第71話 盾 その2

 2日後の朝、リンドウは背中にリュックを背負いロングレンジライフルと狙撃銃を持ってD門に行くと既にエリンとルリが来ていた。そしてツバキや職員の姿もある。その背後には1台の装甲車が止まっていた。それを見たリンドウ。


「こういうのも持っているんだな」


 その装甲車は外見は今までの装甲車と同じだが車両の左右に付いている窓が小さく左右に2個つづだけ付いている。その窓はもちろん強化ガラス製だ。


「これは初期に作られたものよ。ハンター本部に1台あったのを借りてきたの。窓が小さくて装甲車の中からの射撃に向かないって今は製造中止になってるわ」


 確かに今までの機械獣相手の戦闘なら窓が大きくて多くある方が戦闘は楽だ。何と言っても機械獣は遠距離攻撃の手段を持っていなかったのだから。ただこれからは再びこのタイプの装甲車が脚光を浴びるかもしれない。


 リンドウがその装甲車を見ていると職員が


「もちろん、メンテは完璧にしてある。予備のタイヤ、燃料も後部に積んである」


 リンドウが職員やツバキと話をしている間にエリンとルリは既に後部から車の中に入っていた。エリンは窓にセットしてあるカメラのケーブルや配線を確認してそして動作を確認している。ルリは手に持った銃を小さい窓の先から出しては射撃姿勢を確認していた。


 2人が準備完了と装甲車から出てきた。


「今回の周波数は210.1MHz」


 ツバキの言葉に3人がゴーグルで周波数をセットする。そうして運転席にはルリが座りエリンとリンドウは後方に座る。


「マシンガン獣との遭遇時期が予測できないがとりあえず行ってくる」


 リンドウがそう言って後部のドアを閉めると装甲車はD門から外に飛び出していった。


「とりあえず真っ直ぐにD4地区、この前ランディらがいた場所に向かうわね」


 運転席からルリの声がしてくる。それでお願いとエリンがいいリンドウも頼むと返事をする。いずれにしてもまずはマシンガン獣を探すところからだ。あのタイプが他にもいるのかどうかが不明なのでとりあえずは行き当たりばったりにならざるを得ない。


途中で何体か機械獣を倒してD4地区に入っていくと先日の廃墟の近くに車を移動させる。


「特に感知はないわね」


 装甲車に付いているレーダーを見ているエリンが呟く。そうしてしばらくその辺りを車で流していると


「大型1体、小型2体。2時の方向。距離4,500」


 その声を聞いてすぐにリンドウが狙撃銃とロングレンジライフルの両方を持って屋根に上がる、車を停めたルリもすぐに後部座席の窓で戦闘準備に入った。


「距離4,000切ったわ」


 組み立てたロングレンジライフルのスコープを覗いているリンドウに大型機械獣の姿が見えてきた。そのままじっと見ているリンドウ。このスピードだと蜘蛛型じゃないなと思ってスコープを覗いていたリンドウ。


「背中にマシンガンは見えない。普通の大型機械獣だ。これから排除する」


 インターコムを通じて言うと銃を構えて3,000メートルで大型に向けて発弾すると数秒後に大型の首が飛んでその場で動かなくなった、リンドウは続けて小型2体をスナイパー銃で殲滅する。


「ハズレか」


 倒した大型に近づいていくと普通の四つ足の大型機械獣と同じく四つ足の小型だった。


「すぐに見つかるとも思えないし、このまま探索を続けましょう」


 運転席からルリの声がして装甲車は再びアテもなくD4地区の荒野をゆっくりと走っていく。


 結局この日は大型3体を討伐したものの全て今までのタイプでマシンガン獣はいなかった。日が暮れる前にD3地区に戻って廃墟に車を止めてそこで野営をする3人。


「初日から見つかるとは思ってなかったけどね」


「そうかい?俺はルリとエリンのツキの良さに期待してたんだが」


「いい男に巡り合うツキは持ってるのよ、でも機械獣はね」


 ルリが言うとエリンも続けて、


「そうそう。リンドウの様ないい男ならすぐ見つけちゃう」


「ありがとよ」


 その後は交代で見張りをして夜を過ごした3人。翌日はエリンの提案でD5地区まで足を伸ばしてみることにする。


 相変わらず途中で会うのは普通の大型ばかりで、リンドウとルリで討伐してはウロウロして2日目も終える。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る