第111話 第2次大規模襲撃 その3

 翌日3人で待ち合わせのD門に行くとツバキが迷彩服姿で待っていた。リンドウはツバキの迷彩服を見るとツバキの部屋での熱い時を思い出してその服の中身を想像していた。


3人が近づいてきたのを見たツバキ。


「3人でお楽しみだったみたいね」


 と声を掛ける。


「しばらく出来ないからね」


 エリンもあっけらかんとしてツバキに話している。ルリもツバキに


「今度3人一緒にどう?」


 と声をかけるとそれも悪く無いわねというツバキ。


「よしてくれよ、身体が持たないぜ」


 リンドウが勘弁してくれという口調で言う。そんな話をしているとスティーブがやってきた。トレードマークになっている大きなマシンガンを背負っている。


 そうしてAランク4名とツバキ、そして職員が運転をしてきたハンター支部の装甲車に5人で乗り込むとB地区に向かって車を出す。車は一旦3層に入るとその中にある自動車専用道路に乗ってスピードを上げた。


 車が専用道路に入るとリンドウらと同じ様に装甲車の後部座席に座っていたツバキが、


「現地でのあなたたちの配置などについてはB地区に着いてからA、B、C、D、E地区との合同会議で決めることになると思うわ。私もまだどんなメンバーが来るのか知らされてないのよ」


「どこに配置されても仕事は変わらない。俺はどこでも大丈夫だ。片っ端から倒しまくってやるよ」


 スティーブが両手に持っているマシンガンを掲げて言う。その言葉にリンドウもエリンもルリも同意する。城壁の上で構えて近づいてくる敵を倒すというミッションに変わりはない。手柄とか数じゃなくて自分たちが住んでいるこの都市国家を守るのが最優先事項だと皆理解していた。


 専用道路に乗って約2時間でB地区についたツバキらD地区の一行はB地区のハンター支部のビルの前に車を止めるとツバキを先頭に4人のハンターと共にビルに入って指定された会議室に顔を出した。


 既に大勢のハンターや職員が集まっている大会議室にD地区の5人が入ってくるとそこにいた全員が5人を見る。どうやらD地区が一番最後の様だ。


 当人達は知らないというか全く気にもしていないがD地区のAランクハンターはこの都市国家のハンターの中でも有名なのだ。エリンとルリはその外見とそれからは想像もつかない銃の腕前で、スティーブは言うまでもなく自慢の大型のガドリングマシンガンだ。そしてツバキは最年少の支部長で元Aランクハンター。美人でスタイルも抜群。それぞれが有名な中一番最後に部屋に入ってきたリンドウを見ると彼らの視線が変わる。好奇心満載の視線から一転して畏怖の視線に変わるのだ。


 圧倒的な存在感。そして誰もが認めるスナイパー中のスナイパー。3,000メートルで命中率100%のリンドウのスナイパーの腕は全地区に轟いている。


 最後に入って空いている席を探していると、


「よう。久しぶり」


 C地区のタツミが声をかけてきた。見ると近くには合同ミッションをした時のC地区のメンバーが固まっている。ケインも軽く片手を上げている。それに応えるリンドウ。


「久しぶり」


 エリンが代表して挨拶をしてからD地区の4人はC地区のハンターが座っている近くに席を取った。ツバキは会議室の正面に移動して他地区の支部長と話をしている。


 しばらくすると会議室の正面に座っている支部長と職員達が着席した。ハンターも私語をやめて椅子に座り直すと正面を見る。B支部の職員が


「お待たせした。これから合同会議を始める。まず最初に現在の状況を報告する」


 そう言うと正面に座っている支部長らの上にある大きなモニターにレーダー画像が写し出された。前線基地の画像だろう。機械獣の大群が綺麗に2つに分かれて進軍している様子が映っている。


「現在機械獣の大群は先頭が4地区に入ったところだ。大群は縦に長い隊列を組んで当初と同じゆっくりとしたスピードで都市国家を目指している。そのターゲットは変わっていない。ここB地区とH地区の2箇所だ。それぞれ10,000体以上いる。この機械獣の大群の先頭がB地区の城壁の砲台の射程距離内へ到達するのは今から65〜67時間後となる。都市防衛隊の前線基地がドローンを飛ばした映像も届いてきている」


 そうしてスクリーンにドローンの映像が映るとハンター達から声があがる。


「おい、こりゃ半分くらいが2丁マシンガン獣じゃないかよ」


「本当だな。そして周囲は足の速い四つ足か、途中でスピードをあげる可能性もあるぞ」


 口々に言う言葉を聞いていて


「その通りだ。大型はほぼ全てが背中に2丁のマシンがを背負っている。一方小型は全て足の速い機械獣だ。この四つ足が今から1時間以内にスピードあげたとしたらさっきの砲台の射程距離への到達は58時間後前後になる」


「58時間後、真夜中じゃないかよ」


 職員がそこで一旦報告を終えて着席するとB地区の支部長が立ち上がった。


「ハンター支部B地区の支部長のアイクだ。今説明があった様にマシンガン獣を中心とした大群がこの都市国家のB地区を目指して進軍してきている。今回は前回とは全く違う戦闘になると思って欲しい。相手はマシンガンを連射してくるからな」


 支部長の言葉に頷くハンター達。アイクは続けて、


「しかも機械獣は学習をしている様で前回の様に固まっておらず間隔を開けて移動している。守備隊の砲台で倒せる数も減るだろう。相当数の機械獣が我々のターゲットになると思ってくれ。今回はABCDE地区の合同だ。B地区以外は各地区からAランクの半分のハンターをここに派遣してもらっている。現在ここにいるAランクハンターは29名、この29名を中心にして数千体の機械獣を倒しもらう必要がある」


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