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 彼がいれば、引き続き反政府活動を続けていくことができるだろう。大統領の暴虐な独裁ぶりをアピールして国際社会の世論も味方に付けて支援を受けることもできる。

 さらに「情報屋」のナボコフの元に電話があった。床屋のユーリ・ウソヤンからだった。彼は元ソ連特殊部隊出身で、軍を退役した後、故郷のこの町に戻り床屋をやっていた。しかし昨年のクーデターの後、反政府組織に参加し、主に武器の調達や訓練の担当をしていた。退役したのは二〇年ほど前であったが、軍の経験のおかげか、無事に逃げることができたようだ。心強い味方で、ロイも色々と相談をもちかけた。他の組織のメンバーも頼りにしていた。


(続く)

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