第112話 第2次大規模襲撃 その4
誰かがきついなぁと言う声が聞こえた。他のハンターも口には出さないが思いは同じだろう。その声が聞こえたのか
「今回も城壁に設置してあるマシンガンはハンターで使用することになった。これはB地区所属のAランクのハンターが担当する。設置してあるマシンガンには今遮蔽用の鉄板を溶接しているところだ」
アイクに続いてC地区の支部長のアズミが発言する。
「C地区の支部長のアズミだ。今アイク支部長から説明があった通りで厳しい戦いになることが予想される。これから城壁の上でのハンターの配置を言うがAランクハンターに対して4、5名のサポートをつける。これは前回と同じだ。弾薬、水などはサポートチームが準備するので皆には戦闘に集中してもらいたい」
一旦言葉を切ると、続けて
「万が一機械獣達が方向を変えて他の地区に進軍する場合に備えて城門の下には車を準備しておく、その時にはこちらの指示にしたがって移動してもらう」
アズミの言葉に頷くハンター達。
そうして29名の城壁での銃撃場所の指示が出た。最重要ポイントとなるB門の上の城壁にはリンドウ、エリンとルリが指名された。B門の上の場所は当然B地区のハンターだろうと思っていたリンドウはびっくりしてその言葉を聞いている。隣に座っていたエリンも思わず
「えっ?そこはB地区のハンターの担当じゃないの?」
と声を出してしまう。B地区の支部長のアイクがエリンを見て
「エリンとルリ、そしてリンドウ。お前さん達はこの都市国家の全Aランクハンターの中のトップ3なんだよ」
そう言うと左右に座っている他の支部長の顔を見て彼らが頷くのを見てから
「あまり周りには広めないで貰いたいんだがハンター本部では都市国家で活動している全ハンターにランキングをつけて3ヶ月に1度の割合で評価している。これはミッションの達成率だけじゃなく銃のスキル、状況判断のスキルなど多岐にわたる項目があってそれらを公平に評価してランキングをつけている。今言った3人はここ1年不動のトップ3だ」
その言葉に不満や驚きの声はなく、むしろやっぱりな、とかまぁそりゃ当然だわなという声がする。アイクは3人を見て
「お前さん達、具体的なランキングは知りたいか?」
と悪戯っぽく聞いてきたがルリがそんなのいらないと即断り、それには周囲から不満の声が出ていた。会議室の雰囲気が少し和む。黙っていたリンドウが発言を求める。
「俺達は言われた場所で仕事をする。ただここはB地区だ。本当にB門の上が俺達D地区の3人で構わないのか?」
そう言うと一人のハンターがリンドウの方に顔を向け
「リンドウとエリンとルリの腕前についてAランク、いや全ハンターの中で知らない奴はいない。俺はここB地区所属だが今回の様な事態になると一番腕の良いやつが一番厳しい場所を担当すべきだ。今の支部長の提案でこっちは何の不満も文句もないな。きつい場所だがよろしく頼む」
「彼、B地区でAランクのまとめ役をやってるスコットよ。乱射タイプのハンター。B地区のリーダーね」
隣からエリンが囁いてくる。流石にエリンだ。常にどこからかいろんな情報を集めてくる。隣でルリも頷いているから彼女も知っているのだろう。
「そっちがそれでOKなら俺達は問題ない」
リンドウが前に座っている支部長らを見て話の腰を折って申し訳なかったと言う。
その後アイクが29名の配置を決めた。都市国家の門(ゲート)はどのエリアの門も幅が20メートル程の大きさがあり、その門の左右から少し離れた場所にマシンガンが設置されている。リンドウはエリンとルリと話をして左にルリ、中央にエリン、そして右にリンドウという布陣を取ることにした。これはエリンとルリが同じ銃を使用しているので並んでいた方が弾丸の補充など管理がしやすいだろうというリンドウの判断だ。それをアイクに言うとアイクを始め他の支部長らも同意する。
最初エリンは自分がセンターポジションにつくのを嫌がっていたがリンドウの説明が理にかなっているので反論もできずに最終的にOKする。
「リンドウ、ちゃんとフォローしてくれるんでしょうね」
「もちろんだ。安心してくれ。というかエリンとルリの方がダメージソースだぜ。俺は露払いさ」
「もう、プレッシャーかけるのは止めてよ」
ルリが言い二人でリンドウを軽く睨みつけてくる。その仕草を見ているととてもこの3人が1万人強いるハンターの頂点に君臨しているトップ3のハンターには見えない。
こうして全員の配置が決まったところでアイクからハンターに何か質問はあるかと問いかけてきた。複数のハンターから仮眠場所や弾丸の補充を含めたサポートチームについて質問をし対応済みのところは対応済みだと答え、ハンターの要求がもっともだと思う点についてはすぐに対応すると言うことになった。仮眠場所については今回はAランクハンターについてはB門からそう遠くない場所にあるホテルの部屋を押さえており男女共にその個室でいつでも仮眠を取れる様にした。そのホテルの部屋の鍵、カードキーを渡されるハンター達。
サポートについては前回の経験が生きていてその時に悪かった点は改善されているとの説明に皆納得する。
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