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 他のメンバーにも連絡を取ったが、連絡がつかない者が多かった。「新聞屋」と呼ばれるフィリップ・キリエンコも連絡がつかなかった。彼はこの町のカヘティ・タイムズという新聞社に勤める現役の記者だった。この日の件ではマスコミ関係者として一般聴衆とは別の場所にいたため、恐らく無事だと思われたにもかかわらず、連絡がつかなかった。クーデターを起こし独裁を始めた「大統領」であれば、メディア関係者を殺してしまうことは容易に想像できる分、その消息が心配だった。

 ともかく、軍部も町中を警戒しているだろうから、この日僕たちはこのままチェン氏の家に泊まることにした。


(続く)

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