(三)-7

 ゲゲチコリは僕の方を向き、「アイツはなあ、カヘティ共和国陸軍情報部の人間だ。スパイとして潜り込ませていたんだよ。お前らをここにおびき寄せるためにな!」と言っていやらしい笑顔を作った。

 すると、地面に何かが落ちる音がした。目を向けるとゲゲチコリの足下にM―77拳銃が転がっていた。一緒に来ていたヤノ・ムラデリが拳銃を床に投げ捨てたのだ。彼は両手を挙げて「助けてくれ」と声を上げた。

 それを聞いたゲゲチコリは、左足で床の拳銃を踏みつけにして、「今さらやめられるかよ」と顔をしかめ、ヤノの頭に銃口を向けた。

 ロイは「止めろ!」と叫んだ。僕も同じように叫んだ。しかし、ゲゲチコリの指がトリガーを引いた。銃声が鳴った。もう一度鳴った。そしてヤノは膝立ちの姿勢から後ろに倒れた。


(続く)

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