第142話 北部探索ミッション 準備 その2
1週間後の支部長会議で今回の北地区の探索ミッションのメンバーが確定した。
A地区 ランス、スージー
B地区 スコット、ローラ
C地区 タツミ、ケイン
D地区 リンドウ、ヤナギ
E地区 ロン、ジェフリー
F地区 アントニー、シノブ
G地区 ジョニー、シンプソン
H地区 ウエスト、アン
I地区 バーグ、ラインハルト
J地区 チャン、メグミ
以上20名だ。女性が5名、男性が15名。
女性のうちシノブとローラ、メグミの3人はエリン同様PCの扱いに長けている。そしてスージー、アンはドローンの扱いが上手い。もちろんAランクである以上銃の扱いについても全く問題がない。
今回選ばれた20名は支部長会議から1週間後にハンター本部に集合する。ハンター本部はF地区の3層の中の2層寄りの場所にある。
リンドウとヤナギはD地区の車でツバキと一緒にハンター本部に着くとその中にある会議室に入っていった。
部屋に入ってきたリンドウを見つけてA地区からE地区のハンターが手を上げて挨拶してくる。彼らとは2度目の大規模攻撃の際に一緒に戦った連中だ。挨拶を返して空いている椅子に座る2人。
A地区からE地区の連中にとってはリンドウは顔馴染みだがF地区からJ地区のハンターの中にはリンドウをTVで見ただけのハンターもいる。彼らは部屋に入ってきて知り合いと挨拶をしてから椅子に座ったリンドウを直接見て想像以上に存在感があるなという目で見ていた。
しばらくして本部長のピートが部屋に入ってきて打ち合わせが始まった。会議室の前方に座っている本部役員、各支部長の背後にあるモニターにPCのスクリーンが映りそこに地図が出てきた。
「ミッションの内容については既に各支部長から説明を受けていると思うので詳細は省くが、都市国家から見てこの地区の探索が諸君らのミッションとなる。このミッションは政府も承認している」
黙ってスクリーンを見る20名のAランクハンター達。ピートの説明は続く。
「この山の北側に何があるのか、あるいは何もないのか。そして都市国家からこの山の北側に続くルートがあるのか。それらを探索してきてもらいたい」
H地区のウエストが手を上げて質問する。
「山から見て東と西には工場があると聞いている。俺達は北側だけの探索でいいんだよな?」
「その通りだ。ただ地図を見てもらってもわかるだろうがこの地点に向かうには都市国家を出て大きく東に移動して巨大廃墟を避けてそれから北西に移動して山の北側を目指すことになる」
「地図を見る限り相当な距離がありそうだぜ」
E地区のジェフリーが言い、続けて
「どんな装備で出向くんだ?」
「それについては職員から説明する」
そうして話を振られた職員の説明は概ねリンドウが予想していた通りだった。
「燃料車1台。これには重機マシンガンは装備されていない。無防備だ。そして武器、弾薬、食料を積んでいるロングレンジの装甲車。これは屋根にマシンガンを装備している。そして8輪装甲車4台だ。人員は燃料車に2名、ロングレンジに3名、そして装甲車には4名、4名、4名、3名となる。もちろん装甲車にも屋根に重機マシンガンを装備している。そして通常の装甲車と言ったが1号車だけはレーダーを強力にしてある。探索範囲が広がるだろう」
その説明に納得する参加者達。
「それでだ。誰がどの車に乗るかだがこれについては本部で決めさせて貰った。ここで時間を食いたくないからな」
そう言って車ごとのメンバーが発表された。
1号装甲車(ワイドレンジのレーダー装載の指令車)リンドウ、ヤナギ、ローラ、
2号装甲車 タツミ、ケイン、ウエスト、アン
3号装甲車 スコット、ランス、スージ、シノブ
4号装甲車 バーグ、ラインハルト、チャン、メグミ
物資輸送車 ロン、ジェフリー、アントニー
燃料車 ジョニー、シンプソン
「そして今回のこのチームのリーダーだが、リンドウにする」
ピートがハンター達を前にして言うと、まぁそうだろうな、妥当だなといった声があちこちからしてきた。
ハンター達の言葉が収まるとピートが再び口を開いた。
「リーダーがリンドウで反対はなさそうだな」
そこで一旦言葉を切ると参加者のハンター達が大きく頷く。それを見てから、
「今回のこのミッションの発案はリンドウなのだ。彼は山の北側、この都市国家から見て北西の方向がまだ未知のエリアであり、ここをクリアにすることで今後機械獣への対応がやりやすくなると提案してきた。本部及び政府内での協議の結果リンドウの意見を採用することにしたという背景がある」
「相変わらず先を見てるな」
B地区のスコットがリンドに声を掛けてくる。リンドウは発言を求めた。
「D地区のリンドウだ。詳細は言えないが俺と数人のメンバーは過去この山の東地区、そして西地区を探索している。そして山の北側にも間違いなく何かがあるだろうという結論になって本部にここの探索を提案した。地図を見てもわかる通りかなり遠距離を移動する長期のミッションになる。何があるかは全くわからない中を手探りで移動していくことになるだろう。今回は探索ミッションだ、極力戦闘は避ける方向で進めるので理解してもらいたい」
その言葉に頷くハンター。ハンターランキングNo.1のリンドウの言葉に反対する者はいない。それを証明する様にB地区のスコットが発言をした。
「この前の2回目の大規模襲撃の時にリンドウの読みと分析力の凄さは俺達は目の当たりにしている。今回俺達はリンドウの指示通りに動くから好きに指示してくれ」
そう言うとG地区のジョニーも
「前回はこっち側もリンドウの読みで助けられている。スコットの言う通りだ、好きにやってくれて構わないぜ」
「助かる」
その後ミッション開始時期は用意する全ての車の整備ができてから正式に決定をするが今から約2週間前後になるということ、ミッションは都市国家の一番東にあるA門から出発するということになるという説明があり最後に全員の端末にミッションの契約書と報酬が書かれたメッセージが届き全員がそれに同意をクリックして全体会議は終わった。
リンドウとヤナギとツバキの3人は支部の車でD地区に戻ってきた。そのまま支部のビルにはいりD地区の職員も交えて打ち合わせをする。
「ヤナギ、今日来ていた連中は顔見知りばかりだったか?」
「俺はこの都市国家の全Aランクハンターと顔馴染みだよ」
リンドウの問いかけにあっさりと答えるヤナギ。
「それはすごいな。と同時に情報通のヤナギの情報源もわかった気がするぜ」
「Aランクハンターだけが俺の情報源じゃないけどな」
ニヤリとしているヤナギ。確かにあちこちに情報源をもっていそうだ。
「ところでリンドウとヤナギの車は3人だけど大丈夫?」
2人のやりとりを聞いていたツバキが質問してきた。どうなんだよ?という表情でヤナギがリンドウを見てくる。
「いけるだろう。ヤナギが運転をするが俺もできる。それに今回はできるだけ戦闘を避けて移動するつもりだ。急がずに安全第一で行動するさ」
「わかったわ。それで1号車に貴方達2人が乗り込むんだけど何か特別な装備か武器は必要?支部で用意するわよ」
その言葉にじっと考えるリンドウ。隣でヤナギも何かあるかなと考えていた。しばらくして顔を上げたリンドウはツバキと職員を見て
「照明弾、ハンドガンタイプの奴だ。これを2丁、弾は2ケースは欲しい」
それだけでその目的がわかったんだろう、頷くツバキ。使う場面がないといいがなと言いながら職員が端末に打ち込んでいく。
「今思いつくのはそれだけだ。また気がついたら連絡を入れる」
そうしてリンドウとヤナギは支部を出ると自分たちの街である4層に戻っていった。
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