の息子は、素晴らしく自己主張してましたが。
「儀式が終わった後は気分が高揚するため、行為を行うことも珍しくないそうです。何でしたら私も、この身を差し出しますが?」
「ちょ!エオス、何言ってるの!?」
いきなりそんなことを言い出したエオスに、慌てるアテナ。
いや、ホント、マジで何言い出すのさ、この人は!
「大和様はマナリース殿下の夫なのですから、私のもう1人の主とも言えますから」
「そういうことね。でも私だけじゃ決められないから、それは後でってことで」
「わかりました。では、儀式を始めましょう」
確かに俺はマナの旦那ではあるが、別にエオスの主ってわけじゃないと思うんだが?
というか、なんかちょっと残念そうにしてない?
いや、俺はアテナと儀式をしなきゃなんだから、そっちばっか気にしてられないんだけどさ。
「はい、位置はそこで結構です」
泉に入って、俺はアテナと、マナはエオスと向かい合って立ってるんだが、距離は全く離れていない。
これ、近すぎませんかね?
「アテナ様、準備はよろしいですか?」
「う、うん」
「では始めます」
「へ?」
キョトンとしたマナの声が響いたが、気持ちは分かる。
なにせマナは、エオスに正面から抱き着かれてるんだからな。
「落ち着いてください。魔力強化を行っていただければ、後は私達が循環させます。そして月の光を浴びながら、その魔力を互いの体内に取り込むことで、儀式は終了となります」
「わ、わかったわ」
マナもエオスの腰に手を回しマナリングを使い始めると、魔力が渦を巻くように2人の体を巡り始めた。
なるほど、これが循環か。
「や、大和、その……ボク達も」
「あ、ああ、わかった」
小柄なアテナの体を引き寄せ、抱き締めると、俺もマナリングを使うことにした。
とはいえ、ガチガチに緊張してるから、全開で使ってしまったが。
「す、凄いね……。翼が生えてくるなんて」
「あー、悪い。加減するの忘れてた。大丈夫か?」
「うん、大丈夫だよ」
なら良かった。
ここでアテナに無理をさせるつもりはないからな。
それにしても、循環ってけっこう気持ち良いな。
自分の魔力だけじゃなく、アテナの魔力まで俺の中に入ってきてるのが分かるぞ。
アテナの体にも俺の魔力が入ってるんだろうから、竜響契約が双方の強化に繋がるって話も納得だ。
マナとエオスの魔力も感じるが、これはすぐ隣で同じ儀式をしてるからだろうな。
5分ぐらいそうしていると、魔力の循環が収まってきた。
多分、互いの体に魔力が馴染んだってことなんだろう。
「ではマナリース殿下、失礼致します」
「え?んぐっ!」
驚いたマナの声が聞こえたから思わず見てしまったが、俺も驚いた。
なにせマナが、エオスに唇を奪われてたんだからな。
いや、ちょい待ち!
舌入ってるだろ、それ!
「ふう。失礼致しました。気分が昂ってしまったので、つい」
「つい、じゃないわよ!」
そう言いつつも、マナも顔が赤い。
ヘリオスオーブじゃ女性同士の行為はおかしいとは思われないし、俺の体は1つしかないから、みんなも女同士でよくやり合ってるから見慣れてきてるが、それでも儀式の最中にそんなことをするとは思わなかったぞ。
「っと、こっちも収まってきたか」
「大和……」
「わかった。行くぞ?」
「うん……」
目を閉じたアテナに、自分の唇を合わせる。
するとさっきまで俺とアテナの周りを循環していた魔力が、互いの唇を通して混ざり合い、馴染んでいく。
エオスじゃないが、気分が昂る気持ちは分かるぞ、これ。
そう思ってたら、アテナの方から舌を入れてきた。
たどたどしくも一生懸命なその動きは、俺の理性を崩すには十分だ。
それでもマナの前ってこともあって、少しだけ舌を絡ませる程度で済ませたが。
「ふう……。これで終わりか?」
「……」
アテナには刺激が強すぎたらしく、ポーっとして熱っぽい視線を俺に向けてくる。
俺の鉄の理性が持たないから止めてほしいんだが……。
「お疲れ様でした。アテナ様には刺激が強すぎたようですが、すぐに抱かれますか?」
「開けっ広げすぎるだろ」
「儀式の後は気分が高揚するって話だったけど、よく分かるわ。私も体が疼いてるから、できれば鎮めてもらいたいぐらいよ」
体をくねらせるマナ。
俺の鉄の理性が壊れていく……。
「大和ぉ……」
「うおっ!って、アテナ?」
さらにアテナが俺の右腕に抱き着き、潤んだ瞳で俺を見上げてくる。
うん、無理。
「みんなには後で説明するから、一度ずつお願いできる?」
マナも俺の左腕に抱き着いてきて、そんなことを仰られる。
それって、もしかしてエオスもか?
「そうしてあげて。エオス、いらっしゃい」
「ありがとうございます」
満面の笑みを浮かべたエオスも、正面から俺に抱き着いてくる。
鉄の理性よ、お前の事は忘れない。
アテナはもちろん、エオスも初めてだったことは驚いたが、終わった後アテナは恥ずかしそうに、エオスは満足そうにしてたのが印象的だったな。
全てが終わった後、俺はみんなの前で土下座して事情を説明し、許しを請うたが、マナやアテナも取り成してくれたから、なんとか許しを得ることができた。
その代わり、夜はマナとアテナも含めて大変だったんだが。
エオスはもちろん、アプリコットさんまで参戦してきたからな。
ともかく、これでバレンティアでの用事は全て片付いたから、しばらくしたらフィールに帰ることにしよう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます