(三)-4

 最初の部屋は大きな部屋だった。オフィスワーカー向けのデスクが並んでいた。二〇メートルほど先には窓があり、隣のビルが見えた。今は使われていないらしく、誰もいなかった。

 ユーリのすぐ後ろから「情報屋」が『あっちだ』と左を指さした。

 左の方には壁があった。部屋があるようで扉が見えた。僕たちはそちらへ向かった。

 再び扉の脇で左右に別れ、ユーリがそっと扉を開いた。そして僕たちは中へ入った。

 部屋の真ん中には椅子に縛り付けられ手を後ろで縛られた男がいた。男は僕たちに気づいて顔を上げた。ロイだった。


(続く)

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