18.梅の季節に桜咲かせて 2
「だいたい想像したくらいだったぞ。ま、アタシは推薦決まってっから別に何点でも関係ねえけど」
「推薦って…初耳なんだが!?」
予想外のカウンターに衝撃を受ける新田。
「成績も内申も他のヤツより大概良いし、行き先もキリ大一択。別に言うまでもねえだろ」
さも当然と言い放つ梯平はこう見えて授業をさぼることもなく成績は良好、校内での手伝いや地域ボランティアにも積極的だ。成績はそこそこでもあまり内申のよろしくない新田では及ぶべくもない。
「そう言われればそうだが…見た目と言葉遣い以外実は誰よりまともなんだよなあ。信じがたいけど」
「アタシだって面接や書類提出には当然それなりの格好で行って相応の言葉遣いでやってくんぞ」
「ほんと裏表が激しいやつだな」
「TPOを弁えてるって言えよ。で?」
梯平がずいっと身を乗り出す。
「なんのことかな」
新田は引きつった笑みを浮かべてたじろいだ。
「お、また懺悔室の準備が必要か?」
「お前あれひと前でやったら完全にイジメだからな」
「うっせーな、じゃあアタシのためにサクっと本題をゲロっちまえよ。あんだろ?答えが欲しいわけじゃねーけどちょっとひとに聞いて欲しい、そんな程度の話が」
ぐいぐい迫ってくる梯平の圧力に、新田は出来の悪いからくり人形よろしくキリキリと顔ごと視線を逸らした。
「なんでそんな具体的なんだよ」
「もうじきバレンタインだからじゃねーかな」
「…」
そのまま動かなくなった新田を見て梯平が溜息を吐く。
「んなこったろうと思った。身体にチョコソースでもかけて食べさせて欲しいとか頼まれたのか?」
たとえ話の内容に思わず噴き出して捥げんばかりに首を横に振る新田。
「そそそそんなことあるわけっ彼の場合あるかもしれない確かに全面否定はできないがっ!別になにも要求されていない!」
「オマエん中でアイツどういう評価なんだよ」
「従順な隠れドSかな」
「ほーう」
にやにやしている梯平の顔に気付いて気まずそうに顔を赤らめる新田。
「と、とにかくそういうんじゃない」
「じゃあどういうんだよ」
「いやその」
新田は真っ赤な顔に照れ隠しの半笑いで机を見つめて言った。
「チョコをな、私はどういう心構えで渡せばいいんだろと思って」
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