(三)-5

「すぐに逃げろ!」

 僕たちに気づいたロイはそう叫んだ。そしてその直後、背後から「来たな」という野太い声が聞こえた。

 後ろを振り向くとピョートル・ゲゲチコリと小銃の銃口をこちらに向けている兵士が四人、ゆっくりと近づいてきていた。

 僕たちは後ずさるようにゆっくりと部屋の中に入ることになった。そしてロイの前で兵士たちに小銃の銃床で殴られた。

 僕たちは床に手をつくように倒れた。しかし一人、ユーリは兵士の小銃による殴打を受け流して、兵士を殴っていた。兵士が後ろへ倒れると、銃声が二発鳴った。ゲゲチコリが腰に収めていたロシア製のMP―443拳銃を取り出し、ユーリを撃ったのだった。


(続く)

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