(二)-8
翌朝、ナボコフが早い時間なら軍部の警戒も緩んでいるはずだ、と情報収集に出て行った。それと、他のメンバーの消息も確かめるということだった。
「新聞屋」のフィリップから連絡があったのはその日の昼だった。事件の後の記者会見で、「大統領」のゲゲチコリから過去の武勇伝を延々と聞かされて電話に出られなかったという。
もともとピョートル・ゲゲチコリはこのカヘティ共和国の陸軍中将まで上りつめた人物であった。旧ソ連陸軍にいたが、この国が独立する際に、故郷のこの地の部隊指揮官として駐留していたこともあり、そのままカヘティ共和国陸軍に残った。ソ連時代にはアフガニスタン紛争にも参加し、部隊を指揮して各地の村々を破壊したり自らの手で千人以上の敵兵や民間のアフガニスタン人を殺したりした。部下への態度もかなりきつく、ソ連時代には軍法会議にかけられる寸前まで行ったこともあった。
(続く)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます